本文へスキップ

イノベーション実践、コンセプチュアルスキル、プログラムマネジメント、プロジェクトマネジメント、PMOについての最先端の情報、研修、セミナー、コンサルティングをお届けします。

第1回 道具箱とは (2007.05.16)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木 道代


◆ジェラルド・ワインバーグ

ジェラルド・ワインバーグというソフトウエア開発のコンサルタントがいる。非常に観察眼に優れ、深い主張をするので、日本でもファンが多い。

そのワインバーグの代表作のひとつがコンサルタントの秘密だ。コンサルタントとしてのものの見方、行動の仕方を解説した本で、分野を限らず、コンサルティングのバイブルだといってもよい一冊である(木村泉先生の訳も素敵だ)。

このシリーズで、最近(といっても5年くらい前)に出版された本に、「コンサルタントの道具箱」という本がある。

この2冊については、こちらで取り上げているので、興味があれば読んでください。

コンサルタントの秘密の道具箱


◆道具を使う

さて、今回の戦略ノートで取り上げたいのは、この「道具箱」という概念である。著者が道具箱というと真っ先に思い浮かべるのが、大工さんの道具箱である。のこぎりやかんな、金槌や錐、ドライバーやドリルなどが、収められている。同じ道具で、サイズの違うものがいくつか収められているものもある。

大工さんは道具箱の中の道具を使って、設計図面どおりに家を作っていく。大工というと手先が器用で、うまく木を切ったり、組み立てたりするところがもっとも重要な資質であるように思えるのだが、実際に現場を見ているとそれ以外にも感心することがある。

それは、この部分の工事は、この道具でやるのかという感心。素人には到底思いつかないような道具の選び方と使い方をするのだ。


◆ビジネスマンの道具箱

ワインバーグの本の話題に戻る。もう10年くらい前からだと思うが、日本でも思考技術が重視されるようになり、最近では人材育成のプログラムに必ず入れられるようになってきた(なぜか、論理思考や問題解決などの分析思考技術が中心で、クリティカルシンキングなどの意思決定技術に重きが置かれないのは謎だが、、、)。

その結果、多くのビジネスマンは思考技術を身に着けるようになってきた。おそらく、ワインバーグの道具箱に入っている要素はほとんど知っているという人が少なくないと思う。また、議論だとか、問題解決の様式はずいぶん変わってきたように思う。

ところが、それによって思考の品質が上がっているかというと少なくとも僕はそうは思わない。ロジックによる展開プロセスの正当化と、プレゼンをはがしてしまえば、以前とあまり変わっていないような気がする。現実に、仕事の見かけ上の生産性は上がっているが、実質的な生産性はあまりあがっていないことを考えると、この推測はそんなに大きく外れていないと思っている。


◆なぜ、道具が使えないか

なぜだろうか?

論理思考法や問題解決法といった道具の使い方がこなれていないからだ。大工のすごいところは、上で述べたように道具を使うTPOの判断であり、また、使い方そのものだ。さらに、もうひとつあげるとすれば、道具を研ぎ澄まし、いつでも使える状態にしている。せっかく、道具を手に入れても、この3つがいずれもできてない人が多い。

例えていえば、今のビジネスマンの思考の道具箱は、道具屋さんに行って、必要なもの一通りくださいと頼んで、道具屋さんが選んでくれた新品の道具を一通り買ってきていれているだけのような状態だ。これでは、使い物にならないのは当たり前である。

ワインバーグの道具箱の本は、コンサルタントの道具の使い方や、また、手入れの仕方についても教えてくれる非常に優れた本である。


◆PMの道具箱

プロジェクトマネジメントでもやはり、道具箱のコンセプトは重要である。プロジェクトマネジメントの道具とは何か?プロジェクトマネジメントのツールは、「マネジメント課題」を解決する方策(手法)である。

PMの道具箱には、プロジェクトにおけるマネジメント課題を解決するための道具がぎっしりと詰まっている。プロジェクトマネジャーは道具箱に入れる道具を選ぶと同時に、「どういう局面で使う道具か」、「どのように使う道具か」といった使い方を理解し、また、常に考え、自分流の使い方を編み出していく必要がある。

また、常に道具は研いておき、いつでも使えるようにしておかなくてはならない。

プロジェクトマネジャーにはそのようなコンセプトの道具箱を持ってほしい。


(次回につづく)

◆関連するセミナーを開催します
この講座は、コンセプチュアル思考について学ぶ講座です。
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆コンセプチュアル思考のポイントと活用〜VUCA時代の思考法   ◆7PDU's
  日時・場所:【Zoom】2024年 05月 16日(木)9:30-17:30(9:20入室可)
      【Zoomハーフ】2024年 06月 05日(水)13:00-17:00+3時間
     【Zoomナイト】2024年 07月 24日(水)26日(金) 19:00-21:00+3時間
        ※Zoomによるオンライン開催です
        ※ナイトセミナーは、2日間です
        ※ハーフセミナー、ナイトセミナーは、事前学習が3時間あります
        ※少人数、双方向にて、個人ワーク、ディスカッションを行います
  講師:鈴木道代(株式会社プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS)
  詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_thinking.htm
  主催 プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
 ※Youtube関連動画「コンセプチュアルスキルとは(前半)」「コンセプチュアルスキルで行動が変わる
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  【カリキュラム】                           
   1.コンセプチュアル思考のイメージ(アイスブレーク、講義)
   2.コンセプチュアル思考を実践してみる(個人ワーク)
   3.コンセプチュアル思考の原理を学ぶ(ワークの振返り、講義)
   4.コンセプチュアル思考の実際(講義)
   5.コンセプチュアル思考で変化に対応する
    (個人ワーク、グループディスカッション)
   6.コンセプチュアル思考で不確実性に対応する
    (個人ワーク、グループディスカッション)
   7.コンセプチュアル思考を応用した活動(まとめ)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

入門編はこちらです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆コンセプチュアルスキル入門〜本質を見極め、行動するスキル   ◆(7PDU's)
  日時・場所:【Zoom】2024年 07月 17日(水) 9:30-17:30(9:20入室可)
      【Zoomハーフ】2024年 05月 22日(水)13:00-17:00+3時間
     【Zoomナイト】2024年 06月 19日(水),21日(金) 19:00-21:00+3時間
        ※Zoomによるオンライン開催です
        ※ナイトセミナーは、2日間です
        ※ハーフセミナー、ナイトセミナーは、事前学習が3時間あります。
        ※少人数、双方向にて、演習、ディスカッションを行います
  講師:鈴木道代(株式会社プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS)
  詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_skill.htm
  主催:プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
 ※Youtube関連動画「コンセプチュアルスキルとは(前半)」「コンセプチュアルスキルで行動が変わる
          「プロジェクトマネジャーのためのシステム思考
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 【カリキュラム】
  1.コンセプチュアルスキルとは
  2.本質を見極める
  3.洞察力を高める
  4.応用力を高める
  5.コンセプチュアルスキルでこれからの行動が変わる〜ケーススタディ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。

メルマガ紹介

本連載は、PM養成マガジン購読にて、最新記事を読むことができます。

Youtube始めました。チャンネル登録お願いします。PMstylebiz

書籍プレゼントはこちらから

お薦めする書籍

メルマガ購読

ブログ

公開セミナー(カテゴリー別)
日付順  カレンダー

お客様の声(掲載をご許可いただいた受講者の方のアンケート結果)

PMコンピテンシーとは

サイト内検索

Facebook

Facebook

Twitter