第3回 イノベーションと本質(2015.08.12)
◆本質とは
前回はコンセプチュアル思考とは何かについて説明したので、今回は1回目に触れたイノベーションにコンセプチュアル思考(スキル)がなぜ必要かについて考えてみたい。
ひとことでいえば、イノベーションを起こすためには、ものごとの本質に働きかけなくてはならず、そのためのスキルがコンセプチュアルスキルだということだ。
具体的な説明に入る前に、まず、本質とは何かということを明確にしておきたい。本質という言葉を辞書で引くと
・本来の性質。根本の性質。有り方。
・あるものを成り立たせている「特有の性質」
・個別の性質を超える「通有の性質」
という説明が並んでいるが、もう少し普通の言葉でいえば、原因や現象の裏にひそむ、それらを引き起こしている真因、あるいは目的を達成するために不可欠なものが本質だと言える。
たとえば、あるビジネスの本質というとそのビジネスが収益を上げるために欠かせないもの、本質的な問題といえば目的を達成するために逃げることができない問題である。
◆本質とは主観的なものである
ここで重要なことは、本来の性質とか、根本の性質、有り方といわれると、唯一・普遍なものだと考えがちですが、そうではない。
一つ例を挙げるとと、あなたは犬と猫の違いをどう区別するだろうか?つまり、犬や猫の本質はなんだという話だ。姿形だという人もいれば、鳴き声だという人もいるかもしれない。立ち振る舞いだという人もいるだろう。
考えてみると非常に難しい問題だが、犬と猫を間違える人はまずいない。これはそれぞれの人が犬と猫の本質を把握していて、それに基づいて判断をしているからだ。
もう一つ例を挙げてみよう。iPhoneの本質は今でも議論が尽きていない。シンプルなデザインが本質だと考える人もいれば、アプリケーションという形でハードとソフトを分けたことが本質だと考える人もいる。
このように、本質とは主観的なものだ。これはイノベーションにとっても非常に重要なポイントになる。
◆本質を見つけるコンセプチュアル思考
そして本質を見極めるためにコンセプチュアル思考では5つの思考軸を使う。おおよそ、第1回で述べたようなポイントであるが、ここで5つの思考軸を定義しておく。
(1)抽象的/具象的
現実の現象を抽象化し、抽象的に思考(問題解決や意思決定)を行い、その結果を複数の具体的な事象や行動に落とし込むことにより、現象からは直接得にくい結論を得ることができる。
(2)主観的/客観的
自身の価値感に基づき思考を行い、その結果について第三者的な視点から妥当性を検証・調整する。この繰り返しにより、誰もが共感できる結論を得ることができる。
(3)直観的/論理的
直観的に判断をした結果に対して論理的根拠を構成し、論理で得られた結果の妥当性を直感的に判断する。この繰り返しにより、不確実性のある中で合理性のある結論を得ることができる。
(4)大局的/分析的
イメージで大雑把に物事を捉えた上で、そのイメージを定量的に説明することによりイメージを明確にする。これを繰り返しながら、イメージレベルの思考を行い、結論を出すことができる。
(5)長期的/短期的
長期スパンの思考と短期スパンの思考を相互に繰り返し、それぞれの結果を統合し、短長期のいずれにおいても最適な結論を得ることができる。
次回からはイノベーションにおいてこの5つの思考軸をどのように使うかを考える。
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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。
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