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オープンイノベーションでは、外部の知識をどのようにうまく使うのかがポイントで、内部と外部の知識の有機的な結合が必要である。また、さまざまな課題があることを認識し、うまく折り合いをつけながら進めていく

第81回 オープンイノベーション(2015.07.08)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆オープンイノベーションとは

これまで何度かオープンイノベーションという概念に触れてきたが、あまりきちんと説明していなかったので、今回説明しておきたい。
オープンイノベーションは、2003年にカリフォルニア大学バークレー校のヘンリー・チェスブロウ教授が提唱した新しいイノベーションの概念で、自社技術だけでなく他社や大学などが持つ技術やアイデアを組み合わせ、革新的なビジネスモデルや革新的な研究成果、製品開発につなげるイノベーションである。

外部の知識をどのようにうまく使うのかがポイントで、内部と外部の知識の有機的な結合が必要になる。

◆なぜ、オープンイノベーションが必要なのか

オープンイノベーションが必要な背景としては、まず開発リードタイムやライフサイクルが短くなっていることがあげられる。すべてを自前で開発していたのでは追いつかないし、収益に結びつかなくなっている。そのようなリスクを回避するためには、オープンイノベーションが不可欠である。

もっとポジティブな理由としては、アイデアや特許は単一で利用するより複数で利用した方が効果的であるという認識ができてきたことがあげられる。また、アイデアを複数の市場に展開できるとメリットもある。


◆オープンイノベーションの方法

一口にオープンイノベーションと言ってもいくつかの方法がある。論理的に考えても、以下の3つの方法がある。

(1)外の技術を活用する
(2)自社の技術を開放する
(3)長期的なアライアンスから新しい価値創造を図る

(1)は外部の知識を組織内に取り込み、企業のイノベーション活動を活発にする方法である。(2)は異なる市場にアイディアを拡張したり、知的財産や技術販売するなどして、外部環境とのチャネルを持つ方法である。(3)は(1)と(2)の合わせ技で、、補完的な企業と継続的なアライアンスを組み、価値共創を図るという方法である。


◆オープンイノベーションのメリット

これらのオープンイノベーションによって得られるメリットは以下のようなものである。

・幅広い最新の情報にアクセスできるので、急速な技術変化に対応できる
・開発時間を短縮できる。開発時間の短縮は人件費削減(20%程度)につながる
・開発した未使用資源・保有資源(技術)が金銭的な利益を生む
・外資系企業では短期的評価が重視されるので特に有効だといわれる
・社内経営資源の棚卸ができ、自社強みをクローズし、それ以外を外に求める戦略をとれる
・製品開発戦略を再構築できる
・外部との交流により担当者の緊張感を保つことができ、組織の活性化につながる


◆オープンイノベーションの課題

また、オープンイノベーションの課題には以下のようなものがある。

・探索コストが増える
・外部だけではなく、内部でも調整コストが増える
・信頼関係の構築をどうするか。連携相手が本当に信頼できるかわからない
・技術の流出が起こる
・組織としてコアコンピタンスが低下する
・自社内に技術は必要ないのではないかとの考えから研究開発部門の自己否定になる

オープンイノベーションにおいては、これらの課題があることを認識し、うまく折り合いをつけながら進めていく必要がある。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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