●コストの問題など、問題ではない
前回はしつこく、PDUあたりの金額について触れました。今回は最終回として、基本的な認定維持のための方法について書きます。話そのものは、前々回と絡んでいます。
実のところ、コストの問題など、問題ですら無いのです。将来どのくらいの収入がイメージできるか?から、今日いくらの投資をすべきか、と、考えると、コストの問題は消滅してしまいます。
●将来の理想的な自分、から考えよう
「将来の理想的な自分は?」と問うのは大袈裟かもしれません。しかし、PDUs獲得について考えるには、ここから話をスタートさせます。
そもそも、時間は、未来から現在に向かって流れています。現在を決定するのは、過去ではなく、「自分が思い描く未来」です。自分の思い描く将来があって、現在どうすべきかが決まるのです(時間は過去から未来に流れている、現在は過去が決定する、という考え方自体を完全否定はしませんが、リーダーシップが必要な方や、主体的な生き方をしたい方は、過去から未来に時間が流れると考えるべきではないでしょう)。
それでは本題です。以下の未来について、具体的に凄くリアルにイメージしてください。
・自分はどんな葬式か?
・どんなリタイア生活か?
・どんな退職日か?
・20年後、15年後、10年後、5年後
どうでしょうか?リアルにイメージできたでしょうか?大切なことは、過去にとらわれずに考えることです。今までこうだったから・・・とか、現状こうだから・・・と、考えるべきではありません(なお、何もイメージ出来なかった方は、本稿の最後をご覧下さい)。
●では、タイプ別に考えてみましょう。
○近い将来転職する人
○実力を付けたい人
上記の思考に近い思考を既に行っているかもしれません。BCRを考えながら、セミナーを受講する事を中心に考えて良いでしょう。良く知られた認定教育プロバイダからのPDUs取得ですね。(Category 3: Educational programs offered by PMI R.E.P.)
或いは、積極的に、下記PMOのところに記述したカテゴリ2の活動などに取り組むことも良いと思います。
実力を付けたい人は、御自身のプロジェクトマネジメント能力の棚卸しをしなければなりません。しかし、既にプロジェクトマネジメントプロフェッショナルであるわけで、基本的な能力は身に付けているはずで(そうでない人も多いかもしれませんが)、本来は、プロジェクトマネジメントの能力自体の習得不要なはずです。もし弱みがあるなら、弱みを補います。しかしそれ以上に、5年後の自分の能力のために何を為すべきか、も、是非考えてみてください。
○PMOにスタッフとして配属された人
実務とPDUs獲得の親和性が高いところです。具体的にはカテゴリ2による取得が早道です。いくつか紹介しましょう(記号はCCRハンドブックの記号)。
- 雑誌への投稿、本の執筆など(2A、2B、2Fなど、10〜40PDUs)
- セミナー講師、スピーカーなど(2C、2D、2Eなど、アクティビティごとに5〜
10PDUs)
- セミナー開発(2G、10PDUs)
- プロジェクト/プログラムマネジメントサービスのpractitioner(2H、年間1500時間以上の活動で、年間5PDUs)
どうでしょう?なんとなく3年のCCR期間に必要なPDUsとうのは簡単に手が届きそうに感じられないでしょうか?
(Category 2: Professional activities and self-directed learning)
○会社が取れと言ったからPMPを取得した人
会社の人材育成モデルや、コンピテンシーモデルを睨みながら、何が必要か考えてください。
しかし、おそらく、取得自体が目的になっています。主体性を持たないと、プロジェクトマネジメントプロフェッショナルである意味がかなり没却されます(プロジェクトマネジメントプロフェッショナルは個人的な資格であると筆者は考えています)。そもそも、プロジェクトマネジメントプロフェッショナルが自分に必要か?から、考えるべきでしょう。
●最後に
PDUsの維持は、CCRハンドブックを熟読するところから始まります。その時に是非、今回の記事を思い出してください。
自分の将来を過去にとらわれずに主体的にイメージできれば、今どうすべきかは、自然に決まります。
しかし、不幸にして、何もイメージできないことがあります。そういう方は、「自分とは何か?」についても悩んでいることがあり得ます。不幸にしてそのような状況に陥ってしまっているなら、
・解決する時が来るのを少し待つ
・7つの習慣などを読んでみる
・自己認識、自己意識を高める方法を探す
・・・ということになるでしょう。
野村 隆昌
有限会社システムマネジメントアンドコントロール 取締役 社長
1993年 秋田大学鉱山学部卒業後、大手ゼネコンに入社
プロジェクトマネジメントを軸に、新規事業のコンサルティング、事業撤退のコンサルティング、PMP試験対策関連のセミナーを提供。現在の興味は、「個人が個人に変化を起こす」こと、「人間の行動」、「脳の機能」。
PMP (米国PMI 認定プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)
本連載は終了していますが、PM養成マガジン購読にて、最新の関連記事を読むことができます。