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イノベーションで得られる収益は、パフォーマンスエンジン(定常業務を行う組織や人、プロセス)に依存し、イノベーションとパフォーマンスエンジンの活用の間にはシナジーがあるケースが多い

第18話 パフォーマンスエンジンとイノベーションの関係(2013.05.07)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆イノベーションで得られる収益はパフォーマンスエンジンに依存する

イノベーションの実行の議論の中で、見逃せないのはパフォーマンスエンジンとの関係だ。

パフォーマンスエンジンは定常業務を行う組織や人、あるいはプロセス(仕組み)のことだ。一般にイノベーションは製品やサービス、プロセスなどを革新する。そして、革新された製品が定常的に生産・販売されるようになったり、サービスが定常的に提供されるようになることにより、初めてイノベーションが収益化される。具体的には製品の場合、生産設備や、販売チャネルをどれだけ活用できるか、サービスの場合、現在の人材への投資がどれだけ活用できるかがポイントになってくる。

このようにイノベーションでどれだけの収益が得られるかはパフォーマンスエンジンとの関係に大きく影響を受ける。まず、この点を頭に入れておいてほしい。

ところが、イノベーションと定常業務は、その比率の議論はされることはあるが、そもそも、どのような関係かという議論がされることは少ない。


◆イノベーションとパフォーマンスエンジンの関係

パフォーマンスエンジンとイノベーションの関係は2つ、ないしは3つの 問題で生じる。一つは開発プロセスである。定常業務として開発を行うような部門の場合、標準的な開発プロセスがある。このプロセスに乗っかってイノベー ション業務を行うことができるかどうかという問題がある。このプロセスに乗っかる場合には、定常業務のガバナンスを受け入れるということである。

二つ目はプロセスの問題と関連するが、人の問題。イノベーションの実行にどれだけパフォーマンスエンジンの担当者を巻き込むかである。

そして、そのようなことを考えなくてはならない理由が三つ目で、イノベーションの成果が経営的な成果になるために、パフォーマンスエンジンとの統合を如何に行うかである。

◆パフォーマンスエンジンとの統合

イ ノベーションとパフォーマンスエンジンの関係でもっとも重要なのは三つ目である。イノベーションといえば技術革新だった時代からある問題は、新しい技術を開発するところまではいいのだが、開発した技術を収益に結びつけようとしたときに、パフォーマンスエンジンとの関係を考えずに、製品イノベーションに走ってしまって、結局、技術イノベーションが成果に結びつかないままで失敗に終わるというケースがある。

このような失敗を防ぐためには、技術が生まれてきた段階で、製品イノベーションはパフォーマンスエンジンを最大限に活用する方向で考えるべきである。ホンダのオデッセイというクルマがある。 初代のオデッセイはミニバンのデザインを全く新しいものにし、おそらく、自動車のデザインとしては、歴代一二を争うようなイノベーションだと思う。この形状は開発費の制約からアコードとプラットホームの共通化を図ったことで生まれたと言われている。

つまり、パフォーマンスエンジンを最大限に活用しようとすることからイノベーションが生まれたわけだ。このようにイノベーションとパフォーマンスエンジンの活用の間にはシナジーがあるケースが多い。

◆人の問題

もう一つ大きいのは二番目の人の問題である。イノベーションの実行の際に、パフォーマンスエンジンを担当する人のスキルをどれだけ使うかは成果に大きく影響をする。

イ ノベーションというと、できるだけ大きく変えることが望ましいと考える傾向があるが、上に述べたように回収を考える場合には、イノベーションの程度は大きな判断要素になる。つまり、すべてを新しくすればいいと言う話ではない。市場への訴求とパフォーマンスエンジンの活用のバランスを考える必要がある。

このバランスを実現するのが、イノベーション担当の人と、パフォーマンスエンジンの担当の人のブレンドの具合である。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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