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第80回 調達のツール:内外製分析(2015/08/04)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木 道代

◆内外製分析

PMBOK(R)ガイド第5版では、プロジェクト調達マネジメントの知識エリアのプロセスを次のように定義しています。

・調達マネジメント計画:計画プロセス群
・調達実行      :実行プロセス群
・調達コントロール  :監視コントロールプロセス群
・調達終結      :終結プロセス群

立上げプロセス群以外にプロセスに1つずつ配置され、第4版から、インプット、ツールと技法、アウトプットに少し変更が入り、名称が変更されています。

この名称変更は調達知識エリアだけではなく、全般的に、計画にはマネジメントがつき、監視コントロールプロセス群のプロセスには、「○○コントロール」という名称に変更されています。

ちなみに、第3版では、調達知識エリアには、なんと、6つのプロセスがありましたが、第4版で、かなりすっきりしました。

 第3版 −−−−−−−−−→ 第4版
◎計画プロセス群
・購入・取得計画−−−−−┐
・契約計画−−−−−−−−┴→ 調達計画

◎実行プロセス群
・納入者回答依頼−−−−−┐
・納入者選定−−−−−−−┴→ 調達実行

◎監視コントロールプロセス群
・計画管理−−−−−−−−−→ 調達管理

◎終結プロセス群
・契約終結−−−−−−−−−→ 調達終結

さて、「調達マネジメント計画」プロセスのツールと技法である「内外製分析」ですが、PMBOK(R)ガイドでは、

「プロダクトの要求事項に関するデータを収集し、体系化するプロセス。そのデータをプロダクトを購入するか内部で製造するか、という可能性のある選択肢に対し分析を行う」

と用語集に記載されています。

通常は、外注することが暗黙に決まっていて、従来からお付き合いのある業者さん数社に規模感とスケジュール感を伝えて、見積もりをとって、という流れかもしれません。

ですが、昨今は新しい技術の移り変わりが激しく、また、社内で担当できるリソースの増減もあり、戦略をもって外注することが、特に、求められています。

また、「ユーザ主体開発〜ITによるイノベーション可能にするプロジェクト推進体制」という大きな流れもあり、システム内製化は大きな課題となっています。
「ユーザー主体開発」とは、顧客や利用者、利用部門や組織が主体性をもって製品やサービス、情報システムを開発することであり、ユーザー主体開発を進めることで、組織学習が進み、プロジェクトマネジメント能力も高まっていく、というメリットが期待できます。

内外製分析とは、この技術を社内で保有し、育てていくために、今回のプロジェクトでは、外注するが、その中で技術者を育てていく、とか、また、反対に、この技術を保有するために、技術者を採用し、内製するとかの判断を、技術戦略、外注戦略に基づいて決めていくということです。

そのためには、WBSに基づき、要素成果物毎に、内外製を判断します。
判断材料は、見積り(タイム、コスト)、リスク、技術戦略であり、それらの項目について、内製、外製のどちらがすぐれているか、また、要素成果物のスコープについて、その内容を検討し、主要技術、制約条件などから、内製か外製のどちらが優れているのかを判断します。

また、この時点で、必ず自社にて見積り(独自見積りと呼ばれています)を作成し、外製の場合の見積依頼書(RFP)に対する回答である提案書に提示されている金額やスケジュールを評価する場合のデータとして使用します。

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著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。

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