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第30回 プロジェクトガバナンスマネジメントのポイント(前)(2007.02.26)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


前回、プロジェクトガバナンスと内部統制の関係について述べた。今回は、もう少し、踏み込んで、ガバナンスをどうマネジメントするかについて考えてみたい。

まず、最初に考えたいことは、ガバナンスの基準点になるのは何かということだ。通常、プロジェクトガバナンスはライン組織からプロジェクトに権限委譲される。したがって、ライン組織そのものがガバナンスマネジメントを行うことはあまり望ましくない。権限委譲した後も神の声になってしまうからだ。そこで、あるべき姿はPMOがライン組織からの権限委譲の指揮も含めて、ガバナンスマネジメントを行うことが望ましい姿である。

PMOがガバナンスマネジメントを行うためには、まず、すべきことは、プロジェクトマネジメントにおける自らの位置づけを明確にすることである。このための定石は

 PMO憲章を発行する

ことである。米国企業のPMOではプロジェクト憲章と同じくらい当たり前になっているが、日本企業のPMOできちんとPMO憲章を作っている企業は珍しい。これがプロジェクトマネジメントのガバナンスの混乱の一因になっていることは否めない。

PMO憲章では

・PMOの業務の目的を定義する
・PMOと他部門の連携を明確に定義する
・PMOの機能上の責任を明確にする
・PMOの権限を明確にする
・PMOの予算化をする

といったことを明確にし、自らの足場を固める。その上で、プロジェクトガバナンスの構築を行う。

プロジェクトガバナンスの構築の中で、もっとも基本になるのはプロジェクトマネジメントのポリシーである。プロジェクトマネジメントポリシーは、プロジェクトマネジメント計画書でプロジェクトマネジメントの方針を定める際に配慮すべき組織としてのプロジェクトマネジメントの基本的な方針になる。たとえば、標準があれば標準に対する遵守の方針、リソースコンフリクトに対する対処方針、トラブルの際の組織としての対応など、組織としてのプロジェクトマネジメントの基本方針が定められる。

したがって、ポリシーを遵守してプロジェクトマネジメントを行うことは組織からの十分な支援を受けることができることを意味する。逆に、何らかの理由でポリシーを守れない場合には、プロジェクトマネジメント方針について組織と十分に協議した上でプロジェクトマネジメント計画書を作っていく必要がある。

次に定めるべきことは、プロジェクト区分である。プロジェクトガバナンスがすべてのプロジェクトにおいて同様に扱われることは珍しい。何らかのプロジェクト区分によって、ガバナンスの扱いも変わることが普通である。その意味で、プロジェクト区分はきわめて重要な問題である。区分で真っ先に頭に浮かぶのは、プロジェクト規模であろうが、このほかにも、以下のような視点がある。

 ・プロジェクト編成組織のスパン
 ・ステークホルダの数
 ・リスク(ただし、定量化が難しい)

などだ。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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