第11回 思考の深さを疑う(2020.08.25)
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◆思考の深さを疑う
今回は、ドラマ風に考えてみます。考える際には、事実と意見を区別しよう、とよく言われています。それは当然のことなのですが、事実についても、もう少し深く考えることの必要性について、考えてみましょう。
ある殺人事件が発生しました。悪徳金貸しのAが殺害されたのです。Aは、B,C,D,Eに高額のお金を貸していましたが、C,D,Eには明確なアリバイがありました。
また、2,3日前にBは友人と会っていた際に、「早く金を返せ」とAから怒鳴られ、友人は「BはAを恨んでいた」と証言しました。そして、殺害されたAの部屋から、髪の毛が発見され、BのDNAと一致したのです。
警察はBを犯人として特定し、逮捕しました。Bが犯人だと考えられる根拠は以下の通りですが、事実かどうかを見てみましょう。
1.Bは被害者Aを恨んでいた。(事実:証人あり)
2.お金を借りていたC,D,Eはアリバイがあるが、Bにはない(事実:アリバイ)
3.Bは借金に苦しんでいた(一般論)
4.被害者Aの家にBは訪れている(事実:髪の毛のDNA)
5.借金返済を促され、恥をかかされた(事実:友人の証言)
一般論も混じっていますが、事実と考えられることについても含めて、もう少し、深く見てみましょう。
1.友人は「BはAを恨んでいた」と証言しましたが、殺すほど恨んでいたかどうかはわからない
2.Bにはアリバイはありませんが、他にお金を借りている人がいたかもしれない
3.Bは借金について、それほど深く考えていないかもしれない
借金は誰でもするものだ、と特別なこととは考えていなかったかもしれない
だから、苦しんではいない
4.Aが殺害された日に、Bが訪れたとは限らない
Bは前日にA宅を訪問したのかもしれない
5.借金返済をいつも促されているため、馬の耳に念仏なのかもしれない
恥をかかされたと思っているとは限らない
また、恥をかくのは普通のことと思っているのかもしれない
と、たとえ事実であっても、もう少し深く、他の可能性を考えることで、根拠として考えていることの頑健性が崩れるていくかもしれません。
根拠がどの角度、どの視点から見ても、根拠として妥当かどうかを、もう少し深く考えてみましょう。
また、一般論で考えることで、大きく議論を歪曲していますこともありますので、一般論についても疑ってみる必要があります。
【参考図書】
「3分でわかるクリティカルシンキングの基本」著:小川進・平井孝志 日本実業出版社
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著者紹介
鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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