◆品質リスク管理(3)〜品質リスク管理の原則
前々号では、
遠藤功さんが『「日本品質」で世界を制す!』
の中で、提言されている、品質に対する課題においての2つの視点、「品質管理高度化の視点」と「品質リスク管理の視点」、前号では、「見えない不良」と戦うためには、顧客視点の品質管理が唯一の方法であることをご紹介しました。
PMの道具箱(73)品質リスク管理(1)〜「見えない不良」と戦う
PMの道具箱(74)品質リスク管理(2)〜顧客視点の品質管理
『日本品質で世界を制す!』のビジネス書の杜はこちらをご覧ください。
本号では、品質リスク管理の「四つの原則」について、ご紹介します。
昨今の複雑化している社会では、品質問題は必ず起きると考えて、マネジメントを考える必要があります。
つまり、品質を管理するだけではなく、品質に関するリスクを管理する仕組みを作ることや品質リスクに対するマインドを醸成するようなマネジメントを行うということです。
遠藤さんは、著書の中で、品質リスク管理では次の四つの原則が重要であると述べられています。
・原則1:受動的ではなく、能動的に対応する
品質問題については、企業側から能動的に行い、かつ、品質担当者ではなく、企業の責任者が対応する
・原則2:初期対応重視
品質リスク管理は、「初動」が重要であり、対応が遅れれば遅れるほど、火の手が 大きくなる
・原則3:情報開示
「初動」の重要性は、積極的な情報開示となり、タイムリーは情報開示が、求められる
悪いニュースが少しずつ、いつまでも出続けるということは、最も避けるべきなことであり、プロジェクトマネジメントにおいても同様ですね
・原則4:一貫性のあるわかりやすいコミュニケーション
コミュニケーションにおいては、一貫性が求められ、いろいろな人がバラバラなことを言うなど、最も避けるべきである
これらの原則を見てみますと、プロアクティブなリスクマネジメントやコミュニケーションが重要であるということからも、プロジェクトマネジメントにおいても、同様ですね。
ここまでは、製品の品質の話でしたが、成果物の品質を上げるためには、プロジェクトの品質を上げること言うことも重要です。
プロジェクトの品質とは、製品の品質 + プロジェクトマネジメントの品質です。
プロジェクトマネジメントの品質とは、目標を達成するための計画を策定し、計画に従って、プロジェクトを実行するという品質です。
計画がうまく実行できずに目標が達成できないのは、なぜか?どんな事象が起こるからなのか?ということを考え、防止、もしくは、対処することがリスクマネジメントです。上記の品質リスク管理は、プロジェクト品質に対するリスクマネジメントとして、考えることができます。
参考文献:「日本品質」で世界を制す!(著:遠藤功)日本経済新聞出版社
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
本連載は、PM養成マガジン購読にて、最新記事を読むことができます。