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第11話:プロジェクトとアドミニストレーション(2010/02/02)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆管理原則の父

「マネジメントの父」は、ピーター・ドラッカー博士、「科学的管理法の父」はフレデリック・テイラー博士です。では、「管理原則の父」と言われているフランス人がいます。誰か、ご存じでしょうか?

アンリ・ファヨール博士です。ファヨール博士は経営におけるアドミニストレーションのプロセスと原則を示したことで知られますが、そのプロセスとは、

・計画する
  将来を探求・吟味して、活動計画を作成する
・組織する
  原材料や設備、資本、人的資源などの計画実行に必要な資源を準備する
・命令する
  従業員が自分に求められる機能を遂行できるように指示・配慮する
・調整する
  すべての活動を結びつけ、統合し、調和させる
・統制する
  ルールや指示にしたがって物事が行われていることを監視する

というものです。1900年代の前半に管理原則は欧米を中心に受け入れられました。


◆2つの計画

今回は、プロジェクトにおけるアドミニストレーションについて考えてみたいと思います。プロジェクトでは、アドミニストレーションは2つの意味があります。ファヨール博士の管理原則における「計画」を

(1)プロジェクト基本計画
(2)プロジェクトマネジメント計画

の2つとして捉えてみるとよく分かります。

(1)は経営活動や事業活動をプロジェクトとして実行するために策定される計画です。プロジェクトを実施することを、経営として決済するために策定される計画です。

(2)はプロジェクトマネジャーのみなさんにはお馴染みの計画です。プロジェクトの具体的な進め方について決定するための計画です。プロジェクト作業そのものの計画と、プロジェクト作業の進行をマネジメントするための計画を作るのが一般的です。


◆計画からみたアドミニストレーション

計画を(1)だと考えると、アドミニストレーションはプロジェクトの実行そのものが対象になります。つまり、

・プロジェクトを計画する(目的、目標)
・プロジェクトマネジャーを決め、プロジェクト推進体制を組織する
・プロジェクトマネジャーにプロジェクトの実施を指示する
・プロジェクト間の資源配分を調整する
・プロジェクトの進捗を統制する

というプロセスになります。計画を(2)だと考えると、

・プロジェクト作業を計画する
・プロジェクトチームを組織する
・プロジェクトチームにプロジェクト作業の実施を指示する
・ステークホルダとの利害関係を調整する
・プロジェクト作業を統制する

というプロセスになります。これはほぼ、プロジェクトマネジメントの主要なマネジメント構成要素になります。実際には、プロジェクトには未知要素が多く、計画したとおりには行きません。つまり、アドミニストレーションだけではうまくいきません。そこで、プロジェクトマネジメントではこのようなプロセスに、変更管理を加えて、PDCAのサイクルを回していくようにしています。


◆アドミニストレーションとして重要性をますプログラム

(1)については、エンジアリングやITなどの大規模プロジェクトでは、基本計画で徹底的に検討し、プロジェクトの方針や条件を固め、その基本計画を具体的にアドミニストレーションしていくというスタイルをとっています。ところが、このようなやり方が通用しなくなってきました。ビジネス環境の変化が激しくなってきたためです。

一昔前であれば、年度計画だったのが、今では四半期ごとに事業計画を見直し、四半期を単位にPDCAのサイクルを回すようになっています。当然、このような経営の方法はプロジェクトのアドミニストレーションにも影響を与えます。このため、経営管理としてのプロジェクトのアドミニストレーションが非常に重要な仕事になってきています。

経営のアドミニストレーションの有力な手法として、プログラムマネジメントがあります。経営環境が厳しくなる中で、プログラムマネジメントは今後、その重要性を増していくことは間違いないでしょう。

プログラムマネジメントについては、また、別の機会に触れたいと思います。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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