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マイクロソフトのPM情報ツール Project を使って、プロジェクトをうまくマネジメントしていく方法を解説し、その解説を通じて、MS Project の利用方法の解説します。第27回は、プロジェクト計画書の目次です

第27回 小規模プロジェクトのプロジェクトマネジメント その2(2009.06.16)

アイ・ツー・マネジメント 代表取締役 岡野 智加

今回のコラムは、私がリーダーを務める、PMI日本支部 PMBOK委員会 実用化ワーキング・グループで昨年作成した、小規模ITプロジェクト向けのテンプレートのうち、プロジェクト計画書を紹介したいと思います。

尚、PMI日本支部の会員であれば、会員ページより無料でダウンロードできますので、事前にダウンロードして読んで頂くと、わかりやすいと思います。
また、7月には紹介セミナーも開催するので、ご興味のある方は、PMI日本支部のページよりお申し込み下さい。

■プロジェクト計画書の目次
プロジェクト計画書は、プロジェクトを開始するに際して、それに関する重要事項をまとめて記述します。この文書は、顧客および開発ベンダーのメンバー等、関係者間での共通認識を形成するための文書となります。PMBOK(R)のアウトプットでいうところの3大文書である、プロジェクト憲章、プロジェクトマネジメント計画書、プロジェクト・スコープ記述書を合わせた文書となります。小規模プロジェクトですので、3つの文書を一つの文書にまとめました。
また、本書には、プロジェクトマネジメントの基本方針も記述しますが、これは、小規模プロジェクトということを考慮し、PMの管理負荷が高くなり過ぎない程度のルールとして設定し、記述しました。


プロジェクト計画書の目次は以下のようになります。

1.プロジェクト概要
2.プロジェクトの目的と背景
2.1 プロジェクトの目的
2.2 プロジェクトの背景
2.3 システム化効果
2.4 費用概算
3.プロジェクト要求事項
3.1 成果物の定義
3.2 成果物の特性
3.3 プロジェクトスコープ
3.4 除外事項
3.5 成果物受入基準
4.プロジェクト環境
4.1 前提条件
4.2 制約条件
4.3 プロジェクトの成功要因
4.4 関連プロジェクト
4.5 関連システム
5.プロジェクト・スケジュール
5.1 主要マイルストーン
5.2 マスター・スケジュール
6.プロジェクト体制
7. プロジェクト開発環境
8.プロジェクトマネジメント基本方針
8.1 プロジェクト・マネジャーの責任と権限
8.2 課題管理方針
8.3 リスクマネジメント基本方針
8.4 変更管理方針
8.5 プロジェクト品質方針
8.6 コミュニケーション方針
    8.7 組織における教訓の蓄積
9.補足

プロジェクト計画書は、大きく分けて、以下の部分から構成しています。

 1)プロジェクトに関して、顧客側と開発ベンダー側の合意事項を記述した部分(目次項目 1〜7 )
 2)プロジェクトマネジメント基本方針(目次項目8)
  @ ●> この部分は、顧客側には見せない前提
 3)補足(目次項目9)

  A ●>当プロジェクトに関する補足情報で、開発メンバー間で特に共通認識をもつ必要があるものがあれば記述する。
例)プロジェクト正式開始前の可能性調査段階で現行業務を調査した際のアウトプットなど

これ以降に、詳細な説明をします。

■目次1.プロジェクト概要
プロジェクト概要には、以下の基本情報を表形式にまとめ、簡潔に記述します。

● プロジェクト名
● プロジェクト・スポンサー
● プロジェクト・マネジャー
● ステークホルダー
● プロジェクト属性 (成果物総称、開始予定日、終了予定日、予算)
  
  
  

■目次2.プロジェクトの目的と背景
プロジェクトの目的と概要には、プロジェクトの目的、背景、システム化効果、費用概算に関して、簡潔に記述します。
  
  

■目次3.プロジェクト要求事項
プロジェクト要求事項には、以下を記述します。
小規模プロジェクトということを考慮すると、プロジェクト憲章作成に相当する作業とスコープ定義に相当する作業は、近いタイミングで行われることが多いと考えられるので、併記することにしました。

● 3.1 成果物の定義
顧客側の言葉を用いて、当プロジェクトで作成する成果物に関して、顧客と開発ベンダー間で合意した内容を記述する。
● 3.2 成果物の特性
特に考慮すべき事項等を記述する。
● 3.3 プロジェクト・スコープ
開発ベンダー側の言葉を用いて、上記の成果物(3.1)を実現するためのプロジェクト・スコープを定義する。
  
  
● 3.4 除外事項
顧客との齟齬を防ぐために、対象外の作業等を明記する。
● 3.5成果物受入基準
成果物の受入基準を記述する。
  

■目次4.プロジェクト環境
プロジェクト環境には、当プロジェクトを実施するにあたり、それを取り巻く環境について記述します。

● 4.1 前提条件
● 4.2 制約条件
● 4.3 プロジェクトの成功要因
 プロジェクトの成功のために、特に留意すること等を記述する。
● 4.4関連プロジェクト
● 4.5関連システム
整合性を考慮する必要がある他のプロジェクト、システムがあれば、記述する。
  

■目次5.プロジェクト・スケジュール
プロジェクト・スケジュールには、主要マイルストーンとマスタースケジュールを記述します。

● 5.1 主要マイルストーン
顧客と開発ベンダーで合意したマイルストーンを記述する。
  

● 5.2 マスター・スケジュール
マスター・スケジュールをExcel等で作成し貼付する。
  

■目次6.プロジェクト体制
プロジェクト体制には、下記の担当等に関して、顧客側と開発ベンダー側の窓口となる担当者名を記述する。

● プロジェクト・スポンサー
● プロジェクト・マネジャー
● 各サブシステム担当
● インフラ担当

また、顧客側の関連部門を記載し、開発ベンダー側の組織図も記載する。
  

  

■目次7.プロジェクト開発環境
プロジェクト開発環境には、実際に開発を実施するにあたって、開発ベンダー側が用意するもの、顧客側が用意するものを明記します。小規模プロジェクトでは予算に余裕がない場合が多いので、必要なものを漏れなく記述し、顧客側と開発ベンダー側で合意することが重要です。
  
  
  

■目次8.プロジェクトマネジメント基本方針
プロジェクトマネジメント基本方針には、小規模プロジェクトということを考慮し、PMの管理負荷が高くなり過ぎない程度のルールを設定します。
下記の観点を目安にして下さい。

● プロジェクト・マネジャーの責任と権限
● 課題管理方針
● リスクマネジメント基本方針
● 変更管理方針
● プロジェクト品質方針
● コミュニケーション方針
● 組織における教訓の蓄積

なお、サンプル・プロジェクトに適用した例には、多くの小規模プロジェクトで適用可能と思われる、最大公約数的な内容を記載しているので参考にして下さい。
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  

■プロジェクト計画書の推奨運用
プロジェクト計画書の推奨運用は以下の通りです。
  
  

尚、今回のテンプレートにはテンプレートガイドがありますので、詳細内容についてはそれを参照下さい。

◆プロジェクト計画書作成のセミナーを開催します

━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆プロジェクト計画書の作り方・書き方・活かし方    (7PDU's)
  日時・場所:【Zoom】2025年 01月 15日(水)9:30-17:30(9:20入室可)
     【Zoomハーフ】2024年 11月 13日(水)13:00-17:00+3時間
     【Zoomナイト】2024年 12月11日(水)13日(金) 19:00-21:00+3時間
       ※Zoomによるオンライン開催です
       ※ナイトセミナーは、2日間です
       ※ハーフセミナー、ナイトセミナーは、事前学習が3時間あります。
       ※少人数、双方向にて、演習、ディスカッションを行います
  講師:鈴木道代(プロジェクトマネジメントオフィス、PMP、PMS)
  詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/plan20.htm
  主催 プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
※Youtube関連動画 プロジェクトマネジメント基礎(1) プロジェクトマネジメント基礎(2)
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  【カリキュラム】                     
 1.プロジェクト計画書作成プロセス
 2.プロジェクト計画をデザインする
 3.プロジェクト計画の骨組みを決める
 4.プロジェクト活動計画書の書き方
 5.予算計画書の書き方
 6.リスク計画書の書き方
 7.ステークホルダー計画書の書き方
 8.コミュニケーション計画書の書き方
 9.プロジェクト計画全体の整合と各計画書の調整
 10.プロジェクト計画書の使い方と段階的詳細化
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著者紹介

岡野 智加    アイ・ツー・マネジメント 代表取締役

大手ISベンダーなどにてOracleをはじめとするソフト・トレーニングの講師経験を経て、現在、Microsoft Office Projectセミナーに特化した教育事業経営を行っている。
1998年に日本初の、プロジェクトマネジメントの世界標準であるPMBOKTM(Project Management Body of Knowledge)に準拠したMicrosoft Office Projectセミナープログラムを独自開発。これまでの単なる操作方法を習得するセミナーではなく、プロジェクトマネジメントプロセスに従ったMicrosoft Office Projectの実践的活用ノウハウが習得できるセミナーを開発。
開発当初からこの今までに無い実践的な内容のセミナーは、当時、プロジェクトマネジメントをいち早く導入しようとしていた日本の最大手企業から高い評価を得る。
マイクロソフト社からも評価され、、2002年には日本初の米国マイクロソフト社公認Microsoft Office Project Official Partnerに認定される。
2002年に出版した書籍は、これまでの単なる操作方法を解説する書籍ではなく、プロジェクトマネジメントのプロセスに従ったMicrosoft Office Projectの活用方法が解説されているということで、大ベストセラーとなり、売れ続けており、その後の書籍及び日本中のセミナー企業へ多大なる影響を与える等、Microsoft Office Project講師として日本におけるリーディングパーソンである。

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