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経験を意味づけ、経験に弾みをつける研修にて、プロジェクトマネジャーの成長に有益な経験をする

第11回 戦略的に経験する〜研修(2005.03.08)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆研修に必要な条件

プロジェクトマネジャーの成長に有益な経験の最後は、研修である。研修を経験だといわれると不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれない。だが、研修はプロジェクトマネージャーの成長に不可欠な「経験」になる。

ただし、研修が不可欠な経験になるには以下の3つの条件がある。

(1)経験を意味づけ、経験に弾みをつける研修であること
(2)研修をそれだけで完結させず、プロジェクトマネジャーの任命に連動させること
(3)研修をトップマターとして行うこと

まず、最初にお断りしておくが、この条件を満たさないものは研修として無意味であるといっているわけではない。例えば、PMBOK(R)を導入しようとすれば、PMBOK(R)の研修は不可欠である。研修の目的はいくつもある。この条件が満たされていないと、成長に役立つ「経験」にするという目的が達成できないだけである。

さて、前置きはそのくらいして、ひとつひとつの条件について説明していこう。


◆経験を意味づけ、弾みをつける

まず、研修の位置づけであるが、経験に意味づけをする研修であることが求められる。プロジェクトマネジメントの概念の中では、レッスンズラーンドがある意味でそのような位置づけの経験機会になっていると思えるが、プロジェクトで閉じずに、他のプロジェクトのメンバーも交えた機会を設定することが望ましい。

経験を意味づけするとはどういうことか?もっとも分かりやすい例は、成功したか失敗したかである。プロジェクト計画に沿ってプロジェクトを進行することができたら成功、できなければ失敗。プロジェクトマネジメントの経験はまず、これが分かりやすい基準である。この基準に照らし合わせれば、トータルとして経験したプロジェクトマネジメントの評価はできる。これがもっとも大雑把な経験の意味づけである。

しかし、もう少し、細かく考えたい。つまり、マネジメントの内容に注目する。例えば、意思決定。一つ一つの意思決定が適切だったかどうかを振り返っていく。すると、「意思決定をしたという経験経験」にもっと深い意味づけをすることができる。

そして、そのことは、後段の経験に弾みをつけることにつながっていく。もし、よい意思決定だったと意味づけられれば、次はもう少し、難しい意思決定を行ってみようと動機づける。あるいは失敗だったと判断すれば、次はもっとうまく意思決定をしようと動機付ける。このような動機付けを研修が担っていきたい。


◆研修と業務アサインの連動させる

研修にこのような役割を持たせようとすると、どうしても、研修と業務を連動させる必要がある。つまり、研修で持つことが出来た動機を達成できるようなプロジェクトにアサインする必要がある。これはなかなか難しいと思われるが、動機のマネジメントをうまくやって、すでに述べてきた業務要素の性質と結びつけていけば、決して不可能ではない。

人を育てるために仕事をさせているわけではない。よくこのような意見を聞く。もちろん、正論であるし、ある意味で、人は育てようと思っても育つものではない。育とうと思わなければ育たない。ただ、そのような原則論の中でも、自分の成長へ直結する活動への動機付けをすることは組織の役割だと思う。その意味で、このような経験を前提にした研修は重要な動機付けの機会であり、手段だ。


◆トップマターの研修にする

そして、三番目はこのような研修はトップマターであるという認識が必要である。特にプロジェクトマネージャーを育成することは、人材育成部門だけでもできないし、事業部門(現業部門)だけでもできない。効果のあるところからやりながらも、中長期のプランを持たなくてはプロジェクトマネジャーは育てれることができない。一般的な組織の中でこれを実現しようとすれば、トップマターである必要がある。とくに、研修は業務から離れた活動であるので、育成自体をトップマターで行っていることの表明をするチャンスである。

(次回につづく)


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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