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PMOの機能であるリソースインテグレーションとして、チームを作り上げること。チームの結束を支援、チームの立ち上げのスピード支援、チーム編成の支援、パフォーマンス改善支援を行う。

第15回 リソースインテグレーション(2)〜チーム形成支援(1)(2005.10.05)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


前回述べたリソースインテグレーション(RI)の概要とは順序が前後するが、まずは、チームを作り上げることについて考えてみよう。

◆プロジェクトチーム作りの理想


多くのマトリクス型組織においては、プロジェクトはラインにより立ち上げられる。単純にいえば、プロジェクトの前提条件と制約条件(あるいは、リスクへの対処)についてラインマネジメントが明確にし、それに基づき、プロジェクトマネージャーの候補者と交渉をする。組織によっては交渉の余地はなく、命じるといった方がよいかもしれないが、原則的には、プロジェクトマネージャーと組織がその前提条件や制約条件について合意をした時点で、プロジェクト憲章により、プロジェクトマネージャーを任命する。そして、その後は、プロジェクトマネージャーがチームを作っていく。これが、プロジェクトマネジメントの教科書に書いてある原則である。

◆現実的な支援


ところが現実には、これを行うためには、さまざまな側面からの支援が必要になる。
大きなところを挙げてみると
(1)チームの結束を図るための支援
(2)チームの立ち上げを加速するための支援
(3)プロジェクトチームの編成を可能にするための支援
(4)プロジェクトチームのパフォーマンスを改善するための支援
といった支援が必要になる。

◆チームの結束を支援する


まず、最初のチームの結束を図るための支援としては、
 ・プロジェクトチームダイナミックス(チーム活性度)のモニタリング
 ・プロジェクトチームを指導する仕組みの構築
 ・ベンダーやコントラクターを巻き込んだチーム作りへの支援
などの側面支援が必要になるだろう。
特に、重要なポイントは、プロジェクトチームを指導するための仕組みづくりである。
例えば、チームコーティングのような仕組みを構築していく必要がある。これができれば、ある程度のことはチームが自立的にできると思われる。
また、チームのダイナミクスには多少の説明を要する。ここで、想定しているチームは、ワーキンググループではなく、リアルチーム(真のチーム)と呼ばれるものである。詳しくは

 日本にチームは必要ないのか?

を参考にしてほしい。その中で、如何にメンバーが溶け合い、協力することによって、個々のメンバーの能力を上回るトータルパフォーマンスを発揮できているかを示すものである。

◆チームの立ち上げのスピード支援


次にチームの立ち上げの加速である。プロジェクトチームの立ち上げプロセスはプロジェクトの規模によっても異なるが、一般的には、どのようなサブチームを置くかということを中心にチームの構造を決め、次に、サブチームごとにリーダーを決める。そして、そのリーダーを中心にしてサブチームの構築を行い、最後に、サブチームをまとめて一つのチームにしていくというプロセスが一般的である。この一連のプロセスの中で、

 ・サブチーム間の連携の方法を決める
 ・サブチームの相互連携を支援していく
 ・サブチームの活動を支援するツールを紹介する

といった形で主にサブチームの活動と、それを束ねていく部分でプロジェクトマネージャーを支援していく必要がある。

◆チーム編成の支援


三番目のプロジェクトチームの編成を可能にするための支援であるが、おそらく、プロジェクトマネジメントを成功させるためにはこれが最も重要である。実際にすべきことは、いくつかある。一つは

 ・プロジェクトマネージャーやチームリーダーのリーダーシップ開発

である。これはPMOがイニシャティブをもって行うこともできるし、ライン組織がイニシャティブをもって行う活動を支援すると言う方法もある。
次に、

・チームとしてのプロジェクトマネジメントのスキル学習を推進する

である。この支援がうまく行かない限り、プロジェクトマネジメントはうまくいかないだろう。もちろん、これらに加えて、

・プロジェクトマネージャーのためのツールを開発する

といった支援も必要になることはいうまでもない。

◆パフォーマンス改善支援


最後のプロジェクトチームのパフォーマンスを改善するための支援も重要である。ここでは、チームダイナミックスを評価し、パフォーマンスアセスメントを評価することから始まる。その結果に基づき、チームの効果を分析する必要がある。チームとして機能していれば当然、パフォーマンス的にみて、個々人の能力を上回るトータルパフォーマンスがでていなくてはならない。
しかし、もし、出ていない場合、特に、下回る場合には、その原因を追究し、改善に取り組む必要があるが、これはチームに勧告することにより、チーム自身が改善行動をとるようにもっていかなくてはならない。

次回からは、もう少し、これらの支援活動を詳しく解説する。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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