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プロジェクトマネジメントのセンターオブエクセレンスとしてのPMO、その機能

【特別編】センターオブエクセレンスとしてのPMO(2005.01.19)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆PMOの役割の再確認

前回から、プロジェクトリカバリーの話に入ってきたが、プロジェクトリカバリーにおけるPMOの役割の議論をする前に、この連載におけるPMOの位置づけについて確認しておきたい。

この連載では、PMOはPMに関するセンター・オブ・エクセレンスという位置づけをしている。PMに関するトータルクオリティマネジメントを行う部門ではない。この点がPMOの活動の位置づけを考える上で重要なポイントになる。


◆センター・オブ・エクセレンスとは
そもそも、センター・オブ・エクセレンスとは何かというと、

 卓越した基盤、拠点

といったような意味である。といったような意味である。日本では、何年か前に、文部科学省が、主に、理系の研究分野において、「センター・オブ・エクセレンス構想」を打ち出し、バイオテクノロジーとか、ナノテクノロジーとか地域ごとに大学を中心とする研究テーマの集積を作り、それをそのテーマのグローバルなメッカにしようという施策をとってきた。だか、それまでは言葉すら耳にすることが珍しかった言葉だ。

話が脱線するが、先日、札幌でバイオ系のベンチャー支援のためのMOT講座で、プロジェクトマネジメントの話をしてきたが、バイオについては、札幌、筑波、関西地域がセンター・オブ・エクセレンスになっているようだ。

欧米では、ビジネスの領域でも、センター・オブ・エクセレンスという言葉はかなり古くから使われている。ビジネスで使う場合には、「強み」の分野に資源を集中させ更に伸ばすということを指す。戦略的マネジメントそのものであるといってもよい。

プロジェクトマネジメントに近いところでは、品質管理の分野でよく使われる。改めて説明の必要もないだろうが、品質マネジメントでは、QCから発展し、ISOに結実したトータルクオリティマネジメントがまず、ベースになる。ここに近年、CQI(Continuous Quality Improvement)という継続的品質改善の考え方が強く意識されるようになってきた。重要なことはこれらはいずれも弱点をカバーするための活動であるということだ。

◆クオリティ・センター・オブ・エクセレンス
自分たちの弱いところを見つけて強くしていく、それが少ない資源で効率的に質を高めていくことに通じるし、ボトムが質を決めてしまうので、その部分を上げていくことの重要性はいうまでもない。

ところが、シックスシグマに代表されるように品質マネジメントを戦略的に活用していくような考え方、導入企業が登場してきて、このあたりの事情が変わりつつある。ボトムを合格水準に保つことはもはや当たり前であり、トップを引き上げていくことにより、それを競争優位源泉にしようと考えるようになってきたのである。例えば、購入後1年間保証をしている。これを3年間保証できると競争力になる。単純に言えばそんな話である。
このように、品質レベルを徹底的に引き上げ、競争力に変えていく考え方はクオリティ・センター・オブ・エクセレンス(モデル)と呼ばれ、モトローラ、GEなど、米国の多くの企業で定着してきている。

◆PMCoE
さて、プロジェクトマネジメントではどうだろうか。残念ながらほとんどの日本企業のプロジェクトマネジメントは、品質で例えれば、TQM的なことをやっているだけで、CQIに突入している企業は少ない。ところが、米国に目を移せば、TQM的取り組みのピークは96年版のPMBOK(R)が登場してきたころだと思われる。その後、焦点はCQIに移ってきている。その中で、PMBOK(R)、OPM3(R)では、言葉は出てこないが、センター・オブ・エクレセンスに焦点が移ってきた感がある。

pmstyleではプロジェクトマネジメントにおけるセンター・オブ・エクレセンスをPMCoEと呼んでいるので、この連載でもそのように呼ぶ。では、PMCoEとは何をする機能なのか?

PMCoEはプロジェクトマネジメントプロセスの管理のためのプラットホームとそれに伴うコンサルティングとサポートサービスを社内外の各部門に提供し、プロジェクトマネジメントの最適化の推進をリードし、啓蒙していく役割を持つ機能である。PMCoE(モデル)を導入することによって、それそれのプロジェクトチームはPMCoEが開発した専門知識や技術、ツールセット、ベストプラクティスを利用できるようになる。

もちろん、知識や技術、ツール、ベストプラクティスの伝承として、人を媒介にする伝承というのがないとは言わない。平たく言えば、できるプロジェクトマネージャーをPMOに集めて、その人たちにプロジェクトマネジメント実務をさせることによって、これらを継承させるという考え方だ。

が、とりあえず、この連載ではこのようなあり方は考えない。知識、技術、ツール、ベストプラクティスは形式化することを前提とする。

この連載のPMO「進化論」とはそのような意味でのPMCoEへの進化をイメージしている。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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