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第9回 第8の現場力〜曖昧力(2008.04.17)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


どちらが生産性が高くなるかは別の理由で結論が出ていない。車のモジュール化が進んでいくことにより、一人の作業者のカバーする工程が増えて、ちょうど、中間的な仕事になってしまったからだ。

◆プロジェクトマネジメントの懐

さて、実は、プロジェクトマネジメントにはWBSという興味深い概念がある。何を言っているのだと思われるかもしれないが、WBSはマネジメントとしてのコントロールとチームとしてのコントロールを両立させるために、ワークパッケージという概念を持っている。ワークパッケージの中の作業の実施と管理はワークパッケージ責任者に任せる。

WBSのワークパッケージは、ボルボのワークショップと同じ役割をしている。実は、曖昧な仕事の進め方ができるのだ。

結局のところ、曖昧さを残すことによって、メンバーのパフォーマンスを上げるということがパフォーマンスマネジメントの基本である。ここで、あいまいさを残すことと、丸投げすることは全く違うことをよく理解しておく必要がある。曖昧さを残すというのは、「意図されたあいまいさ」でなくてはならない。意図された曖昧さはチームのパフォーマンスの向上に寄与しなくてはならない。この意図されたあいまいさをどのくらい作れるかが曖昧力である。


◆意図された曖昧さとしての段階的詳細化

ずっと人の話を中心に進めてきたが、もう一つの曖昧力の例をあげよう。段階的詳細化である。

戦略ノートの148回で、延期と投機の話をした。

第148回 プロジェクトにおける延期と投機

プロジェクトの意思決定の場面で延期戦略をとりたいケースは少なくない。仮説による投機戦略はそれはそれで重要なのだが、その仮説設定が未来に対して影響を与えるケースがあるからだ。たとえば、ある技術が実現できることを前提にして、商品の仕様を決めたとする。すると、この仮説が仕様に影響を与えることになる。その技術が確立できればよいが、できずに代替技術で対応したとすれば付加価値が高いものにならない。

仮にその技術がないことを前提にすれば、もう少し、違った付加価値を検討できる可能性がある。その意味で、仕様の問題はできるだけ延期することが望ましい。プロジェクトマネジメント的にいえば、段階的詳細化を行い、技術的判断を確定させたところで検討の方法を決めるといった対応になる。

ここでも、曖昧さをうまく活用してプロジェクトを進めていくことが望まれる。このように曖昧さをうまく作り、それを活用して成果物の付加価値を高めていくことは、現場力のあるマネジャーに特有の行動だといえよう。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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