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多くのイノベーションはプロジェクトやプログラムで行われるが、イノベーションはマネジメントできるのかについて考えると、 | イノベーションはマネジメントできるし、マネジメントできなければイノベーションはできない

第1回 イノベーションのマネジメントとは(2016.08.17)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆プロジェクトとイノベーションで考えたいこと

この連載では、多くのイノベーションはプロジェクトやプログラムで行われることから、イノベーションのプロジェクトやプログラムを如何にマネジメントしていくかについて考えてみたい。

初回はイノベーションはマネジメントできるのかという問題について考える。

イノベーションはマネジメントできるのかというのは、散々、議論されてきた問題でありながら、おそらく答えは出ていない。そもそも、イノベーションとは何か、マネジメントとはどういう活動かによっても答えは違うだろうし、ケースバイケースだといわざるを得ないような場合もある。

ここでは、まず、これらの点についてこの連載における定義を明確にしよう。


◆マネジメントの意味合い

まず、マネジメントの意味合いについて考えてみたい。

マネジメントのもっとも広義な意味合いは、マネジメントの発明者といわれるドラッカー自身がいったとされる、「人を使ってどうにかこうにかすること」である。つまり、期待成果があって、その成果を達成することだ。

成果を達成する限りにおいて、ほったらかしにしておいても、それはマネジメントだといえるし、セレンディピティを起こすのもマネジメントだといえる。昔の日本式経営などはそれに近い。

もっとも厳密な定義は、期待成果の達成計画を立て、その計画に従って軌道修正をしながら活動を行うというものだろう。プロジェクトマネジメントはこれに近い。

この両極の間に、マネジャーが行うマネジメント行動は何かとか、どのような計画を立てるのかとか、プロセスをどのように決めるかなど、いろいろな違いがあり、いずれもマネジメントと呼ばれている。

特にイノベーションのマネジメントでは、トップがビジョンや目的を掲げ、メンバーがそのビジョンや目的の実現のために自由に活動するというスタイルのマネジメントが多い。


◆イノベーションの定義のポイント

逆にイノベーションとは何かという問題もある。イノベーションがモノや技術、サービスの新しい組み合わせによってこれまでになかった価値を創造することだというのは誰に聞いてもそんなに大きなイメージの違いはないだろう。ポイントになるのは以下の2点だ。

(1)イノベーションが起こったという認識は、アイデアなのか、プロトタイプなのか、製品化なのか、製品としての成功なのか?

(2)イノベーションは継続的に行うべきものか、それとも単発でいいのか

まず、(1)の点に関しては、アイデアやプロトタイプでイノベーションだと思う人は少ないと思うが、後ろの2つのどちらかというのは結構、意見が分かれる。ここでは製品としての成功をイノベーションだと考える。

(2)に関しても意見は分かれる。これは実際に難しい。組織の規模にもよるし、あるイノベーションの成功の度合いによっても違う。ただ、ここでは、繰り返し起こすことができてイノベーションとして成功だと考えたい。


◆マネジメントできなけばイノベーションできない

このように考えると、イノベーションはマネジメントできる。あるいは、マネジメントできなければイノベーションはできないと言ってもよい。

ただし、マネジメントしたからといってもイノベーションが必ず成功するとは限らないということができる。

では、どのようにマネジメントするのか。代表的なイノベーションプロジェクトのサイクル(プロセス)は、

(1)戦略実行のアイデアの創出
(2)アイデアの取捨選択
(3)アイデアの実行
(4)価値創造をする(戦略ゴールの実現)

といったものである。このプロセスをプロジェクトあるいは組織プロセスとしてうまく行うようなマネジメントが基本になる。広い意味でのプロジェクト&プログラムマネジメントである。

次回からは、具体的なマネジメントについて考えていきたい。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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