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シナリオプラニングは未来適応戦略を策定のための分析手法ですが、未来創造のシナリオプラニングではビジョン策定まで行います。

第2話:シナリオプラニング(2)(2013.12.14)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆シナリオとビジョン

前回、シナリオプラニングの歴史や必要性を説明し、シナリオプラニングの大まかな流れとして以下のようなものになるという説明をしました。

(1)描きたいシナリオの範囲を決めて、リサーチを行う
(2)分析をする
(3)情報を統合する
(4)ストーリーでプランを描く
(5)複数の選択肢を提示する

今回はこの手順をもう少し細かく見ていくことにします。まず、シナリオプラニングのゴールイメージですが、文字通りシナリオです。シナリオという言葉の意味ですが、ドラマのシナリオという言葉のイメージがあって、一つの筋書きをイメージする人が多いですが、シナリオプラニングのシナリオは複数の筋書きを意味します(この筋書きもシナリオと呼ぶことが多いので少しややこしいのですが)。

前回述べましたように、シナリオプラニングは従来、未来適応戦略を策定のための分析手法として位置付けられていました。つまり、未来適応のシナリオプラニングでは複数の選択肢を提示するところがゴールで、シナリオを使って妥当性のあるシナリオを選んで戦略を策定します。

これに対して、未来創造のシナリオプラニングではビジョン策定までを行うことがあります。つまり、もっとも望ましいシナリオを選んで将来ビジョンの描くわけです。

ビジョンの描き方については後で触れることにして、まず両方のシナリオプラニングに共通するシナリオを作るところまでの進め方を説明しましょう。


◆シナリオの範囲

まず最初に描きたいシナリオの範囲(フレーム)を決めます。たとえば、

・産業
・顧客
・製品
・技術

といったものです。シナリオの範囲は何についての将来ビジョンを描きたいかによって決まります。範囲が決まったら関連情報を可能な限り収集・整理し、分析を行います。


◆ドライビングフォース(変化要因)とインパクト

シナリオプラニングで最大のポイントになるのは、未来に対する根本的な変化要因は何かという分析です。この要因は「ドライビングフォース」と呼ばれます。

ドライビングフォースは一般的に以下のようなフレームの中にあると考えます。

(1)製品
(2)市場
(3)技術
(4)生産能力
(5)販売手段/物流
(6)天然資源
(7)規模/成長
(8)売上/利益

ドライビングフォースを見つけるには、社会、業界、自社などに関する情報収集を行うわけですが、この際には(1)~(8)の要因ごとに、ビジョンの実現に関連する情報を集めていけばよいわけです。

次に、ドライビングフォースが未来に与える影響を分析します。これをインパクト分析といいますが、ドライビングフォースによって、どのような影響があるが、その確率はどの程度のものかを分析するわけです。


◆情報の統合

このようにして、ビジョンを描くためにどのような変化要因と影響が分かります。そこで、これらの情報を範囲を考慮しながら統合していきます。たとえば、産業であれば

・全体でみるとその産業はどうなるか?
・どの要因が産業に関連し、その要因によって何が引き起こされるか

などの視点で整理していきます。

この中かから意味のありそうなものを選んでいき、ブラッシュアップします。同時に、それらを一目で分かるような形で整理します。たとえば、範囲ごとに時間軸(タイムフレーム)に並べてみます。


◆複数のプランを準備する

このようにして全体を見渡せることによって、変化の構造が見えてきます。ここをうまくつかむことがシナリオプラニングの2番目のポイントになります。ここで意識しなくてはならないのは、予測の根拠がしっかりしているかどうかです。シナリオを作るときにはなんとなくイメージで流してしまうことがありますので、根拠を明確にしながら整理していくことが重要です。

最終的にはシナリオとして時間軸でストーリーでプランを書きます。そして、これを複数準備し、選択肢を提供します。


◆ビジョンを描く

冒頭に述べましたようにシナリオを作る目的は、考えたい範囲での将来ビジョンを描くことです。たとえば、シナリオから市場のビジョンを描くのであれば

・誰を対象に,どのような製品を生み出すか?
・どのように競争相手と戦うか
・どのようにして収益を上げるのか

といったビジョンを決めます。さらに、産業まで含んたビジョンであれば

・市場の中でどのような地位を獲得し,どのような役割を果たすのか

といったことも決めていく必要があります。

以上がシナリオ分析とシナリオからビジョンを描くワークの概要です。前回の最後に述べましたように、シナリオプラニングはプログラムマネジメントにおいては不可欠な手法です。身につけておきたいですね。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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