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第5回 ライフサイクルマネジメントとフェーズ(2012.11.09)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木 道代


◆ライフサイクルマネジメントとフェーズ

「P2M(プロジェクト&プログラムマネジメント)早わかり」の5回目です。

前回は、P2Mのプロジェクトマネジメント層の中のプロジェクト目標マネジメントについて、書きました。

今回は、プロジェクト目標マネジメントの内容についてもう少し、詳しく見てみましょう。

プロジェクト目標マネジメントは、プロジェクトの制約のもとで、具体的目標を明確化し、達成の路程と進捗測定方法を計画し、実施するマネジメントであり、プロジェクトマネジメントの中心となる業務プロセスです。
それでは、プロジェクト、プロジェクトマネジメントとは、いったい何なのでしょうか。
そこには、ライフサイクルとフェーズという重要な概念があります。

PMBOK(R)ガイド第4版では、
「プロジェクトとは、独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施する有期性のある業務である」
「プロジェクトマネジメントの計画は、プロジェクトのライフサイクルを通して反復的に作成され、かつ段階的に詳細化されるものである」
と定義しています。
(第3版までは、プロジェクトの定義は、独自性、有期性、段階的詳細化と明確に定義していましたが、第4版では、この記載はなくなったようです)

P2Mでも、プロジェクト目標マネジメントにおいて、同様の定義をしています。

プロジェクトには「始まり」と「終わり」があり、人が参加して、ある特定の目標を達成していくなかで、多くのエネルギー、すなわち労働力が投入される。

それは、プロジェクトの進行に従って、成果を上げながら増えていき、やがてピークを迎えると終結に向けて労働力投入量は減少していく。

この区切りのことを「フェーズ」と定義し、多くの産業プロジェクトでは、
「フェーズ1.構想」
「フェーズ2.計画」
「フェーズ3.実施」
「フェーズ4.終結」と呼ばれる。
                         (P2M標準ガイドブック)

このようにライフサイクルマネジメントでは、プロジェクトの構想から目標実現までをいくつかのフェーズに分けて管理しています。

フェーズ毎にプロジェクトに関わる人材やヒト以外の資源の質・量、管理の重点・ポイント、リスク要因が異なるため、各フェーズの特徴に合わせてマネジメントすることにより、ライフサイクル全般にわたる最適化をライフサイクルマネジメントでは行っています。
つまり、フェーズによってマネジメントスタイルが異なり、薄くも濃くもできるということですね。

また、各フェーズでは完成すべき仕事があり、次のフェーズに進むときにチェックポイントやゲートがあり、そこでは上位職の承認を得ることが多く、必ずドキュメント(成果物)が要求されます。

例えば、プロジェクトの対象別プロジェクトライフサイクルは以下の通りです。

・新製品開発プロジェクトライフサイクルの場合
 フェーズ1.構想:製品企画
 フェーズ2.計画:製品設計
 フェーズ3.実施:製品思索・評価
 フェーズ4.終結:生産準備・量産移行

・工場建設プロジェクトライフサイクル
 フェーズ1.構想:工場建設企画・概念設計
 フェーズ2.計画:設計
 フェーズ3.実施:調達・建設
 フェーズ4.終結:運転への引き渡し・プロジェクト評価

・システム開発プロジェクトライフサイクル
 フェーズ1.構想:BPR・企画・概念構築
 フェーズ2.計画:基本計画・プロトタイピング
 フェーズ3.実施:プログラミング・開発テスト
 フェーズ4.終結:運用への引き渡し・システム評価

上記のプロジェクトライフサイクルでは、まず概念を定め、時間の経過とともに段階的に上部概念から下部の詳細へと、資源をかけ、調和を保ちながら具体化していくトップダウン的な目的達成管理手法をとっています。

そして、各フェーズでは、プロジェクトマネジメントサイクルであるPDCAを回していきます。

PMBOK(R)ガイドにも、フェーズとライフサイクルの話は出てきています。

プロジェクト・ライフサイクル(プロダクトライフサイクルではない)は、プロジェクト開始、組織編成と準備、作業実施、プロジェクト終結です。

そして、マネジメント、計画、コントロールしやすいように、プロジェクトを論理的な部分に分割しますが、それをプロジェクト・フェーズと呼んでいます。

プロジェクトの規模、複雑さなどによりフェーズの数は異なり、もちろん、1プロジェクト、1フェーズの場合も多いです。
プロジェクト・フェーズでは、重要な要素成果物の完了と受入れを判断するレビューを行います。

また、PMBOK(R)ガイドでは、フェーズ間の関係として、次の3つの基本的なタイプを示しています。

・直列関係:直前のフェーズが完了しないと次のフェーズを開始することができない
・重複関係:先行フェーズの完了前に後続フェーズを開始する
・反復関係:計画は1フェーズだけに限定し、フェーズ内の作業が進展すると次フェーズを計画する
      研究プロジェクトなどのようにほとんどの作業の定義ができない場合に有用である

P2M、PMBOK(R)ともにプロジェクトマネジメント手法であり、プロジェクトライフサイクルとフェーズについてはほぼ同様の定義をしているようです。

どちらも素晴らしいのですが、プロジェクトライフサイクルについては、P2Mガイドブックでは、日本の実情に合わせて、フェーズを定義している点において理解しやすいように思います。

ですが、PMBOK(R)ガイドでは、マネジメントサイクルを立上げプロセス群、計画プロセス群、実行プロセス群、監視・コントロールプロセス群、終結プロセス群と定義している点でプロセスの定義がわかりやすいと感じています。
みなさんはいかがでしょうか?

それでは次回は、プロジェクト目標マネジメントのQCDS(品質、コスト、タイム、スコープ)のマネジメントを、PMBOK(R)と比較しながら解説を進めていきます。

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著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。

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