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第19話 イノベーションの風土づくり(1)〜ポジティブアプローチ(2013.05.14)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆創造的問題解決では実現しにくいものもある

実行に関しては前回までとして、今回からイノベーションの風土づくりについて述べる。まず、最初のテーマは、以前触れたことのあるポジティブ思考である。

イノベーションのテーマを探すワークショップをやると例外なく問題解決のワークショップになる。

・売り上げが下がった理由
・顧客のクレームへの対処方法
・現状のプロセスの問題点
・無駄があるのは何か
・問題のある社員を如何に是正するか

といったテーマがす ぐに出てくる。このような問題に対して、問題解決を創造的にして、斬新なアイデアを出し、イノベーションに結び付けて行きたいわけだ。

こ のようなやり方が悪いとは言わないが、組織としてこのような方向性しかなければ、チャンスを逃していることが多いことも事実だ。たとえば、顧客クレームの 対処方法に対して、顧客が評価する点を見つけて、それを活かしてクレームを上回るサービスを提供するという解決策はまず出てこない。

◆チャンスを逃さないためには

チャンスを逃さないためにはどうすればよいのだろうか。ポジティブアプローチで、ポジティブな面を引き出すことを考える。そのためには、ポジティブな問いを立てて考えてみるとよい。ポジティブな問いの定番は

・自社の強みは何か

であるが、全社的なレベルで取り組むには、もっと実務的なレベルでの問いを立てることも有効だ。たとえば、

・顧客が自社に魅力を感じていることは何か
・新規の顧客はどのような層か
・顧客を喜ばしたのは何をどのようにしたときか
・最近、経験した予期せぬ成功はなにか

といった問いが有効である。

◆イノベーションは成功体験をしゃぶりつくすことから生まれる

このような問いを普段の活動の中でも意識する。前回述べたようにイノベーションに失敗は必須だが、勘違いしてはならないのは失敗から失敗しないようにすることを学ぶことはあまり意味がないことだ。失敗から学ぶのは、ここは失敗するだろうということだ。

イノベーションの中で重要なことは、部分的にしろ、うまく行ったことから学ぶことだ。ある製品を上梓したが、全然、売れなかった。売れなかった理由が重要なのではなく、買ってくれた人が何を評価してくれたかが重要である。

買ってくれなかった人や、買ってみたけどすぐに使わなかった人の話など、どうでもいい。買ってくれた人の話を徹底的に聞く。他社の製品よりよいところはどこかを聞く。そして、それを強みとして、発展させていく。うまくなかったところはどうするか。

◆強みを延ばすことがよいパートナーを見出す

提携である。弱みは克服する必要はない。弱みを克服したいというのは自前主義の名残である。以前の日本企業のようになんでもかんでも自分で持ちたいと欲張る と弱みが気になる。今は、そんなことをやっていてはビジネスのスピードについていけない。他社と提携することによってカバーすればよいのだ。強みがすごけ れば、すごいほど、自分たちの弱みに強いパートナーが見つかる可能性が高くなる。

この話はイノベーションの本質にかかわる問題である。イ ノベーションはイノベーション自体が目的である。新規性を伴うプロジェクトのように、目的があり、目的実現のために効率のよい方法を探したいわけではない。もちろん、現実的にはコストの問題があるのでやりたいことの取捨選択は必要になるが、よいパートナーと出会うことは、やりたいことをできるだけやる最良の方法である。

そのための必要なのが、弱みを気にせず、強みを活かす風土なのだ。そして、その風土づくりはポジティブな問いから始まる。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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