第111回 イノベーションにおける創造と想像(2017.01.12)
◆2つのそうぞう
イノベーションのためには、2つの「そうぞうりょく」、すなわち「想像力」と「創造力」が必要だとよく言われる。それぞれのそうぞうりょくの役割はあまり明確ではない。今回の戦略ノートはこの話を整理してみたい。
この議論をするために以下のような簡単なイノベーションのプロセスを考えておく。
まず、最初のステップはさまざまなな事象から「疑問」を見つけ出すことからイノベーションは始まる。これは経験の世界であるが、経験を重ねていくに従って、イノベーションの課題が見えてくる。そして、課題の解決方法を考え、具体化していく。ここにイノベーションが生まれる。
◆コンセプチュアルなイノベーションプロセス
このプロセスをコンセプチュアルに考えてみる。すなわち、概念(抽象)の世界ですべきことと、形象(具象)の世界ですべきことに整理していみる。
すると、まず、経験したさまざまな事象から「疑問」と見つけていくというのは形象の世界で行うことだ。そして、それが蓄積され、ある日突然、抽象化され、すべきことが課題が見つかる。課題はイノベーションによって解決したいことで、概念の世界のもので、これまで取り扱われていない新しさを持ったものだ。
つぎにその課題を解決する方法を考える。これは抽象的なレベルで行う。課題解決のアイデア自体がイノベーションになることもあるし、アイデアはすでにある場合もある。これはどちらでも構わない。
いずれにしても抽象的な課題解決策を得たら、それを具体化する。ここで具体化の方法がイノベーションになる。
◆イノベーションと2つのそうぞう
さて、このようなプロセスを考えたときに、創造と想像はどのような役割を果たすのだろうか。言葉の定義としては
創造:人まねでなく、新しいものを自分から作り出すこと
想像:実際に知覚に与えられていない物事を、心の中に思い浮かべること
といったものだ。まず、最初の課題を見出すところで行うことは創造である。実際に経験しているさまざまな事象から、新しい課題を見つける。これは創造的な活動である。そして、課題に対して、解決策を見出す。これも創造的な活動である。
ただし、ここで考えられるパターンとして、
新しい課題に対して、既存の解決策を適用する
◆イノベーションのポイントは想像
ということがある。これもイノベーションになる。
このようにして、概念の世界で抽象的に考えられた課題解決策を実現する具体的な方法を考える。ここで新しい方法を考え、イノベーションを実現することになるが、ここで求められるのは、想像である。つまり、概念的な方法から、まだない、言い換えると知覚されていない物に落とし込んでいく活動が必要になる。
一連のプロセスを経て、イノベーションの質がどこで生まれるかと考えてみると、問題解決の方法より、問題解決策を具体的な物に落とし込んでいくところ、すなわち想像にあるのではないかと思う。
◆関連セミナー
PMstyeでは、コンセプチュアルスキル習得の基本になる講座として2つを準備しています。一つはコンセプチュアルスキルの全体像を学ぶ講座です。
どちらもこの記事で議論した「全体像をつかむ」ことをメインテーマの一つにしています。全体像をつかんだ思考や行動をしたいと思う人にお薦めします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆コンセプチュアルスキル入門〜本質を見極め、行動するスキル ◆(7PDU's)
日時・場所:【Zoom】2025年 01月 24日(金) 9:30-17:30(9:20入室可)
【Zoomハーフ】2025年 02月 15日(土 )13:00-17:00+3時間
【Zoomナイト】2025年 01月 08日(水),10日(金) 19:00-21:00+3時間
※Zoomによるオンライン開催です
※ナイトセミナーは、2日間です
※ハーフセミナー、ナイトセミナーは、事前学習が3時間あります。
※少人数、双方向にて、演習、ディスカッションを行います
講師:好川哲人(エム・アンド・ティ コンサルティング代表)
詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_thinking.htm
主催:プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
※Youtube関連動画「コンセプチュアルスキルとは(前半)」「コンセプチュアルスキルで行動が変わる」
「プロジェクトマネジャーのためのシステム思考」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【カリキュラム】
1.思考をコンセプチュアルにする思考法
2.思考をコンセプチュアルにする思考ツール
3.コンセプチュアルな思考を妨げるもの
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆コンセプチュアル思考のポイントと活用〜VUCA時代の思考法 ◆7PDU's
日時・場所:【Zoom】2024年 11月 22日(金)9:30-17:30(9:20入室可)
【Zoomハーフ】2024年 12月 11日(水)13:00-17:00+3時間
【Zoomナイト】2025年 01月 15日(水)17日(金) 19:00-21:00+3時間
※Zoomによるオンライン開催です
※ナイトセミナーは、2日間です
※ハーフセミナー、ナイトセミナーは、事前学習が3時間あります
※少人数、双方向にて、個人ワーク、ディスカッションを行います
講師:鈴木道代(株式会社プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS)
詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_thinking.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
※Youtube関連動画「コンセプチュアルスキルとは(前半)」「コンセプチュアルスキルで行動が変わる」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【カリキュラム】
1.コンセプチュアル思考のイメージ(アイスブレーク、講義)
2.コンセプチュアル思考を実践してみる(個人ワーク)
3.コンセプチュアル思考の原理を学ぶ(ワークの振返り、講義)
4.コンセプチュアル思考の実際(講義)
5.コンセプチュアル思考で変化に対応する
(個人ワーク、グループディスカッション)
6.コンセプチュアル思考で不確実性に対応する
(個人ワーク、グループディスカッション)
7.コンセプチュアル思考を応用した活動(まとめ)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「
PM養成マガジン(無料版)」、「
PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「
コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。
メルマガ紹介
本連載は、
コンセプチュアル・マネジメント購読にて、最新の記事を読むことができます。
コンサルティングメニュー紹介
PMOコンサルティング、PMOアウトソーシングサービス、人材マネジメントサービスなど、御社に最適のコンサルティングをご提案させていただきます。まずは、
お問合せください。