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第26回 プロジェクトチームの責任を明確にする(2018.11.02)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


☆これまでの記事

第25回 コンセプトに整合する計画を策定する

(第25回から続く)

<ストーリー2>

徳田はいいのではないかと言い、芦田も合意した。そこで、藤田は

「では、この計画で組織の承認を取り、あとは随時プロジェクト側で計画を詳細化しながら進めるということでいいでしょうか」

と確認した。そこへ徳田が口をはさんだ。

「確かに大きな流れとしてはその通りですが、考えてほしいことがあります。それはどうやって計画したベースラインを実行するかです。どのように考えていますか」

藤田は芦田と顔を合せたが、芦田も困っていた。その様子をみて徳田が続ける。

「ベースラインを設定することと、それを実行するための活動を併せてマネジメントになります。そこでマネジメントの計画を作らなくてはならないのですが、その前にプロジェクトの体制を明確にすべきです。つまり、責任体制です」

「責任体制なら、プロジェクト憲章に記載していますが」と藤田。

「いえ、計画なのでスコープに即して作っていく必要があります」と徳田。「WBSに対応したOBSとRAMを作りましょう」

徳田は2つのツールの簡単な説明をし、早速3人でOBSとRAMを作り始めた。

<ストーリー2 終わり>

次に、ベースライン計画をどのように実行していくかを決めるアプローチの決定をしなくてはなりませんが、その前にベースライン計画と併せて必ずすべことがあります。それは、責任の設計、言い換えるとプロジェクト体制や組織の決定です。

ベースライン計画を決める以前の問題として、上位組織とはどのようなメカニズムでベースラインを承認しているかという問題があります。これは簡単で、どのような責任を持つかを決め、その責任を取るために必要な「権限」を決めます。ですが、ここが逆になっていることが少なくありません。

例えば、以下のような組織を設計したとします。

A ── B ─┬ C
        |
         └ D

このときに、AとBには上下関係があると考え、AはB、C、Dより権限を持つと考えます。具体的には、AはB以下の行使する予算を承認したり、B以下に指示できるわけです。ところが、現実には責任を明確にしないままで、権限だけ決めているケースの方がはるかに多いと思われます。

このように「権限」から考えるのは間違いです。

まず、設計すべきなのは「責任」です。つまり、投資の判断、品質の判断、販売の判断など、プロジェクトで想定されるいくつかの代表的な状況における意思決定の責任を明確にすることが不可欠です。

しかし多くの場合、権限から先に決めるので。そうすると権限がやたらと増え、政治的な活動の必要性が高まります。後で述べるステークホルダーマネジメントが大切だというのはその通りなのですが、それ以前に責任があってのステークホルダーマネジメントです。最近、ステークホルダーマネジメントが注目されるようになってきました。その中で、よく聞く問題の一つにいわゆるプロジェクトスポンサーが責任を明確に認識していないという問題があります。ところが観察していると、権限は行使していることが多いのが実態です。

特に新規性の高いプロジェクト組織の場合はこの配慮は重要です。反復性の高いプロジェクトであればある程度、業務が決まっており、権限と責任が同期しているので、権限を決めれば責任がついてくるという見方もできます。現に、権限だけを明確にしているのはそういう背景があるのかもしれません。

ところがプロジェクトの場合、定型業務ではないので責任はさまざまです。そのため、権限から決めると責任が誰にあるのかわからないケースが出てくることがよくあります。結局、プロジェクトマネジャーが最終責任を取るということで、いわゆる権限のない責任というのが出てくることが少なくありません。

最悪なのは、ここで権限委譲をしてしまうことです。つまり、意思決定が出てきた場面に遭遇したときにはじめて権限委譲をします。このように進めると、すべての意思決定が政治的な活動になり、権限を持つ人の顔色を伺わざるを得なくなります。要するに、プロジェクト組織をデザインするときに、権限は組織の権限をそのまま持ち込み、責任はプロジェクトマネジャーにあると考えているケースが多いのが現実なのです。

このような状況になるのを防ぐには、計画の中で責任をきちんと設計し、計画実行として責任を運営していくことです。

プロジェクト組織の設計に関しては、WBSに併せて、OBS(Organization Breakdown Structure )という素晴らしいプロジェクト組織計画のツールがあり、また、責任の設計のツールとしてRAM(Responsibility assignment matrix)というツールがあります。これらを駆使して、まず、責任を設計し、責任を果たすための権限を決定する必要があります。

このようにアプローチを決める前に、責任を明確にしたプロジェクト組織を計画し、その上でプロジェクトチームの責任を明確にする必要があります。

(続く)


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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