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仮説検証を繰り返して本質を探す。コンセプチュアル思考の直観的/論理的の思考軸が重要です。経験に基づき直観的に思い浮かべた点を論理的に検証し、論理的に妥当かどうかを分析し、その分析に基づき、その仮説が本質だと考えられるかどうかを判断します

第6回 本質の探し方(3)〜仮説検証を繰り返す(2018.12.19)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆VUCA時代の本質を探す方法


今回は、本質を探す方法の3回目(連載通算6回目)で、仮説検証を繰り返して本質を探す方法について説明します。前の2回が、Whyによる掘り下げ、Whatの関連付けでしたが、これらの方法と比べると、本メルマガで前提にしている

VUCA(「volatility」(変動が激しく不安定)、「uncertainty」(不確実性が高く)、「complexity」(複雑で)、「ambiguity」(曖昧な))

な環境や時代には、もっとも実用的な方法だと言えます。

方法自体はそんなに複雑ではありません。

(1)本質の仮説立案
(2)仮説検証
(3)検証結果
(4)判断

の4ステップを、判断で本質だと判断されるまで行います。つまり、本質を仮説として立案し、仮説思考を行います。


◆仮説思考の難しさ


しかし、この方法はあまり本質の見極めには使われない現実があります。その理由は

・本質の仮説を立案する方法が分からない
・仮説検証には調査以外の行動が必要な場合があり、対応できない

の2つだと考えられます。


◆2つの問題の解決の方向性


前者については、直感(直観)を活用することが解決策になります。最近、直感や右脳思考など、思考の中に直観を用いていくことが普及してきています。コンセプチュアル思考でも直観を5軸の一つとして位置付けています。

コンセプチュアル思考の直観は、直観―論理の軸ですが、仮説検証による本質の見極めはこの軸を使った思考を中心に行う思考です。

その説明をする前に、後者の問題について考えておきます。実際に本質を考えたい局面は構想や問題解決の中で多いことからも分かるように、仮説検証を実際にやってみて判断するという進め方はやりにくい場合が普通です。

しかし、不確実性が高いVUCAの中では、仮説の立案と検証をしながら思考をしていかざるを得ない状況が一般的であり、今後、仮説検証を行いながら要求や問題の本質を考えていくことは一般的になってくると考えられます。

ということで、おそらく後者の問題は今後、自然に回避されていくものと思われますが、待てないという人は、やはり、情報収集の変形として仮説検証をしていくしかないでしょう。もちろん、それでは検証できないこともありますので万全とはいえませんが、本質を探すという目的であれば、ある程度の成果は得られると思われます。


◆仮説思考の例

さて、もう一度、仮説の立案を直観を使って思考するという話に戻ります。直観を使って仮説を立案すると、次は仮説の検証を行います。そして、検証結果が納得できればその仮説を本質だと考えることができます。納得できなければ、そこからさらに直観を働かせて、新しい本質に対する仮説を立案し、検証していくわけです。

一つ例を挙げて説明しましょう。

SIベンダーS社ではプロジェクトマネジメントの導入により、1億円以下の案件(大規模プロジェクト)では大幅に収益が改善したが、1億円を超えると赤字プロジェクトが目立つ。

という状況があり、この問題の本質を考えて対応をします。そこで、直観により、「計画ができていない」ことが問題の本質ではないかと考えました。ここで、直観といっているのは、経験上、直感的にこのようなものだろうと考えたという意味あいです。

しかし、確認したところ、失敗プロジェクトを調査したところ、計画はあるようです。そこで、さらに経験を振返り、「計画実行のスキルが低い」のではないかと考えました。この仮説を検証したところ、個々人のスキルについては問題ないのですが、手待ち時間が多いことが分かりました。

そこで、直観的に「コミュニケーションに問題がある」のではないかと考えました。今度はこれを仮説として「メンバーが計画を知っているかどうか」を検証したところ、「メンバーは自分の作業計画は知っているが、他の作業との関係を知らない」ことが分かり、確かに「コミュニケーションの悪さ」が問題の本質だと考えるに至りました。


◆コンセプチュアル思考と仮説思考


この一連の思考は、直観と論理の行き来に他なりません。経験に基づき直感的に思い浮かべた点を論理的に検証し、論理的に妥当かどうかを分析し、その分析に基づき、その仮説が本質だと考えられるかどうかを判断しています。

これから分かりますように、この方法はWhyやWhatを活用する方法と比べ、現象を構成している事象が分からない場合や、変動する場合にも対応できます。この進め方にコンセプチュアル思考を活用することによって、経験の有用性が高まり、筋のよい直感を思い浮かべることができます。

次回は、もう少し、コンセプチュアル思考を積極的に用いた方法を説明したいと思います。

(続く)

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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