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全くの意見(個人的な意見や曇った洞察力で見た)を事実としてとらえ、因果関係を考えてしまうと、結果が全く異なる

第4回 因果関係を疑う(1)〜事実と意見を区別する(2019.12.16)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木 道代


◆因果関係を疑う(1)〜事実と意見を区別する 

PMstyleでは、「クリティカルシンキング入門」セミナーを定期的に実施しています。
その中では、クリティカルシンキングのポイントとして、次の3つのポイントを解説
しています。

1.7つの心構え
2.合理性を疑う
3.思考を疑う

本連載では、上記のポイントについて、身近なことで使う例を取り上げています。前号では、「問題設定を疑う」として、誰にとっての問題なのか、誰の認識なのかを疑ってみました。

本号では、「2.合理性を疑う」の中の、「因果関係を疑う」として、事実と意見の区別を明確にすることで、因果関係を明確にすることを取り上げます。

弊社では、一昨年から、プロジェクトリスクマネジメント研修をある会社で実施しています。

昨年に、内容ではなく、講師の評価が低い、という問題が起こりました。そこで、講師である鈴木と講座スタッフとの話し合いがありました。受講者の講師に対する評価として、下記のコメントがありました。

・これまで受けてきた講師の方は、まずはじめに自身の自己紹介、経歴があったが、 何もない。実業務を知っているんですか?と疑問を持った。

というのがありました。

講師本人としては、簡単な自己紹介をしたはずで、経歴や経験を語る必要はあまり感じておらず、それよりは、講義や演習の内容が重要で、そこで受講者が何を気づき、それを実践にどのように活かすかが大切だと思っているからです。

何も言わないと、実業務を知っていないと思われるのかなあ、と思いました。また、実業務をバリバリこなした人の話にしか重みを感じてもらえないのかなあ、と自分の講義や演習の進め方については、ちょっぴり反省しました。

ところが、スタッフからは、実業務を知っているんですか?と疑問を持つのは、業務における具体的な説明がないから、そう思うのでないのか、との指摘でした。

コンセプチュアルスキルを高めたいという要望がありましたし、考えてほしいと思っていますので、講師が自分の経験から語るよりも、考え方の講義や、グループ演習での他の受講生の経験から学ぶ、ということを重視しながら、進めています。受講者の業務もそれぞれ異なりますので、どちらかというと、日常の話で説明をする方が理解しやすいのでは、とも考えていますので、何かに例えたり、別の視点からの説明をすることを心がけています。
もしかすると、たとえ話や他の業務の話では、ご自分の業務への置き換えが難しいのかもしれません。

同じコメントにも受け止め方がいろいろあり、私はいい方に受け止めすぎ、とよく言われますが、そのコメントの文章自体は受講者の感想であり、それは事実です。

が、その受講者がそう思った背景やその理由は、コメントからは読み取れず、それらは、コメントを読んだ人の意見で占められます。

すると、その場(研修会場)にいた人(他の受講者や事務局の人)は、状況がわかるため、コメント意見の背景や理由はかなり正確に分かりますので、その場にいた人の意見は事実に近いはずです。
が、その場にいなかった人は、状況も分からないため、思い込みや自分の経験から推定して、意見を述べます。

すると、どちらの意見が事実に近いかは、その場にいる人の空気を読む力と、その場にいない人の推定する力の、どちらが高いかということになります。

言い換えますと、空気を読む力も推定する力も洞察力であり、洞察力の高い人の意見がかなり事実に近いのでは、とも考えられます。

もちろん、洞察力が高くても、思い込みが深すぎたり、好き嫌いが激しい場合は洞察力も曇りますので、一概には言えませんが。

全くの意見(個人的な意見や曇った洞察力で見た)を事実としてとらえ、因果関係を考えてしまうと、結果が全く異なってきますので、それは本当に事実なのかを疑い、事実と意見を区別するようにしましょう。

◆関連するセミナーを開催します
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆クリティカルシンキング入門〜システム思考で考える             ◆7PDU's
  日時・場所:【Zoom】2025年 01月 17日(金)9:30-17:30(9:20入室可)
      【Zoomハーフ】2025年 02月 08日(土)13:00-17:00+3時間
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        ※Zoomによるオンライン開催です
        ※ナイトセミナーは、2日間です
        ※ハーフセミナー、ナイトセミナーは、事前学習が3時間あります。
        ※少人数、双方向にて、演習、ディスカッションを行います
  講師:鈴木 道代(株式会社プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS)
  詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/critical.htm
  主催 プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
 ※Youtube関連動画「クリティカルシンキング」「プロジェクトマネジャーのためのシステム思考
クリティカルシンキングはプロジェクトマネジメントに必要
クリティカルシンキングで影響力の武器を使う
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  【カリキュラム】                           
   1.クリティカルに考えるとは
   2.ロジカルシンキング
   3.何を疑うのか(合理性)
   4.何を疑うのか(内省)
   5.クリティカルシンキングの4ステップ
   6.具体的状況におけるクリティカルシンキング演習
   7.クリティカルシンキング総合演習              
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著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。

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