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ビジネスモデルの構築プロジェクトでは、情報システムという成果物の構築ですべて片付くわけではない。プロジェクトに対する要求は、ビジネス要求、プロジェクト要求、成果物要求があり、プロジェクトの目的にはビジネス要求が影響する

第22回 プロジェク目的・目標とビジネス要求(2018.08.17)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

第19回 プロジェクトの本質をとらえたプロジェクト課題(1)

第20回 プロジェクトの本質をとらえたプロジェクト課題

第21回 プロジェクトの目的を決める

(第21回から続く)

◆目的・目標と要求

第19回〜第21回ではコンセプトからプロジェクトの目的・目標を決定する考え方と手順について解説しました。第22回〜第24回では、コンセプトから落としていくもう一つの要素である成果(物)の要求について考えたいと思います。

まず、最初は、目的や目標と、成果物に対する要求をどのように位置づけていくかを考えてみます。たとえば、情報システムの開発プロジェクトであれば多くの場合、目的は成果物を実現することによって達成できます。目的を達成するための目標はシステムの開発とそのためのコストや時間などの数値に限られることが多いからです。

これに対してビジネスモデルの構築プロジェクトでは、情報システムという成果物の構築ですべて片付くわけではありません。ビジネスモデルの構築のためのさまざまな作業を実施する必要があります。これらは目標として設定しますが、必ずしも成果物として定義されるとは限りません。余談になりますが、これができないことが日本の企業が情報システムを使ったビジネスモデル構築ができないと言われています。

さて、では、次のストーリーを読んでください。

<ストーリー1>

キックオフに続き、第2回のミーティングが開催された。参加者はプロジェクトリーダーの藤田とコンサルタントの徳田、加えて、プロジェクトの中心メンバーと予定している芦田だ。キックオフミーティングでは

『口コミによって販売を促進できる仕組みをネットユーザー全員に提供する』
『我々の商品の利用者が、利用したことがない人に商品の良さを伝える仕組みを提供
する』

という課題解決コンセプトを決め、またこれに対して、プロジェクトの目的として

『利用者が商品の良さを伝え、購入を促し、それを聞いた人が利用し、また別の人に推奨する好循環を起こす』

を定義した。その上で、目標として以下の2つを設定した。

『帆布製品の口コミSNSの実現』
『帆布製品のネット販売の仕組み作り』

藤田はこのままプロジェクト憲章を作るつもりだったが、徳田は

「プロジェクト憲章を作る前に、プロジェクトに対する要求をもう少し、明確にしておいた方がよいと思います」

というアドバイスをした。

「要求は開発の中で明確にしようと思っていますが、なぜ、この段階で明確にした方がいいのですか」

と藤田。徳田は

「確かにシステムを開発することが決定しているプロジェクトだと要件定義はプロジェクトの実施段階でいいでしょう。ただ、今回はプロジェクトの課題にシステムの構築を入れておらず、ひょっとするとシステムを作らないかもしれない。すると、目的や目標を達成するために何をすればよいかが不確定になるので、目的や目標とは別に、要求を明確にすることによって両輪でプロジェクトを進めていくのがよいと思います。」

と説明した。

<ストーリー1終わり>

まず、最初に要求にはどのようなものがあるのかを整理しておきます。一般にプロジェクトに対する要求は以下の3つが考えられます。

(1)ビジネス要求
(2)プロジェクト要求
(3)成果物要求

ビジネス要求は、ビジネスニーズやビジネス戦略上の必要性です。大抵の場合、ビジネス要求はコンセプトを介して、プロジェクト目的に反映されます。

プロジェクト要求は、プロジェクトで実現してほしいことで、スコープ、納期、予算、その他のプロジェクト目標です。そして、3つ目の成果物要求はプロジェクトで作る成果物の仕様になります。プロジェクトの要求の洞察はこの3つの視点から行われることになります。

前回説明しましたように、プロジェクトの目的は目標を達成することによって実現されますが、目標の一つに成果物を開発することが位置付けられるケースが多くあります。

その場合、目標としては、例えば、

「顧客の要求するシステムを開発する」
「ユーザーの要求する製品を開発する」

といった形で要求を明確にすることが含まれてきます。つまり、プロジェクトの目的と要求の関係はどちらかが主ではなく、相互に影響を与えるものになりますので、ここでは前回触れましたが、目的と要求を並行して考えることにします。

ただし、上に述べましたように、プロジェクトの目的にはビジネス要求が影響していることを考慮しておいてください。

(続く)

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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