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ステークホルダーに対するリーダーシップを発揮し、スポンサーやステークホルダーを味方に付ける

第2回 仕事の責任者や関係者とうまく付き合う(2007.07.05)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆スポンサーを押さえるのが、最初の仕事

プロジェクトや仕事を任せられた時は、あなたはその仕事の実行責任を持つが、本当の責任者は他にいることが多い。例えば、あなたが新商品開発プロジェクトを任せられたとしよう。開発した商品が想定したほど売れなかったらどうなるか?あなたはこっぴどく怒られるかもしれないが、それが理由でマイナス評価をされることはないだろう。しかし、その商品の開発実施を決定した人は、降格される可能性がある。リソースの提供をした人も何らかのマイナス評価をされるかもしれない。

本当の意味で責任を問われるのは、開発を決定した人や、リソースを提供した人である。言い換えると、ひと・もの・かねという経営資源を提供した人だ。このような立場の人をプロジェクトでは「(プロジェクト)スポンサー」と呼ぶ。「スポンサー」は、仕事の実行はあなたに任せたとしても、ずっとその様子を見ている。場合によっては、権限を行使し、介入してくるだろう

仕事を始める時には、まず、その仕事の本当の責任者、つまり、「スポンサー」を見極めておくことが大事だ。そのスポンサーと、仕事の目的や目標設定、プランについて事前にすり合わせをしておくことが望ましい。これは、単純な話のようだが意外と難しい。

スポンサーは、上司であることが多いが、直属の上司だけではなく、もっと上の上司のこともある。いくつもの部門が参加するプロジェクトでは、違う部門にスポンサーがいることもある。いずれの場合でも、スポンサーをよく見極め、すりあわせをしておきたい。これを怠ると、仕事を進めていく中で、思わぬどんでん返しを喰らう可能性がある。逆にスポンサーを「味方」に付けてしまえば、これほど心強いことはない。

◆ステークホルダーを探そう

仕事には責任者以外にも進行に影響を与える人がいる。真っ先に思い付くのは顧客だが、社内にもいろいろな影響者がいる。このような社内外の影響者を、「ステークホルダー」(日本語では利害関係者)という。仕事を始める前に、主要なステークホルダーをピックアップしておき、彼らが、あなたの仕事や、実施方針をどのように感じ、どのように対応しようとしているかを知っておくことが重要だ。

このように仕事のステークホルダーを探し出し、そのステークホルダーが仕事に与える影響を分析することを「ステークホルダー分析」と呼ぶ。

ステークホルダー分析をした上で、どのステークホルダーと、どのようにコミュニケーションをとり、何を確認し、何を合意するかをプランニングしておく。これによって仕事の進行は断然スムーズになる。このようにスポンサーやステークホルダーとの計画的な付き合い方をすることを「ステークホルダー・マネジメント」と呼ぶ。ステークホルダー・マネジメントが、プロジェクトや仕事の生命線になることが少なくない。特に、仕事がトラブった場合には、このステークホルダー・マネジメントが効果を発揮する。

◆スポンサーやステークホルダーを味方に付けよう

ステークホルダー・マネジメントで最も重要なことは、スポンサーの場合と同じく、ステークホルダーも「味方」に付けることである。できれば、すべてのステークホルダーを味方にしたい。しかし、あっちを立てればこっちが立たずといった状況は必ず出てくる。例えば、顧客にいい顔をして過剰なサービスすれば、社内には、それを面白く思わない人が必ずいるものだ。いわゆるコンフリクトだ。

ここで重要になるのが、ステークホルダーのランク付けである。仕事への影響の大きさに注目し、3〜4段階くらいにランク付けする。そして、ステークホルダー間で利害の対立が起これば、まず、Win−Winの調整方法を探すが、どうしても見つからなければ、重要度の高いステークホルダーの利益を優先し、調整を行う。これがステークホルダー・マネジメントの考え方の基本である。

ただし、ここでもやはり、スポンサーの意向には気を配っておく必要がある。重要性のランク付けをする際に、さりげなく、スポンサーに匂わせて、意向を確認しておくとよいだろう。

◆ステークホルダーに対するリーダーシップを発揮しよう

以上に述べたようなスポンサーやステークホルダーとの関係を作っていくために、最も重要なのは「リーダーシップ」、つまり、対人的な影響力である。リーダーシップというと、部下やチームに対するものだと思われるかもしれないが、プロジェクトでは、チームだけではなく、スポンサーやステークホルダーへのリーダーシップが重要だ。このためには、以下のようなことを心がけておきたい。ステークホルダーは、きっと、あなたの味方になってくれるだろう。

(1)仕事の成功に熱意と執念を持つ
(2)プロジェクトのゴールとゴールまでの道筋を常にはっきりとしておく
(3)ステークホルダーをゴールに向かって牽引していると感じさせる
(4)ステークホルダーが真に必要としているものを提供する努力をする
(5)専門性と多様性を尊重する
(6)チームの成長に情熱を持つ
(7)自分自身が成長しようとする

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 ・(演習5)期待と要求のロールプレイ
6.まとめ
 ・(演習6)カレンシーを再考する
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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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