プロジェクトの現場では、プロジェクトマネジャーがあいかわらずステークホルダーに悩まされていると感じます。
先日、とあるSI企業に伺ったとき、最初に会った30代半ばの男性は、開発のプロジェクトで営業やマーケティングのスタッフとの調整に苦労しているとつぶやき、次に話した30代前半の女性営業担当者(「私がプロマネやっています」だそうです)は、SEやマーケティングが協力してくれなくてうまくいっていないと訴え、三人目に会った40歳ぐらいの品質保証担当の男性は、営業もSEもわかっていないとぼやいていました。
3人はそれぞれ異なるプロジェクトを担当していましたが、営業、SE、スタッフの間に、越えられない溝があるかのようでした。どのような立場にいても、ステークホルダーとどうつきあっていくかは難しいことなんだな、と思います。
私は、
『影響力の法則』(コーエン&ブラッドフォード著 2007年 税務経理出版)
を翻訳してから、影響力の法則を使ってステークホルダー対応に応用することを、現場のマネジャーのみなさんにアドバイスしてきました。
また逆にみなさんのお話しを伺いながら、影響力の法則をどう適用するか、私自身が学んできました。その経験から、ステークホルダーの立場をどれだけ理解しているかが、ステークホルダーとうまくつきあえるかどうかを分けていることに気づきました。
例えば、あるプロジェクトマネジャーは、忙しい時間の合間をみて、会社の研究所をしばしば訪ねていたそうです。「研究所の人たちは、自分たちの研究には誇りを持っています。でも、それが会社の役に立つのかといわれると、自信がないんですよ」と話してくれました。
彼は研究所の所長と懇意になり、いくつかの共同プロジェクトを成功させていました。
こちらもきつい立場にいますが、ステークホルダーも同じです。
部長もきつい立場にいます。社長もやはりきつい立場にいます。一般的には、上に立つほどきつい立場に立たされます。時には孤独を感じます。それゆえに、心折れそうになるわけです。
そんな立場を理解してくれる人がいたら。救われる助かると思いませんか。
一緒にやろうという/協力しようという気持ちになると思いませんか?
ここに、ステークホルダーとつきあうチャンスがあります。
そこで、ステークホルダーが置かれている立場を、少し考えてみましょう。
(次回に続く)
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【カリキュラム】
1.ステークホルダーマネジメントとは何か
・ステークホルダーに動いてもらう
・ステークホルダー・エンゲージメント・マネジメント
2.ステークホルダーの特定・プロジェクトのパラメータ
・ステークホルダー・マトリクス
・ステークホルダー影響グリッド
・ステークホルダー・マネジメント戦略
・(演習2)ステークホルダーリスト
3.影響力の法則(R) ・影響力とは何か?
・「カレンシーの交換」メカニズム
・ステークホルダーの目標を把握し、カレンシーを計画するステップを学ぶ
・(演習3)カレンシーを考える
4.概念的に考えて具体的に行動する・コンセプチュアルスキルとは
・本質を見極める
・洞察力を高める
5.ステークホルダーと良い関係を作る・WinWinの関係
・信頼を得る
・チームを結束させる
・(演習5)期待と要求のロールプレイ
6.まとめ
・(演習6)カレンシーを再考する
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高嶋 成豪 インフルエンス・テクノロジーLLC マネージング・パートナー
人材開発/組織開発コンサルタント。インフルエンス・テクノロジーLLC.マネージング・パートナー。ゼネラル・モーターズ、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどで人材開発に従事。現在リーダーシップ、コミュニケーション、チームビルディング、キャリア開発のセミナーを実施し、年間約1000名の参加者にプログラムを提供している。ウィルソンラーニング・ワールドワイド社によるリーダーシッププログラム、LFG(Leading for Growth:原著はコーエン&ブラッドフォード両博士の共著“Power Up”)のマスター・トレーナー。2007年『影響力の法則 現代組織を生き抜くバイブル』(原題“Influence without Authority”)を邦訳。コーエン&ブラッドフォード両博士から指導を受け、「影響力の法則」セミナー日本語版を開発。日本で唯一の認定プロバイダー。筑波大大学院教育研究科修了 修士(カウンセリング) 日本心理学会会員 ISPI(the International Society for Performance Improvement)会員 フェリス女学院大学講師
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