本文へスキップ

イノベーション実践、コンセプチュアルスキル、プログラムマネジメント、プロジェクトマネジメント、PMOについての最先端の情報、研修、セミナー、コンサルティングをお届けします。

【PMOコラム54】お布施で成り立つPMO(2008.04.29)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆PMOのコストを誰が見るのか?

最終的には承認を得る。これがビジネスケースの最後になる。

PMOの承認はプロジェクトマネジャーの承認以上に複雑な問題がある。それは、コストである。PMOの立ち上げについてはそのコストは組織の投資として行われることが多いが、その後の運用をどのように行うかによって、ビジネスケースそのものが変わってくる。日常的な活用予算の確保についてはビジネスケース作成の段階で明確にしておかないと、活動そのものが予算の問題で制約されることになりかねない。

PMOのコストの確保は大雑把にいえば、プロジェクト費用から調達する方法と、組織としての間接費用としてみる方法がある。前者はプロジェクトオフィスの機能を果たすような場合、コンサルティングを行う場合、リカバリーを行う場合に適切な方法である。後者は標準化やナレッジマネジメントを行うような場合に適切な方法であると言える。


◆お布施で課金するPMO

これに対して、この逆をやっている非常に興味深い事例がある。あるSI企業では標準やツールにチャージしてプロジェクトに提供している。これは、PMOを立ち上げ、計画書と、見積もり、および、進捗評価の標準化などを行った当初からの取り組みとして実施した。

ただでも使わない標準にチャージすることについてはPMOもプロジェクトマネジャーも反対したが、業務プロセス改革を担当する役員の鶴の一声で5年ほど前に強引にやってしまった。ただし、PMO側からの課金ではなく、当時、インターネットビジネスで注目されていた「投げ銭」、「お布施」システムである。

その結果、何が起こったか?著者が知っている企業の中で、間違いなくトップ3に入るような、プロジェクトマネジメントの質、成果を実現している。


◆標準化やツールの注文を受ける

当然のことながら、プロジェクトマネジャーは標準やツールを使う義務はないし、使う場合には費用が必要になる。実際のところ、初年度はあまり使われなかった。それで、PMOは一生懸命にマーケティングをした。人間関係や社内政治などで、いくつかのプロジェクトで使われるようになった。そして、社内で事例発表会などで、お布施システムであることが、徐々に認識されるようになってきた。

状況がドラスティックに変わったのは2年目の事例発表会であった。あるプロジェクトマネジャーが、コストをプロジェクトで持てば、要求したものを作ってくれるのかという質問をした。これに対して、担当役員がもちろんだと引き受けた。

これ以来、プロジェクトからの要求でPMOはさまざまな標準やツールを作って提供している。特定プロジェクトへの対応で開発した標準やツールを、別のプロジェクトにも使わせている。もちろん、使った場合には、プロジェクトはお布施を払う。


◆PMOのサービス対価の本質はお布施にある

この仕組みはPMOの在り方を考える上で非常に興味深い。品質マネジメントプロセスとプロジェクトマネジメントプロセスは本質的な違いがある。それは前者はある程度、体系的、論理的なものであるのに対して、マネジメントプロセスは本質的にベストプラクティスである。

考えようによっては、この企業はベストプラクティスをPMOがプロジェクトと一緒に作って、それを流通させているとみることもできる。もっともPMOに求められる仕事はこの仕事ではないかと思われる。

当初、3名で頑張っていたPMOスタッフの人数も今は10名を超えている。10名を超えるPMOの費用はすべてプロジェクトからの委託業務をお布施で賄っている。PMOの価値とコストというのは本質的にこういうものではないかと考えさせられる事例である。みなさんは如何、お考えだろうか?

◆プロジェクト品質を向上させるプロジェクト監査のセミナーを開催します
╋【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
◆プロジェクト監査の理論と実際                ◆3.5PDU's 
  日時・場所:【Zoom】2024年 05月 14日(火)13:30-17:00(13:20入室可)
       ※ZOOMによるオンライン開催です。
       ※少人数、双方向にて、演習、ディスカッションを行います
  詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/pm_audit.htm
  主催 プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
 ※Youtube関連動画「プロジェクト品質向上のためのプロジェクト監査
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
  【カリキュラム】
   1.プロジェクト品質とは
   2.プロジェクトマネジメント品質向上への取り組み事例
   3.プロジェクト監査と進め方
   4.事例に見るプロジェクト監査の活用法
   5.プロジェクト監査の視点
   6.監査の実際
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

メルマガ紹介

本連載は終了していますが、コンセプチュアル・マネジメント購読にて、最新の関連記事を読むことができます。

コンサルティングメニュー紹介

PMOコンサルティング、PMOアウトソーシングサービス、人材マネジメントサービスなど、御社に最適のコンサルティングをご提案させていただきます。まずは、お問合せください。

Youtube始めました。チャンネル登録お願いします。PMstylebiz

書籍プレゼントはこちらから

お薦めする書籍

メルマガ購読

ブログ

公開セミナー(カテゴリー別)
日付順  カレンダー

お客様の声(掲載をご許可いただいた受講者の方のアンケート結果)

PMコンピテンシーとは

サイト内検索

Facebook

Facebook

Twitter