本文へスキップ

グーグルXは、ムーンショット(困難だが壮大な挑戦)と呼べるイノベーションを目指す研究所で、グーグルグラスは、「壮大な問い」である。壮大なイノベーションでは、戦略ドリブンでも技術ドリブンでもないやり方というのが考えられる

第47回 月を打ち落とすイノベーション(2014.08.06)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆自動運転車というイノベーションはなぜ起こるのか

前回、技術とイノベーションの関係について書いたが、技術プッシュの問題の根底は戦略にある。企業の活動をどのように見るか、現実をどのように見るかという問題はあるが、企業(カンパニー)の活動を部分最適を目指す活動の集合とみれば、イノベーションの課題は前回のように部分として技術と顧客ニーズをいかに統合するかという議論になる。

現実の度合い、事業の広さなどの問題はあるにせよ、企業活動を全体最適を目指すものだとみれば、イノベーションは(事業戦略)にしたがって行われるものだということになる。イノベーション戦略ノートの第11話に

経営戦略とイノベーション


という記事を書いたが、この世界になるわけだ。

今回のイノベーション戦略ノートはその上でという話である。

こういう文脈では出てこないイノベーションというのがある。たとえば、今、自動運転車で大きな話題になっているグーグルのイノベーションを考えてみよう。


◆グーグルXとムーンショット

グーグルはソフトウエア以外でもいろいろなことをやっているイメージがあったが、その研究は謎に包まれていた。グーグルにはグーグルXという研究所があり、そこでさまざまな研究を行っているということになっていた。半年くらい前に、グーグルXがマスコミに公開され、実態が明らかになってきた。

グーグルXは、ムーンショット(困難だが壮大な挑戦)と呼べるイノベーションを目指す研究所で、自動運転車「Google Car」、メガネ型情報端末「Google Glass」、気球を使ったインターネット接続網「Project Loon」、医療用の「スマートコンタクトレンズ」の4つのプロジェクトが公式のプロジェクトとして行われているらしい。

ムーンショットは

1.数百万人からできれば数十億人に影響する問題に取り組むアイデアであること
2.SF(小説や映画)の話にも思えるほどラジカルな解決策(少なくともそうした要素を含む)を用いるアイデアであること
3.現時点または近い将来に使える技術を活用するアイデアであること

の3つの基準で選ばれるそうだ。


◆グーグルグラスはなぜ、ムーンショットなのか

上に紹介した4つのプロジェクトの中で、他の3つはこれから10年くらいかけて普及していくテーマだといわれるとそうかと思うが、グーグルグラスはちょっと毛色が違う。米国ではすでに発売されており、米国以外でも発売がうわさされている「商品」である。

これについて、グーグルは、新しいカテゴリー、新しい問いに価値があるということを提案しているという。その説明にグーグルが引き合いに出しているのが、PCという新しいカテゴリーと、アップル2が世の中に問いかけた有名な問い

あなたが会計士のような専門職でなくても、自宅にリーズナブルな価格でコンピュータを欲しいと思いませんか?

である。


◆グーグルグラスは壮大な問い

グーグルグラスはアップル2と同じ問いをしているという。そのためには、グーグルグラスを世の中に出す必要がある。つまり、グーグルグラスというイノベーションはまだ完成しているわけではなく、発展途上なのだ。発売と同時に、いろいろなアプリケーションが提供されるようになってきている。

グーグルグラスは、「壮大な問い」なのだ。

実はアップル2が世に受け入られらたのはアップル2そのものではなく、「VisiCalc」というアプリケーションが登場してきたからだ。

今風にいえば、一種のエコシステムのイノベーションだともいえるが、このように壮大なイノベーションでは、戦略ドリブンでも技術ドリブンでもないやり方というのが考えられるわけである。

◆関連セミナー

━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆コンセプチュアルな組織を創るマネジメント          ◆(7PDU's)
日時・場所:2023年 02月 14日(火)9:30-17:30(9:20入室可)
      【Zoomハーフ】2023年 03月 15日(水)13:00-17:00+3時間
        ※Zoomによるオンライン開催です
        ※ハーフセミナーは、事前学習3時間あります
        ※少人数、双方向にて、演習、ディスカッションを行います
  講師:鈴木道代(プロジェクトマネジメントオフィス、PMP、PMS)
  詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_management.htm
  主催 プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  【カリキュラム】                     
 1.コンセプチュアルではない組織の問題点
  ・個人レベルの問題点
  ・チームレベルの問題点
  ・組織レベルの問題点
 2.コンセプチュアルなマネジメントのポイント
  2.1 質問型の組織を創る
  2.2 コンセプチュアルな組織活動のプラニング
  2.3 ステークホルダーへのコンセプチュアルな対応
  2.4 コンセプチュアルな人材育成
  2.5 コンセプチュアルな組織文化の構築
 3.コンセプチュアルなマネジメントの目標
 4.コンセプチュアルマネジメントでコンセプチュアルな組織を創る仕組みワークショップ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

メルマガ紹介

本連載は、コンセプチュアル・マネジメント購読にて、最新の記事を読むことができます。

コンサルティングメニュー紹介

PMOコンサルティング、PMOアウトソーシングサービス、人材マネジメントサービスなど、御社に最適のコンサルティングをご提案させていただきます。まずは、お問合せください。

Youtube始めました。チャンネル登録お願いします。PMstylebiz


書籍&チケットプレゼントはこちらから

お薦めする書籍

メルマガ購読

ブログ

公開セミナー(カテゴリー別)
日付順  カレンダー

お客様の声(掲載をご許可いただいた受講者の方のアンケート結果)

PMコンピテンシーとは

サイト内検索

Facebook

Facebook

Twitter