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【PMOコラム20】マーケティングしよう!(2007.04.16)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆PMOの機能はプロジェクト支援機能だけではない

PMOの機能というと

「社内標準やテンプレートを作ってプロジェクトマネジメントの支援をする」、「トラブルに陥ったプロジェクトをレスキューする」、「プロジェクトマネジメント計画書のレビューや計画策定の指導をする」

などさまざまなものがある。ただ、PMOがこれらの機能を実行しようとしてみても、なかなか、うまく行かないのが現実である。なぜだろうか?

今回のコラムは少し視点を変えてこの問題を考えてみたい。


◆使われるまでに必要なプロセス

PMOがどんな標準やツール、仕組みを作ろうと、それらは使われてはじめて意味がある。これは誰もが認めることだろう。そして、使われるためには、まず、

(1)知られること

が必要だ。そして、

(2)プロジェクトマネジャーが使おうという気になる

ことが必要である。

そして、使われるようになったときには

(3)使っているものがメンテナンスされ、活用がきちんとサポートされる

ことが不可欠である。

プロジェクトマネジメントの仕組みや道具をいろいろと作って入れてみたが、なぜか、
プロジェクトマネジャーが使ってくれないという悩みを抱えるPMOのほとんどは、
(2)が抜けている。もちろん、存在すら知らないというケースは珍しいが、どのよ
うな場面で使えるか知らないとか、それを使うことによって何が期待できるか知らな
いとかいったケースは珍しくない。


◆使おうという気にならない

このようなことが起っている一因は皮肉なことにプロジェクトマネジメントブームである。ブームにのっかり、組織としてプロジェクトマネジメントの導入を決定した。このため、PMOの提供する支援に乗っかることが義務化されている会社が多い。

それで、形はできているのだが、いまひとつ、実態が伴わず、実りが少ないと悩む企業が多いのだ。これらの企業に共通している問題は(2)である。「ベテランのPMには自分のやり方がある」、「仕組みが重いので、忙しいPMにすべてやってもらうのは難しい部分がある」といった悩みを持っている企業が多い。

ここで問題なのは、PMOサイドの「いいもの、便利なものを作れば使ってくれる」という錯覚である。ちょっと脱線するが、皆さんの会社のビジネスを考えてみて欲しい。(開発者の考える)いいものを作ることから使ってもらうまでには、最低でも

・その存在を知ってもらう
・その価値を認めてもらう
・導入してもらう
・使い方を理解してもらう

という4つの壁がある。

プロジェクトマネジメントの支援を見ていると、意外にも価値を知ってもらう前で止まっているケースが多い。ここをクリアしても、導入してもらうまでに時間がかかっているケースが多い。

この2つがクリアできてはじめて、使い方を支援するという段階にたどり着く。ここは結構できている(というか、やとうしている)企業が多い。


◆マーケティングしよう!

これらはひと言でいうと、マーケティング活動である。日本ではPMOの書籍そのものが少ないが、米国のPMOの本を見ると、必ず、PMOの活動の中にマーケティング活動が入っている。

日本企業のPMOの人と議論をすると、サービス(標準の内容とか、ツールとか)の議論に終始することが多い。これではおそらく、いくらプロジェクトマネジメントに関する知恵を絞っても今の状況が改善される期待は薄い。

実は、日本企業のPMOがきちんとやっていない活動はマーケティングだけではない。そもそも、マネジメント活動というのがろくにできていない。これについては次回。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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