◆コミュニケーションとは
今回は、プロジェクトにおけるコミュニケーションについて、考えます。
コミュニケーションとは、相互作用プロセス、意味伝達プロセス、影響プロセスの3つのプロセスを総合した活動を指しています。
相互作用プロセスとは、当事者がお互いに働きかけ、応答し合うプロセスのことであり、問いかけや依頼に対して回答するコミュニケーションです。
意味伝達プロセスとは、一方から他方へ意味を伝達するプロセスのことであり、情報を伝えるコミュニケーションです。
影響プロセスとは、一方が他方に影響を及ぼすプロセスのことであり、コミュニケーションを通じて人は他者に影響を与えることができます。
プロジェクトでは、複数の人が関わりますので、当然のことながら、コミュニケーションは不可欠です。
コミュニケーションでは、意味伝達プロセスだけで十分だと思われがちですが、コミュニケーションに起因して失敗するプロジェクトを分析してみますと、コミュニケーションに関するルールが決められていない、決めていてもあいまいである、ということが多いようです。
あいまいな点は次の4点で、その場合、でてくる言葉も決まっています。
・コミュニケーションのタイミングがあいまい。「必要に応じて・・・」
・コミュニケーションの基準があいまい。 「問題があれば・・・」
・コミュニケーション経路があいまい。 「しかるべき人に・・・」
・報告内容があいまいさ。 「臨機応変に・・・」
なぜ、ルールがあいまいなのかを考えてみますと、いつも一緒にいるので以心伝心だよとか、今までの慣習で決まっているとか、いつもこのやり方なので、といったことのようです。
つまり、
・話せば分かるという錯覚
・情報発信者が必ずコミュニケーションを開始するはずという錯覚
・必要な情報は誰かが教えてくれるという受動的な態度
がコミュニケーションミスなどの問題を引き起こす誘引になっているわけです。
これらの誘引をなくすためは、意味伝達プロセスだけではなく、相互作業プロセスもコミュニケーション活動であり、まずは働きかけること、つまりプロアクティブがコミュニケーションのキーワードである、と考えることから始まります。
プロアクティブとは、先読み、先手必勝などの意味であり、リスクマネジメントのキーワードでもあります。(続く)
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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