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人工知能を進化したいものに組み合わせるとイノベーションが起こる | 学習プロセスそのものがイノベーションになる

第110回 人工知能とイノベーション(2017.01.06)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆人工知能のブーム

昨年はずいぶん、人工知能が話題になった。実は1980年代後半にも同じような時期があり、著者はそのまっただ中にいた。しかし、それは一過性のブームに過ぎず、あまり成果が残らないままで終わっていった。そのような経験もあり、今回は何か情報があればfacebookで紹介するくらいで、あまり話題にすることがなかった。

しかし、今回は成果を見ているとひょっとすると一過性のブームではなく、このまま発展していくのではないかという感じを持つようになった。それで、今年は少し、人工知能についても触れてみようと思っている。当面は、今回のような形で戦略ノートの中で触れていきたい。


◆コンピューティング技術が人工知能を発展させる

さて、まず、認識しておきたいのは、今、話題になっているディープラーニングというのは新しい概念ではないということだ。ディープラーニング自体についてはまた詳しく説明する機会を作りたいと思うが、一言でいえば多層構造のニューラルネットワーク(ディープニューラルネットワーク)を用いた機械学習の仕組みであり、
1980年前後に考えられたものである。

実際に30年前のブームのときに著者が行った研究の一つはディープラーニングの仕組みづくりだった。

なぜ、30年前にできなかったことができるようになったかというと、コンピューティング技術の進歩があったからだ。もちろん、うまくできるような工夫もされているが、本質的な理由はコンピューターが速くなったからだ。

2012年にGoogleの開発したグーグル・ブレインが、猫の概念を学習することに成功し、これをきっかけに現在の人工知能のブームが起こった。

これまで異なるのは、技術的特異点(シンギュラリティ)到来までのシナリオに関しても議論されるようになったことだ。これによりディープラーニングは単なるブームを超えて社会インフラとして広く定着し始めたと言える。


◆人工知能に関する誤解

さて、では、イノベーションと人工知能はどのように関係づけられるのだろうか。

昨年、ガートナー ジャパンが人工知能(AI)に関して多く見られるという10の「誤解」という見解を示した。その中で、

・すごく賢いAIが既に存在する
・AIを導入するとすぐに効果が出る
・誰でもがすぐに使えるAIがある
・AIとはソフトウェア技術である

といった指摘をしている。そして、このような誤解をしているため、結局、AIは使い物にならないため意味がないという結論に陥るとしている。

この誤解の指摘の中に人工知能の本質がある。まず、人工知能はソフトウエア技術ではない。何かと組み合せて初めて効果があること。現在は音声認識などで、ユーザインタフェースと組み合わせているケースが多い。

次に、人工知能は最初からすごいものではない。

たとえば、自動車に人工知能を組み合せるといろいろなことができるようになるだろう。トヨタ自動車は車の中のセンサーから得られたドライバーの動きや体温などをデータ化して、車がドライバーの感情や状態を人工知能で読み取る装置を開発している。

これから分かるように、この装置はドライバーのデータが築盛されるに従って、賢くなっていく。完成というのはおそらくない。


◆人工知能とイノベーションの関係

このような過程において、人工知能がイノベーションをもたらす可能性は2つある。

一つは、組み合わせである。人工知能を進化したいものに組み合わせるとイノベーションが起こり得る。たとえば、歴史的にこのようなイノベーションが行われてきたのがチェスや将棋である。人工知能を組み合せることによって、人間では思いつかないイノベーティブな手が開発されてきたわけだ。このような応用として、自動車はもちろん、家電などにおいてこれから目覚ましい発展をしていくだろう。

もう一つは学習プロセスそのものがイノベーションになる可能性がある。上に紹介したグーグル・ブレインの例はこちらの例である。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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