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第29回 小規模プロジェクトのプロジェクトマネジメント その4(2009.10.16)

アイ・ツー・マネジメント 代表取締役 岡野 智加

今回のコラムは、私がリーダーを務める、PMI日本支部 PMBOK委員会 実用化ワーキング・グループで昨年作成した、小規模ITプロジェクト向けのテンプレートのうち、最後のテンプレートである、課題管理表を紹介したいと思います。

尚、PMI日本支部の会員であれば、会員ページより無料でダウンロードできますので、事前にダウンロードして読んで頂くと、わかりやすいと思います。

■課題管理表
今回の小規模プロジェクトのテンプレートでは、リスク、課題、変更要求といったものを全て同一のもので管理することにしました。
小規模プロジェクトでは、PMOなどの組織はないことが多く、プロジェクト・マネジャーも専任でないことが考えられるので、なるべく負荷を軽減するため、これらを全て管理できる、課題管理表を作成しました。
         

これ以降に、詳細な説明をします。

■課題管理表で扱う課題のタイプ
課題管理表で扱う以下の通りです。

●リスク
   まだ顕在化していないが、将来起こり得る事象で、対応策の検討が必要なもの。
   なお、本テンプレートではプラスのリスクは取り扱わないことを前提としています。

●問題
   顕在化した事象で、何らかの対処が必要なもの。

●変更要求事項
   プロジェクト・スコープの拡大・縮小、方針、プロセス、計画、 または手順の修正等の要求事項。

●懸案事項
   上記で分類できないその他の課題。
では、以降で上記を管理する課題管理表の項目について説明します。

■課題管理表の項目

●更新
進捗会議等で課題を確認する際に前回から更新された課題が分かるよう、該当する課題の行に「*」を付与する。

●NO.
課題の通しNoを付与する。

●区分
課題のタイプを、「リスク」、「問題」、「変更要求」、「懸案事項」より選択する。
ドロップダウンリストから選択できる。




●課題名称
課題の名称を記入する。

●概要説明
課題についての概要説明を入力する。

●報告日
報告日を記入する。

●報告者
報告者を記入する。
    

●優先度
課題の優先度を、課題に相対的な優先度を与えるための属性。
各属性値の意味づけは、テンプレートの利用者が状況に応じて決める。
(分類例)
■「高」:即時対処が必要
■「中」:できるだけ早く対処することが望ましい(1週間以内)
■「低」:リソースを圧迫しない程度に対処することが望ましい(1ヶ月以内)
尚、課題区分がリスクの場合、次のリスク分析の、「発生確率」×「影響」で優先度を決める。

●リスク分析:発生確率
リスク分析の項目は、「区分」がリスクに該当している事象の場合に分析を行った結果を記載する。発生確率には、リスクが顕在化する可能性を数段階のレベルで表現する。
(分類例)
■「H」:起こる可能性が高い
■「M」:どちらとも言えない
■「L」:まれに起こる

●リスク分析:影響度
リスクが与える影響範囲を数段階のレベルで表現する。
(分類例)
■「H」:スケジュール、コスト、品質に与える影響が大きい(スポンサー許容しない)
■「M」:スケジュール、コスト、品質に与える影響はあるが限定的
■「L」:スケジュール、コスト、品質に与える影響が軽微

●リスク分析:対応方針
リスクに対処するための対応手段を以下の分類で表現する。
■「回避」:マイナスのリスクを回避するために何らかの対処を行う
■「転嫁」:脅威によるマイナスの影響を、責任とともに第三者へ転嫁する
■「軽減」:なリスク事象の発生確率や影響度を、受容可能な限界値まで低減する
■「受容」:何のアクションもとらずにリスクを受け入れる

●状況
課題への対応状況をドロップダウンリストから選択する。







●検討期限
 検討期限を入力する。
 優先度の整合性に留意する。

●担当チーム、担当者
担当チーム及び担当者を入力する。
課題を新規に登録した場合、プロジェクト・マネジャーが担当者をアサインする際に記入する。


●対応策/対応履歴
未着手の課題については予定のアクションを記載し、対応中の課題は実施したアクションを記載する。
実施したアクションは、実施日と対応者の履歴を残す運用が推奨される 。

●完了日
課題への対応が完了した場合にその日付を入力する。

●対応結果
課題に対応した結果に関して記入する。

●関連文書
この課題に関して参照・変更するドキュメントがあれば、その名称や文書番号を記入する。

●関連WBS#
この課題に関連するWBS要素があれば、WBS番号を記入する。

■課題管理表の推奨運用


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著者紹介

岡野 智加    アイ・ツー・マネジメント 代表取締役

大手ISベンダーなどにてOracleをはじめとするソフト・トレーニングの講師経験を経て、現在、Microsoft Office Projectセミナーに特化した教育事業経営を行っている。
1998年に日本初の、プロジェクトマネジメントの世界標準であるPMBOKTM(Project Management Body of Knowledge)に準拠したMicrosoft Office Projectセミナープログラムを独自開発。これまでの単なる操作方法を習得するセミナーではなく、プロジェクトマネジメントプロセスに従ったMicrosoft Office Projectの実践的活用ノウハウが習得できるセミナーを開発。
開発当初からこの今までに無い実践的な内容のセミナーは、当時、プロジェクトマネジメントをいち早く導入しようとしていた日本の最大手企業から高い評価を得る。
マイクロソフト社からも評価され、、2002年には日本初の米国マイクロソフト社公認Microsoft Office Project Official Partnerに認定される。
2002年に出版した書籍は、これまでの単なる操作方法を解説する書籍ではなく、プロジェクトマネジメントのプロセスに従ったMicrosoft Office Projectの活用方法が解説されているということで、大ベストセラーとなり、売れ続けており、その後の書籍及び日本中のセミナー企業へ多大なる影響を与える等、Microsoft Office Project講師として日本におけるリーディングパーソンである。

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