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第31回 プロジェクトガバナンスマネジメントのポイント(中)(2007.03.05)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


前回、プロジェクトガバナンスマネジメントのポイントとして、
 ・プロジェクト憲章の発行
 ・プロジェクトマネジメントポリシーの確立
 ・プロジェクト区分の確立
の3つについて話をした。今回は、この続きである。

◆プロジェクトマネジャーの権限とは何か

4番目のポイントは何かと話題になるプロジェクトマネジャーの権限である。どうもこの言葉は独り歩きしているきらいがあるが、実態は何か?よくプロジェクトマターは全てという言い方がされるが、プロジェクトマターとは一体何か?という議論だ。

プロジェクトマネジャーの権限として明確にすべきものには以下のようなものがある。与えるという意味ではない。注意してほしいのは、与えるという意味ではない。明確にしておく必要があるという意味だ。

・契約に関する権限
・ファイナンスに関する権限
・リソースマネジメント(リソース調達と配分に関する権限)
・顧客への対応に関する権限
・ベンダー、コントラクターへの対応に関する権限


◆契約に対する権限

一番目の契約に対する権限は、契約事務を行う権限ではなく、契約内容の決定に関する権限である。契約にはいろいろある。顧客との契約もあれば、ベンダーとの調達契約もある。これらの契約の内容を決定する権限をプロジェクトマネジャーに与えるかどうかだ。契約の内容には、契約範囲、契約金額、契約行為、違約条件などが含まれるが、これらの決定をプロジェクトマネジャーが行うかどうかの決定である。

また、調達の際の支出の決済ルール(例えば、プロジェクトマネジャーが決済するのが、通常の業務管理のルールに準じるのかなど)もこの範疇の議論である。


◆資金調達と予算オーバーへの対処に関する権限

二番目はファイナンス(財務)に関する権限である。プロジェクトには予算が割り振られる。予算の使用に関しては議論の余地はなく、プロジェクトマネジャーの権限である。この際に難しい問題が2つある。

ひとつは、予算が資金調達である場合に、誰が決済するのかだ。この場合には通常の予算とは意味が違ってくる。通常の予算は仮にそれを全て使い切って成果が不十分でも経営的な問題にまで発展することは珍しい。しかし、ファイナンスを行う場合にはある意味で青天井であり、失敗すると経営的問題に発展することは必須である。これに対してプロジェクトマネジャーがどこまで権限を持つのかという問題だ。

もうひとつは、予算オーバーした場合のマネジメントである。予算オーバーした場合に、社内のプロジェクトスポンサー(上位管理者)から予算を引っ張ってくる分には問題ない。しかし、例えば、顧客からの追加注文、プロジェクトスポンサー以外の組織からの資金調達を行う権限をプロジェクトマネジャーに持たせるかどうかだ。これも、結構、難しい問題である。

三番目は常に問題になる問題で、リソースマネジメントに対する権限である。これは改めて説明の必要はないだろう。


◆顧客とベンダーへの対応に関する権限

四番目は顧客対応に関する権限である。多くのプロジェクトマネジャーはこれを義務だと思っているが、そうとばかりはいえない。むしろ、顧客に自由に対応できるというのは権限だと考えた方がよい。契約やファイナンスに関する権限とも関連してくるが、スコープを削ってよいのかとか、予算の増額を申し入れてよいのかとかとか、顧客ミーティングのやり方を勝手に決めていいのかといったことを考えてみると権限であることが分かるだろう。そして、どの程度の権限を持つかが、プロジェクトの成否に直接関連してくる可能性が高い。

同じく、五番目はベンダーに対する対応の権限だ。これはベンダーの選定から始まり、契約内容、ベンダーとの交渉などをプロジェクトマネジャーにやらせるかどうかだ。

少なくとも以上のような点をプロジェクトマネジャーの権限としては決めておく必要がある。これをあいまいにしたままで、ケースバイケースだと言っているとプロジェクトマネジャーはやりにくいし、逆に上位管理者の対する過大な依存にもつながるだろう。



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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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