●今回の対象者
今回は、割と広い範囲の人向けの記事を目指します。殆ど全てのPMPが対象となるでしょう。前回からの続きです。
●PDUsあたり、いくらなのか?
資格取得までは会社が支援してくれるけど、維持は自分で、という方。個人事業の方。1PDU獲得にいくらかかるのか?は、非常に気になるところです。
あるいは法人の教育担当の方も、3年60PDUs獲得全体で、いくらかかるのか?というのは、課題になっているかもしれません。
このPDUあたりの金額というのは、本連載の根本的なテーマですが、ここで、必ず同時に考えて欲しい事があります。それは、
【本当に自分に必要なセミナーなのかどうか?】
です。PMPとしてセミナーに出席する事の意味は、自分と周囲の行動を変える何かを掴むこと、です。「へぇ〜」で終わってしまう程度ではダメです。
例えば2日間、12PDUs、\12,000は安い!かもしれません。しかし、2日間を通じて、自分の行動をかえる何かを掴めないのであれば、それは、自分にとって必要なセミナーではなかった、ということになります。家でドラッカーでも読んでいたほうが、マシ、ということになります。
そうでなくとも、前回お話しした通り、「将来の、理想的な自分の姿」からの現時点への逆算において、意味がなければ、意味がないのです。全ての行動は、将来の理想的な自分の姿を原点にすべきです。
でも、本を読んでいるだけではPDUsの獲得にならないではないか!という方。もちろん読んだだけではどうしようもなりませんが、しかし、PDUsの獲得につなげることはできます。
●Cat.2 Self-Directed Learning Activities(以下、2-SDL)
CCRサイクルあたり最大15PDUsまで獲得可能という制限がありますが、「自己学習」1時間あたり1PDUを獲得できます。しかし、ダラダラと本を読めば良いのか?というと、そういうわけではありません。
まず、目的を決めます。その目的によって、自分のプロジェクトマネジメント力を高まるのか、明確にします。そのためには、自分のプロジェクトマネジメントコンピテンシーに対する分析が必要になります。基準はやはり、「将来の、理想的な自分の姿」です。なるべく具体的に、達成すべき目標を定義します。
次に、目的を達成するための活動を定義します。2-SDLは本を読むだけではなく、様々なドキュメントや教材の視聴、同僚、クライアント、専門家とのディスカッションやコーチングセッションなども申請可能です。広い意味での自己学習活動が申請に使うことができます。
PMIは、この2-SDLについて、CCRハンドブックに、詳細な、申請フォームを準備しています。上記、目的と活動(活動時間)は、申請フォームに記述すべき事柄です。
さて、具体的に行きましょう。目的を【コストコントロールの精度向上のための粒度設定のための、プロジェクトに対する原価管理適用の検討】などとします。
活動としては、
社内PMOに所属するコストコントロールの専門家とのディスカッション1時間
スポンサーとのネットワーキングによるディスカッション1時間
経理部の同僚とのディスカッション1時間
原価管理入門通読6時間
現状分析と資料作成6時間
のようになります。
割と簡単に、費用は書籍代ということになりますが、経理部の同僚から借りれば、0円、です。
どうでしょう?2-SDLは、極めて安価かつ、意味のあるPDUs習得が可能なのです。目的も自分で定義していますから、最もコストパフォーマンスの高いPDUsの獲得、ということになるのではないでしょうか?
野村 隆昌
有限会社システムマネジメントアンドコントロール 取締役 社長
1993年 秋田大学鉱山学部卒業後、大手ゼネコンに入社
プロジェクトマネジメントを軸に、新規事業のコンサルティング、事業撤退のコンサルティング、PMP試験対策関連のセミナーを提供。現在の興味は、「個人が個人に変化を起こす」こと、「人間の行動」、「脳の機能」。
PMP (米国PMI 認定プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)
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