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【PMOコラム30】プロジェクトマネジメントコストの問題(2007.10.01)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


9月27日で第3期のPMOリーダー養成講座が終わり、懇親会の席でPMOのコストの議論になった。この問題について考えてみたい。


◆そもそもプロジェクトマネジメントコストは誰が持つべきか?

PMOのコスト以前に議論されているようで、本気で議論されていないのがプロジェクトマネジメントのコストをどう考えるかだ。この話はたいへん難しい話であるが、PMOとしてきちんと整理しておかなくてはならない話である。

プロジェクトマネジメントは本来、そのプロジェクトの目的を達成するために行うべきものである。その意味で、何をやって、何をやらないかということはプロジェクトマネジャーが判断すればよい。

しかし、実際にはそうはならない。標準を作る組織が多い。なぜだろうか?


◆アンケートに見る標準化の効果

以前、翔泳社のPMマガジンという雑誌の連載でこのアンケートをやったことがある。この結果で出てきた効果ベスト3は以下のとおりである。

(1)初心者にとって有効 45%
(2)ナレッジの蓄積に有効 35%
(3)プロジェクトマネジメントがうまくできる 10%
   http://pmstyle.jp/honpo/survey1/survey4.htm

これからわかるようにプロジェクトマネジメント標準がそのプロジェクトに対して、「直接的なメリット」をもたらしていると感じている人は全体の1割程度に過ぎない。これに対して、組織にメリットがあると思っている人は80%いることになる。


◆標準化の本来の目的は

このアンケートの選択肢には明確な形で書いていないが、標準化というのは本来

 組織として成功を計画をできるようにするため

に策定するものである。言い換えると、このやり方をしていればうまくいくだろうという指標として標準がある。

であるとすれば、その組織の標準のプロジェクトマネジメントは、そのプロジェクトを成功を成功させるために欠かせないものであり、そう考えると、マネジメントコストはプロジェクトが持つというのが筋が通っている。

こういう建前がある。しかし、現実にはそのような筋書きにはなっていない。PMOから、自分たちの策定した標準どおりに行えば、プロジェクトはうまくいくという自信に満ちた言葉を聞いたことはない。標準を策定している側からの言い分は、だいたい、上のアンケートのものに近い。

まず、誰でも同じプロジェクトマネジメントをできるようになる。これは組織としては意味のあることだ。という言い分。確かにプロジェクトの成功率は上がるだろうが、シニアなプロジェクトマネジャーにとっては標準的なプロジェクトマネジメントを行う理由にならない。

そこで出てくるのが、ノウハウの蓄積という話。これはシニアなプロジェクトマネジャーにとっては自分のノウハウを組織に還元させていくという意味で標準を遵守する動機にはなる話だ。ただし、マネジメントコストをプロジェクトが持ってやるべきことではないという但し書きが着くだろう。


◆アカウンタビリティのための標準化という発想は正しいのか?

そこで、PMO側の奥の手が出てくる。アカウンタビリティの確保である。つまり、上司や組織にプロジェクトの状況を説明し、必要とあれば指示を仰ぐのは組織人の義務であるという理屈だ。これを言われればプロジェクトマネジャーはやらざるを得ない。ただし、この場合もプロジェクトがコストを持つという話は成立しにくい。確かに、問題があれば組織として支援するので報告は必須であるというともっともらしいのだが、そもそも、そのような事項は組織がすべきプロジェクトマネジメントであり、それをプロジェクトマネジャーにマルナゲしているのがおかしいのだ。

このように考えると、プロジェクトマネジメントのコストはプロジェクトが持つべきだという論理は分が悪いのだが、あなたは、どう整理すればよいと思われるだろうか?

皆様の意見をお待ちしています。上の記事はブログ記事にしてありますので、こちらにコメントをください!


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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