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新しい顧客に何を提供すればよいかが分かれば、イノベーションの方向性は決まる。将来の顧客は何を基準にしてあなたから製品を購入するか

第24話 イノベーティブリーダーの質問力(7)〜将来の顧客は誰か(2013.11.13)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆将来の顧客

前回は現在の顧客に焦点を当て、求めているものを考え、イノベーションに結び付けていく質問について述べた。今回は、「未来の顧客」について考える。つまり、

【2】将来購入する可能性のある人(見込み客、ファン)

である。


◆顧客セグメントに関する質問

まずは、セグメントに対する質問である。こんな質問を考えてみるといいだろう。

(1)今は存在しないが、今後5年以内に新しく生まれそうなセグメントはどのようなものか?

この質問について考えるには、まず、あなたが製品やサービスを提供している分野で過去5年にセグメントがどう変わったかを考えてみると有効である。たとえば、嘘みたいな話だが、5年前に携帯電話をPCの代わりにしたいと考える顧客セグメントはなかった。スマートフォンの発展で急速に生まれてきたセグメントだ。

次に、あなたの会社の顧客層はこれから5年でどう変わるかを考えてみよう。新しく顧客になってくれそうな人たちはどのような人たちか。去っていくだろう顧客層はどんな人たちかを考えてみる。

さらに、そのように考えてみたときに、5年後に顧客になってくれそうな人たちは、いま、どのようなものに夢中になっているかを考えてみる。すると、新しいセグメントが見えてくる。


◆5年後の顧客の特定と確保

ここまで来たら、次に考えるべき質問は

(2)どのようにして5年後の顧客を特定し、確保するか

という質問だ。この質問は難しいが、ヒントになるのは顧客の行動である。まず、あなたの新しい顧客がこれから5年間、何に時間を使うかを考えてみてほしい。

また、どのようなメディアによって生活や仕事に必要な情報を手にいれようとするか。

例えば、5年前に戻ってfacebookを考えてみてほしい。当時、大学生の玩具だと言われたシステムに夢中になり、コミュニケーションの中心に置いている人は多い。facebookに変わるものを見つければいいわけだ。


◆イノベーションの方向性

> そして、最後は彼らに何を提供すればよいかが分かれば、イノベーションの方向性は決まる。つまり、

(3)将来の顧客は何を基準にしてあなたから製品を購入するか

という質問を考えればよい。この質問を考えるには、以下のようなことを考えると効果的だろう。

・あなたの将来の顧客の生活や仕事はどのように変化していくのだろう
・生活や仕事の変化により購入するものやサービスはどのように変わっていくのだろう
・逆に生活や仕事の変化により購入しなくなるものはどのようなものだろうか


◆もう一つの質問

で終わりにしようと思っていたのだが、この問題にはもう少し、別の側面があることに気付いた。それは、提供者がすべての顧客に対して自分たちの商品を売りたいとは思わないということだ。

たとえば、研修を例に挙げると、先方は研修の効果で自分たちの問題が解決すると考える。確かにそれは適切な判断なのだが、その前に別のことをしなくては研修の効果がでないだろうと思うことが時々ある。

そうすると、こんな質問も考えてみた方がよい。

(4)今は私たちの製品を買ってほしくないが、将来的に買って欲しい人は誰か

という質問だ。


◆顧客の方が正しいこともある

なぜ、これがイノベーションに結び付くかというとユーザーイノベーションの例と同様に、顧客の方が正しいことがあるからだ。

具体的な例を一つ上げると、ある会社は全然社内コミュニケーションが取れず、社内の規律もなく、それがしばしば問題を引き起こしていた。それでコミュニケーションマネジメントの手法があるPMBOK(R)という手法の導入をしようと考えた。規律のないところに標準手法を入れても効果はないだろうと思って断ろうとしたが、彼らは手法の導入プロセスを使って社内の規律を確立していきたいと言い出した。手法そのものが自分たちの組織に合うとは思わないというのだ。

それでこのチャレンジは成功したのだが、PMBOK(R)を導入することによって社内の規律とコミュニケーションを向上させるというのは新しいサービスになった。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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