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WHYを繰り返すことで、本質を見極めますが、「だから」と「なぜならば」の両方を考え、違和感がないかを確認します。コンセプチュアル思考の抽象的/具象的の軸が重要です。

第4回 本質の探し方(1)〜WHYによる掘り下げ(2018.10.17)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆本質を探す方法

WHYによる掘り下げにはさまざまな方法が提案されています。例えば、ラダリング、なぜなぜ分析、トヨタの5WHYなどです。その意味で本質の捉え方としては最も馴染みのある方法だといえます。

前回、何を本質だと思うかは主観であるといいましたが、厳密にいえば、ステークホルダーが納得する主観、いわゆる「間主観」です。その意味で、機械的にWHYによる掘り下げをしていたのでは、本質にはたどり着きません。掘り下げる方向性を注意しないと、本質とはかけ離れたところに行ってしまします。それぞれの方法は独自の工夫をして本質にたどり着こうとしています。


◆WHYの掘り下げによる違和感

例えば、新製品開発プロジェクトの進捗報告会で部長が課長にこれ以上プロジェクトが遅れない手を打つように指示しました。問題の再発防止のためには、本質的な問題を見つけ、その問題を解決しなくてはなりません。

そこでWHYで掘り下げていって、本質的な問題がどこにあるかを考えていきます。このとき、よくやるのは、例えば以下のような展開です。

・要員が足らない (だから) 計画通りに仕事が進まない
・予定外の突発的な対応が続発したからだ (だから) 計画通りに仕事が進まない

これにはいずれも納得できない人がいます。たとえば、要員がいれば計画通りに進んだのかと考える人が出てきます。このような展開では、ステークホルダーが納得する本質的な原因にはたどり着けないことになります。


◆「だから」と「なぜならば」の両方を考える

このような展開にならないようにするには、

・「根拠 だから 結論」 は納得できるか

と同時に、

・「結論 なぜならば 根拠」 は納得できるか

を考えてみることが効果的です。上の例ですと、

・仕事が計画通りに進まない (なぜならば) 要員が足らない

となり、違和感があります。これを他の要因が考えられなくなるまで繰り返し、考えていくと、筋の良いWHYを見つけることができます。たとえば、上の例ですと、

・開発作業の着手が遅れた (だから) 計画通りに仕事が進まない
・計画通りに仕事が進まない (なぜならば) 開発作業の着手が遅れた

といるロジックは両方とも納得できます。そこでさらに掘り下げ、

・要求ドキュメント作成に時間がかかった(なぜならば)開発作業の着手が遅れた

ということで、ドキュメント作成に時間がかかったことを本質的な問題だとすると違和感はありません(もうすこし、掘り下げたいという人もいるかもしれません)。

本質的な問題を突き止めることができれば、問題解決策を考え、実行していけばよいことになります。


◆注意すべきこと

ここで注意してほしいのは、よく問題の答えは一つではないのでということを言いますが、これはなんでも答えになるということではありません。実施してみて効果的な答えというのは当然あり、それに行き着くには本質的な問題を見極めていることが大前提になります。

もう一つ注意しておいてほしいのは、何がWHYとして納得できるかは、状況(課題)によって変わるということです。

例えば、上の例で状況がプロジェクトでの再発防止ではなく、部での再発防止だったとします。すると、

・予定外の突発的な対応が続発したからだ (だから) 計画通りに仕事が進まない

というロジックの逆

・予定外の突発的な対応が続発した (なぜならば)計画通りに仕事が進まない

は納得できます。

(続く)


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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