第23話 イノベーティブリーダーの質問力(6)〜顧客の選定基準・ニーズ・感情に関する質問(2013.11.06)
          
          
          ◆前回の復習
          前回はユーザを
【1】購入している人(顧客)
【2】将来購入する可能性のある人(見込み客、ファン)
【3】購入できるが、購入していない人(見込み客、ファン、など)
の3つに分け、【1】に対する質問として、
          (1)私には思いもよらなかった方法で製品を使っているのは誰か。それはどういう使い方か。
          という質問を取り上げた。この質問の本質は、顧客にとって製品の本質は問題解決であるということである。
◆製品を選ぶ基準
そこで、【1】の二番目の質問として次の質問を考えてみる。
(2)顧客が私たちの製品を選ぶときの基準はなにか
この質問のポイントは、
・あなたの基準と顧客の基準が合致しているか
・あなたはどちらの基準で製品を設計しているか
・顧客の言動は一致しているか
          などである。これらのポイントを考えることは、イノベーションにどのように取り組めばよいかのヒントになるだろう。
◆顧客のニーズへのこだわり
次の質問に移ろう。次は、顧客の欲しいものについてどう考えているかを問う質問で、
(3)顧客が欲しいとあなたが信じているものはどのようなものか
          である。この質問も重要だ。仮にあなたが顧客が欲しいものを理解していても、それをどのように実現したいかは別の話である。たとえば、顧客が業務の生産性を上げたいとする。これが欲しいものだ。これに対して、あなたがITベンダーだったとすると、ITを活動した生産性の向上をイメージするし、提案するだろう。
          しかし、実際には違うかもしれない。顧客は従業員の生産性を画期的に向上するパフォーマンス向上のトレーニングをしたいと思っているかもしれない。このように自分たちにこだわりがあるところではしばしば思い込みが発生するが、思い込みを捨てるとそこに、自分たちの今やっていることを顧客のニーズに併せていくイノベーションのテーマがあるかもしれない。たとえば、ITを活用した画期的なワークプレースラーニングを行うなど。
          もう一つこの質問から気づくべきことがある。それは、顧客は誰かという問題だ。顧客が一人の場合と複数の場合では、「欲しいもの」の意味が違ってくる。複数の場合には、複数の顧客が同じニーズを持っているかが問題になるし、実現方法の選択プロセスも考慮しなくてはならない。
          また、複数の顧客に対しては、ニーズの優先度のつけ方が問題になってくる。これらの問題はイノベーションのテーマの選定に大きな影響を与えるだろう。
◆感情に関する質問
          さらに、既存の顧客に対しては、あと2つ考えるべき質問がある。感情に関する質問である。
(4)自分たちの製品に熱中してくれているのは誰か
(5)自分たちの製品に不満を持っているのは誰か
          どんなイノベーションにも共通していえることは、成功に感情的要因が絡むことである。感情的に受け入れられない製品やサービスはおそらくそれが画期的なものであってもうまくいかない。画期的であることに気づかず、やがて埋もれているだろう。
          したがって、感情に関する要素、たとえばこの製品がないと生きていけないとか、この製品は便利であるを超えて感謝するといった感情の芽生えを知ることはイノベーションを成功させるために大きな意味があることだ。逆に、マイナスの感情について知ることも意味がある。
          以上の5つが、イノベーションのために、【1】のすでに購入している人に対する質問として効果的な質問である。
          
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           2.コンセプチュアルなマネジメントのポイント
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            2.2 コンセプチュアルな組織活動のプラニング
            2.3 ステークホルダーへのコンセプチュアルな対応
            2.4 コンセプチュアルな人材育成
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          著者紹介
          好川哲人、MBA、技術士
          株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
          15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
          1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。 
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