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アンカーリングが起こると、議論の範囲が極端にせまくなる。前提を疑ってみる

第2回 前提を疑う(2)〜アンカーリング(2019.09.13)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木 道代


◆前提を疑う(2)〜アンカーリング

PMstyleでは、「クリティカルシンキング入門」セミナーを定期的に実施しています。
その中では、クリティカルシンキングのポイントとして、次の3つのポイントを解説
しています。

1.7つの心構え
2.合理性を疑う
3.思考を疑う

本連載では、上記のポイントについて、身近なことで使う例を取り上げています。前号では、「2.合理性を疑う」の中の、「常識・前提を疑う」でクラス会の開催日程が、独身の頃は、地元に帰省することが多いお盆で、それが常識・前提になっていたことでした。本号では、他の例を考えます。

Pmstyleのコミュニケーションやチームマネジメントのセミナーでは、「チームによる問題解決」をカリキュラムの中に取り入れています。
詳細は、下記コラムをご参照ください。

PMの道具箱 第51回 チームによる問題解決

この「チームによる問題解決」では、チームメンバー全員が意見を出す、ことからスタートし、チームで解決策を考えていきますが、その流れを阻害することとして、3つのポイントを挙げています。

・グループシンク:一度、グループでの話の流れができてしまうとそれに反するマイナー意見が無視されてしまうこと
・発言機会の偏り:声の大きい人だけが発言を続けたり、一部の人だけが発言を許されること
・アンカーリング

アンカーリングとは、組織の上位者が早くに意見を述べることにより、その後の発言はその意見に賛成か、反対か、または、それに関連した意見しか出せなくなることであり、船が錨(アンカー)を降ろすと、その周辺をグルグルと回ることしかできない状況であることから、ネーミングされています。
結果、議論のスコープが極端にせまくなり、その中でコミュニケーションを行うような結果になってしまいます。
アンカーリングの外に飛び出すことがができないのです。

たとえば、クラスのボスが30代の頃に、クラス会をやろうと言い出し、仲の良い数人で企画を始め、日程を決める際に、自分が学生時代にお盆に帰省していたため、お盆であれば、地元に戻っている人も多く、みんなが参加できると考え、日程はお盆とほぼ決まってしまい、その後の日程についての話し合いは、具体的な日時を決めることになってしまうのです。

また、以前エコカー減税という制度があり、駆け込みで車を購入するという方が多くいらっしゃいました。
この頃、車のディーラーさんは、エコカー減税が3月末で終わるので、3月中に車を買わないと損ですよ、と営業トークをされていたそうです。それで、車を買うのは、今しかなく、次に、どの車種を買うのかという検討に移るという商談になっていました。この「今、買わないと損ですよ」という言葉がアンカーリングです。

意思決定とは、車を買う、買わない、どこのメーカーの車を買う、どの車種を選ぶ、と段階を追って決めていきますが、それぞれの段階において、アンカーリングが発生しますと、それが前提となり、結果として、意思決定の範囲がどんどん狭まってしまい、あらゆる視点からの検討ができなくなってしまいます。

たとえ、上司の言った言葉であっても、世間一般の常識(今、車を買わないと損)であっても、顧客の要求であっても、いったん、身を引いて、聞き流さず、流れに流されず、それは、本当なのか?と考えることが、クリティカルシンキングです。

◆関連するセミナーを開催します
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆クリティカルシンキング入門〜システム思考で考える             ◆7PDU's
  日時・場所:【Zoom】2025年 01月 17日(金)9:30-17:30(9:20入室可)
      【Zoomハーフ】2024年 11月 20日(水)13:00-17:00+3時間
     【Zoomナイト】2024年 12月 18日(水)20日(金) 19:00-21:00+3時間
        ※Zoomによるオンライン開催です
        ※ナイトセミナーは、2日間です
        ※ハーフセミナー、ナイトセミナーは、事前学習が3時間あります。
        ※少人数、双方向にて、演習、ディスカッションを行います
  講師:鈴木 道代(株式会社プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS)
  詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/critical.htm
  主催 プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
 ※Youtube関連動画「クリティカルシンキング」「プロジェクトマネジャーのためのシステム思考
クリティカルシンキングはプロジェクトマネジメントに必要
クリティカルシンキングで影響力の武器を使う
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  【カリキュラム】                           
   1.クリティカルに考えるとは
   2.ロジカルシンキング
   3.何を疑うのか(合理性)
   4.何を疑うのか(内省)
   5.クリティカルシンキングの4ステップ
   6.具体的状況におけるクリティカルシンキング演習
   7.クリティカルシンキング総合演習              
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著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。

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