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第48話:ファシリテーターのためのコンセプチュアル思考(2018.10.11)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆ファシリテーションに必要なスキル

ファシリテーションはずいぶん普及してきて、多くの人が行うようになってきました。ところが、ファシリテーションのうまさは個人差があるようです。ファシリテーションのポイントはいくつかあり、よく言われることに

・コミュニケーションしやすい場づくり
・意見を受け止め、引き出す。さらに意味を掘り下げる
・意見を整理し、まとめる

といったようなことがあります。このような活動をするためにはさまざまなスキルが必要ですが、根本的なスキルとしてコンセプチュアル思考があります。今回は、ファシリテーターのコンセプチュアルスキルについて考えてみたいと思います。


◆論点や切り口を示す

ファシリテーションの成果は、どれだけ良質の意見が出てくるかによって決まるといってもよいでしょう。つまり、意見の受け止め、引き出しをうまく行うことが何よりも重要だといえます。そのためには

・論点や切り口を示す

ことが最重要なスキルになります。このスキルで、ファシリテーターとしての器量が決まってくるといっても過言ではありません。

論点や切り口を示すには、まず、コミュニケーションしやすい場づくりが前提になりますが、場づくりだけでは不十分です。

自由に意見が出るのは一見良いことのように思えますが、ファシリテーションを入れたい議論の場はブレーンストーミングではありません。何か、合意を形成したり、相互理解をするという明確な目的があります。その目的に向けて、発言や参加を促す、話の流れを整理する、参加者の認識の一致を確認するといった形で介入し、サポートをするのがファシリテーターです。

このような活動には議論の本質を見極めるコンセプチュアル思考が欠かせません。


◆ダイナミックな切り口の設定

ブレーンストーミングであれば場づくりをして、出てくる意見をそのまま受け止めればいいわけですが、論点や切り口の設定はダイナミックに行う必要があります。つまり、出てきた意見によって議論の方向性を考え、その方向性での議論の切り口を提示していく必要があります。

もう少し細かく見ると、その議論に参加しているメンバーのさまざまな(具体的な)発言を受け止め、それらを概念化(統合)し、概念を示します。そして、その概念を全員に示し、新たな(具体的な)意見の導出に使っていきます。


◆事例〜問題事象の抽出

例えば、ある1年間で最初の3か月が終わった段階で、プロジェクトで生産性を改善するために何をすればよいかという議論をしていました。まず問題事象を洗い出したところ、多くの事例が上がってきました。そのうち、リーダーAに関連するものを取り上げてみると以下のようなものがありました。

・プロジェクトリーダーAの判断が遅れ、1週間手待ちが生じた。
・部長(プロジェクトの組織側の責任者)の意向により、Aリーダーの判断が変わり、それまでの作業が無駄になった
・・・

また、計画に関連して以下のような問題事例も出てきました。

・計画上は残業なしで作業を終わることになっているが、現実にはEを除いてメンバー全員に残業が多い
・ほとんどの作業は、作業時間そのものは計画通りに終わっている
・作業Xの後、作業Yをやる予定になっていたが、途中で作業Xの結果が間違っていることが判明し、手戻りした
・・・

さらに、スキルについても問題があるという意見が出てきました。

・メンバーCのスキルが低く、成果物の品質が悪く、他のメンバーの作業が止まることが多い
・メンバーDは経験の浅いメンバーと一緒に作業しているが、8割くらいはDがやっている。


◆事例〜概念化する

こういう議論の流れの中で、問題解決としてよくやるのは

・具体的な場面想定をしたリーダーAの意思決定の迅速化
・計画の見直し(具体的な見直しの必要な部分のみ)
・スキルの低いメンバーのサポート

といった感じで、問題をいくつかのカテゴリーに分け、それぞれに対して解決方法をしますという方法です。

しかし、実際に欲しいのは目先の話ではなく、このあと9か月、同種の問題が起こらないようにする問題解決です。そのためにはまず、実際に発生している問題の本質がどこにあるのかを考える必要があります。

例えば、上のような意見を聞いて、ファシリテーターを担当していたサブリーダーのBは、本質的な問題はプロジェクトの基本方針が決まっていないために、さまざまな形で問題が出ているのだと考えました。

それぞれの問題がなぜ起こっているのかを参加者に問いかけました。例えば、

・リーダーAの判断が遅いのはなぜか、組織の意向で意見が変わるのはかぜか、

を考えてみると、プロジェクトとしての進め方の方針が決まっていないことにみんなが気づきました。同様に、他の問題についてもなぜ発生しているかを考えているうちに、これが共通の問題として出てきました。


◆事例〜本質的問題に対する問題解決

そこで、方針を明確にするために、プロジェクト憲章のメンバー全員の共通認識が必要だとい話になりました。そして、それを具体的な問題事象で如何にして行うかを話し合ったところ、それぞれの問題をプロジェクト目的と目標の実現のためにどう対処すればよいかを考えるという問題解決策が出てきました。

そして、それぞれの問題について対処すべき方法を話し合いました。プロジェクトの目的はこれまでの発想では出てこない製品にすることでしたので、例えば、部長が過去の経緯によっていろいろといってくることは基本的に断る方向で考えるといったことにしました。

◆目に見えない問題を解決するファシリテーション

このようにファシリテーターのコンセプチュアルスキルが高ければ、個別の具体的な問題の直接的な解決策とは違う問題解決策が生まれます。

言い換えると、目に見えている問題の解決だけではなく、目に見えていない問題も同時に解決できるわけです。

これこそが、ファシリテーションだといえます。ファシリテーションらしいファシリテーションを実践したければ、如何に議論の本質を設定するかにかかっているといえます。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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