第2回 イノベーションの枠組み(2016.08.24)
◆イノベーションはアイデア?
イノベーションというと何かに使えるアイデアを見つける活動だと考えることが多い。
アイデアのところは技術と置き換えてもよい。革新的という言葉を全く何もないところに何か新しいものを生み出すことだというイメージでとらえられることが多いからだ。
また最近ではイノベーションは組み合せであるとよく言われる。よく言われるのは既存のアイデアや技術を組み合わせ、新しい価値を生み出すというパターンだ。
このようにアイデア重視の発想になることがイノベーションの阻害要因の一つであると考えられるが、なぜ、このような発想になるのだろうか。
それはイノベーションという概念の枠組みの問題である。アイデア単発で、枠組みがないと考えているケースが圧倒的に多い。
◆イノベーションの枠組みはプロジェクト
では、どのような枠組みでイノベーションを捉えればよいのだろうか。そこに出てくるのが「プロジェクト」である。
プロジェクトは目的から始まる。目的の背景に戦略や何らかの大きなビジョンがあったりするが、枠組みとしては目的からである。そして、枠組みを目標に落として、目標を達成するためにさまざまなアプローチをする。
これまでアイデアや技術が生まれ、それをどのように活用するかという視点でイノベーションに取り組んできたが、ここにもう一段階必要である。それがプロジェクトであり、イノベーション・プロジェクトの目的である。そして、プロジェクトマネジメントによりイノベーションを進めていくことだ。
◆イノベーションの目的
目的自体が新しい(まだ、世の中に実現するものがない)場合もあれば、目的自体は新しいものではないケースもある。
目的自体が新しい場合には、どのような手段で実現しようとイノベーションになる。技術や実現手段に関係なくイノベーションになる。たとえば、無人で人を移動させるといった目的の場合はこのケースになるが、そのようなイノベーションは難しくなってきている。
これに対して、目的は既存であるが、新しい手段との組み合わせを考えたケースはたくさんある。たとえば、ドローンで商品を配送するというのがそのケースだ。目的は配送スピードを速くしたいことだが、そこにドローンという新しい手段を持ち込み、使い方をいろいろと考えてイノベーションを起こそうとしている。
さらに、目的も手段も既存のもので、その組み合わせに新しいアイデアを持ち込んでいるケースもある。たとえば、iPhoneだ。目的はコミュニケーションであり、コンピューターで目指してきたものである。手段もほぼ既存の技術である。しかし、iPhoneは目的と手段を組み合せる新しいアイデアを考え、まったく新しいコンセプトのツールにした。
◆目的+手段をアイデアで統合する
このようにイノベーションはプロジェクト化することにより、
目的+手段
を統合する方法(アイデア)を考え、実現するという枠組みで考えることができる。
これがイノベーション・プロジェクトの枠組みだと考えることができる。つまり、イノベーションはアイデアありきではなく、目的と手段を決めて、アイデアを生み出すものなのだ。
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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。
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