◆ブレインライティング
ずいぶん昔ですが、PMBOKのツールと技法を極める! 第13回ではリスク識別などのいろいろな人の意見をできるだけ数多く洗い出しいく手法としてブレーンストーミングを取り上げました。
第13回 リスク識別はブレーンストーミングで
その中で少し触れましたが、今回はブレインライティングについてご紹介したいと思います。
ブレインライティングはドイツのホリゲルさんが開発した会議の技法です。
ブレインライティングは言葉通り、短時間で大量のアイディアを出すことができる静かな会議です。つまり、グループ内で一人ずつ紙にアイディアを書いて、隣の人に回すことによって、アイディアに対して、避難厳禁というブレーンストーミングの1番目の原則が守られています。そのことによって、発散思考の特徴であり、あるテーマについて、思いつくまま次々にアイデアを出していくことができます。
次に回ってきた紙に今度は自分の意見(アイディア)を書き込んでいきますが、その際には、同じことを書くことはできません。つまり、新しい意見を書くわけですが、全く新しい観点から考えた意見をすでに用意している場合もありますが、すでに書込まれているアイディアを見ることによって、自分の考えに新しい観点が加わり、全く新しい意見が連想される場合があります。つまり、結合改善というブレーンストーミングの2番目の原則が活かされ、人の言ったアイデアに便乗してよりよいアイデアにしていくができます。
他にメリットとして、紙に書くわけですので、うまく話すことができないことでも絵で表現することもできます。また、話しあいですと、一人の話好きな人がずっと独占して話すということがありますが、紙に全員同じ数のアイディアを書きますので、平等です。そして、紙を回すことによって、
人数 × 周回した数 × 紙の枚数(つまり人数)
のアイディアが出てくるわけです。例えば、6人で3周するとしますと、
6×3×6=108通りのアイディアが出てきます。
1回で考える時間を3分としますと
3×6×3=54分で108通りのアイディアを出すことができるわけです。
何か新しいアイディアを出す場合、例えば、新商品のネーミングを考えるような場合、「300分の1」という法則があるそうです。300のアイディアがあっても使えるモノはその中の1つということです。
つまり、良いアイディア(意見)を生み出そうとしたら、大量発想ということが最も重要ということです。そのことからもブレインライティングは、発想会議として適しています。プロジェクトマネジメントでは、リスクの識別や問題解決などに使える技法ですね。
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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