第16回 リソースインテグレーション(3)〜チーム形成支援(2)(2005.10.14)
◆チームの結束の支援
プロジェクトチームはその仕事で初めて顔を合わす人の集まりになる可能性がある。現在のところ、要員調達の際に「顔なじみ」であることを重視しているプロジェクトマネージャーが多いので、特別なプロジェクトを除くと少ないかもしれないが、今後、パフォーマンスやコストを重視した要員調達が進んでいくる嫌でもそうなる。
また、現在のスタイルでも、100%、馴染みの要員でチームを作るのは難しく、キーマンはともかく、初対面の人が混ざったチームになることは普通である。
このような中で、チームの結束を加速していくための支援は極めて重要である。
チームの結成はプロジェクトマネージャーの役割であり、当事者として必ず行うべき事項である。従って、PMOとしては、個々のプロジェクトに入り込んで、チーム結成の支援をするよりも、仕組みづくりなどを含めて側面から支援する必要がある。前回、説明したようにこのための作業としては
・プロジェクトチームダイナミックス(チーム特性)のモニタリング
・プロジェクトチームを指導する仕組みの構築
・ベンダーやコントラクターを巻き込んだチーム作りへの支援
といった作業がある。
◆チーム特性の評価
最初にすべきことは、チームの特性の評価の定義である。これに関してはプロジェクトチームダイナミックスという考え方がある。プロジェクトチームダイナミックスは、プロジェクトの経営戦略上の重要性、技術的な新規性、ビジネスリスクの大きさ、プロジェクト期間、プロジェクト規模などを配慮して
・スキルセットの充足度
・プロジェクトマネジメント
・メンバーの貢献度
などの視点からその整合性を評価できるように評価指標を作らなくてはならない。PMOでは、これらの視点から設定した指標に対して、定期的にモニタリングを行い、チームの活性度を監視しておく必要がある。
◆チームに介入する仕組み作り
次に、モニタリングの結果を受けてプロジェクトチームの運用に介入していく仕組みを作っておく必要がある。これは、単に
・勧告をする
といったレベルのものから、実際に
・コミュニケーション計画の手直しをさせるための変更計画ルールを準備しておく
・プロジェクトマネージャーへのコーチングを行う仕組みを作る
などさまざまなレベルのものがある。
◆ゲートキーパーの役割
あと一つ考えるべきことは、ベンダー、あるいはコントラクターを巻き込んでチーム作りをするための支援をすることだ。上に述べたとおり、プロジェクトにおけるベンダーやコントラクターとの付き合いは一過性のものである。ところが、組織という単位で見れば、別のプロジェクトで同じベンダー(あるいは、同じ人)との取引が続いているケースは決して少なくない。その意味で、PMOはベンダーに対して、ゲートキーパー的な役割を果たさなくてはならない。ゲートキーパーとは、ある課題を解決するのに必要な知識を持つ企業内外の人たちが頭の中にプールされていて、プロジェクトの要求を聞きながら、どのベンダーとベンダーを組み合わせると、プロジェクトの要求に答えられるかを演出できる人のことである。
さらには、外部の要員に関する情報をプロジェクトマネージャーに提供したり、あるいは、場合によっては会議などの中に入ってチーム作りをファシリテーションしていくことをやらざるを得ない場合がある。これはチームの立ち上げの時間が限定されているようなケースである。
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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。
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