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第5回 リーダーシップからスポンサーシップへ(2007.05.20)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆スポンサーシップがピンとこない理由

プロジェクトマネジメントの世界ではリーダーシップが重視されているが、スポンサーシップというのはあまり、興味をもたれていない。経営的に見るとプロジェクトマネジメントは第一義的にはファイナンシャル・アカウントマネジメントの意味合いが強いので、プロジェクトスポンサーは資金的支援者というイメージがある。そうすると、一般的なビジネスプロジェクトや受託型のプロジェクトにおいては、プロジェクトの上位側のマネジメントで予算が計画されてしまうので、あまり、スポンサーというイメージはない。実際にプロジェクトレベルで資金調達をする必要もない。実際に、PFIのように資金調達のマネジメントが必要なプロジェクトもあるのだが、まあ、別の世界の話という感じになるのだろう。

しかし、プロジェクトマネジメントの対象がQCDとスコープだけではなく、リスクやコミュニケーション、調達など広くなっているわけで、やはり、スポンサーシップも資金提供だけではなく、広い意味で捉えるべきだろう。


◆強いリーダーシップ vs スポンサーシップ

最近、「なぜ会社は変われないのか」のスコラ・コンサルティング代表の柴田昌治氏の最近書かれた本で、

なぜ社員はやる気をなくしているのか


という本がある。この本の副題は「働きがいを生むスポンサーシップ」である。柴田氏の考え方は日本企業の特徴をよく捉えていて、興味深い。この本で柴田さんは、スポンサーシップを

リーダーシップの一種。ただ、引っ張っていくリーダーシップではなく、部下が主役になりうる機会を演出することで「質の高いチームワーク」をつくり出して行くリーダーシップ

と定義している。柴田氏の主張は明快で、組織変革においては、「進化の価値観」を体現するスポンサーシップによって、経営や仲間に対する信頼感ができ、その信頼感がセーフティネットとして機能し、個人の内発的動機が引出されるというものだ。簡単にいえば、スポンサーが本気であることが分かれば、はしごを外されるではないかという不安がなくなり、個人も本気で変わることができるということだ。

我々の言葉でいうと、個人の成長や変革が宿命的に持つ「一人だけ変わってしまうジレンマ」がスポンサーシップによって解消されるというのが柴田氏の主張である。

さらに、柴田氏の主張で興味深いというか、共感するのは、強いリーダーシップ、つまり、引っ張っていくリーダーシップの弊害に対する指摘である。柴田氏によると、強いリーダーシップは部下に考える余裕を与えず、きちんと管理していくことで、成果をあげるやり方であり、長い目で見た場合に、経営に悪影響を及ぼすことが多いという。


◆プロジェクトマネジャーにもスポンサーシップが不可欠

プロジェクトではどのようなリーダーシップが必要かと考えてみると、組織によって異なる。日常業務を機能組織(ライン組織)で実行し、特別な仕事だけをプロジェクトとして行っているような組織では、強いリーダーシップが有効である。

ところが、SI企業のように次から次にプロジェクトに従事していく組織や、ひとつの製品開発プロジェクトが終わったら次の製品開発プロジェクトに従事する、実質的なプロジェクト型組織では、メンバーを育てながら、プロジェクトを成果を得ることが必要で、スポンサーシップが重要になる。今後、ますます、こちらの組織が増えていくので、プロジェクトにおけるリーダーシップとしてはスポンサーシップが重要になってくるだろう。

また、「新規性がある業務がプロジェクト」と考えると、プロジェクトにおいて個人の能力を引出すためには、内発的動機が絶対的に必要である。プロジェクト業務のような非定型業務のパフォーマンスを外発的な動機で実現するには限界がある。


◆スポンサーシップがプロジェクトを元気にする

この目的で注目されているのがメンタリングである。プロジェクトマネジャーがメンバーのメンターとして機能することにより、セーフティネットができ、個々のメンバーにパフォーマンス向上のためのリスクをとる内発的動機が生まれ、ストレッチゴールを受け入れ、結果としてパフォーマンスが上がる。こんな図式が考えられているし、多くのプロジェクトで成功している。

ところがメンタリングというのはあくまでも1:1の関係が基本である。プロジェクトマネジャーがすべてのメンバーのメンターになるとしても、それは全員と1:1の関係を結ぶということである。これでは、個々のメンバーが向上させたパフォーマンスの足し算にしかならない。

これに対して、プロジェクトマネジャーがチームに対するスポンサーシップを発揮することにより、個々のメンバーのプロジェクトマネジメントやチームに対する信頼感ができ、それによってチームのパフォーマンスが上がる。チームのパフォーマンス向上はメンバーのパフォーマンス向上の掛け算になる。

スポンサーシップはまさに、「プロジェクトを元気にする」ためのリーダーシップといえるだろう。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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