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第3回 本質とは何か(2018.09.13)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆本質は主観である

前回はコンセプチュアルスキルの概要を説明し、その中で本質を考えることが果たしている役割を述べました。では、本質を見極めるにはどうすればよいのでしょうか?
今回からは、この問題について考えてみたいと思います。

まず、最初に認識しておくべきことは、何が本質だと思うかは主観だということです。本質という言葉を正しいもの、正解があると考えたがる人がいますが、決してそうではありません。

例えば、今多くの企業が残業を減らそうとしていますが、あなたの会社で残業が多いという問題の本質はどこにあるのでしょうか。一人一人の生産性にあると考える人もいるでしょうし、無駄な仕事が多いことにあると考えている人もいるかもしれません。業務プロセスにあると思っている人もいるかもしれません。


◆本質とはものの見方

つまり、本質とは、ものの見方の問題なのです。問題解決の本質であれば、どこを解決すれば問題全体が解決できるか、プロジェクト成功の本質であればどこを押さえればプロジェクトがうまく行くと考えるのかという問題なのです。

言い換えると課題を解決する答えというのはいくつか考えられ、それはいずれも正しい。裏を返せば、こうすればよいという明確な答えがない課題に対処しようと思えば、まず、本質が何かを考え、それを中心に課題解決を進めていくしかないのです。

これが、最近本質が重要だと認識されるようになってきた理由でもあります。


◆本質は共感されなくてはならない

このように本質は主観なのですが、重要なことは誰もが認める(共感する)主観であることです。これはプロジェクトの例を考えるとよく分かると思います。

メンバー一人一人がそのプロジェクトの成功の本質を違うところにおいていたら、まずうまく行きません。まずはリーダーを中心にチームで話し合い、全員で共有する必要があります。例えばリーダーの考えで行くなら、そこにチーム全員の共感を得なくてはなりません。

ただし、あくまでも主観ですので、プロジェクトに関係のない人までが共感する必要はありません。


◆本質へのアプローチの4つのスキーム

少しくどくなりましたが、本質の位置づけは以上です。それでは、どのようにして本質を見つけていけばよいのかを議論していきたいと思います。我々は以下の4つのスキームを提唱しています。

(1)概念的に捉える
(2)構造的に捉える
(3)直観的に捉える
(4)統合する

ここではまず、各スキームの概要を示したのちに、例を使いながら詳しく説明していきたいと思います。

まず、(1)の概念的に捉えるですが、これは簡単にいえば、Whyによって掘り下げていく方法です。この方法としては、ラダリング、なぜなぜ分析、トヨタの5Whyなど、さまざまな方法が提唱されていますので、一番馴染みがあります。

ただ、掘り下げる方向性を注意しないと、本質とはかけ離れたところに行ってしまします。その点についてはのちほど、例を使いながら説明していきます。

次に(2)の構造的に捉えるですが、これは、Whatを関連付けて、その構造を見る方法です。構造には因果関係にできるものとできないものがあり、それそれの場合でやり方が違います。たとえば、因果関係があるものなら、システム思考で因果ループ図を使って構造を捉えることができます。因果関係がない場合には相関図を使って構造を捉え、その構造の中から本質を見極めていきます。

(3)の直観的に捉えるは、直観で感じたことを確かめていくという方法です。もっともよく使われるのが、本質に対する仮説を直観により立て、仮説検証の繰り返しで本質に迫るという方法です。仮説の立案が直観ですので、人により本質の違いが生まれやすい方法です。

(4)はコンセプチュアル思考で5軸を統合する(統合思考)方法です。コンセプチュアル思考というのは我々が提唱している本質を見つけるための思考法で、抽象―具象、大局―分析など5つの軸を使って行き来した思考を行い、その結果を統合して、本質が何かを考えるものです。

以上の4つのスキームについて、次回以降、例を示しながら、説明したいと思います。

(続く)


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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