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第11回 プロジェクト・イメージメント(2008.12.05)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆イメージメント

ずいぶん、古い本だが、ラグビーで神戸製鋼の黄金時代を支え、全日本の監督も勤めた平尾誠二氏と編集工学の提唱者で平尾ラグビーに魅入られたという松岡正剛氏の対談集「イメージとマネージ」という本がある。

平尾 誠二、松岡 正剛「イメージとマネージ―リーダーシップとゲームメイクの戦略的指針」、集英社(2008)


この本の中で、面白い概念が提唱されている。それは

「マネージメント」があるのではなく、そこにはつねに「イメージメント」がはばたいているということなのである

と松岡正剛氏の語る「イメージメント」という概念である。イメージやイマジネーションというのは構想するためには不可欠なものである。ところがイマジネーションと構想というのはどことなく違うように感じる。どこが違うのだろうか?この答えが、「イメージメント」にある。イマジネーションにマネジメントが加わると何が起こるのか?


◆イメージ+アクション=構想

アクションである。

つまり、構想とは

 イマジネーション+アクション

である。このことは、構想というものに多くの制約を与えている。構想というからには見えないものを見なくてはならない。哲学者カントは「構想力」を

対象の現前なしに、直感において対象を表象する能力

だといっている。表象するだけであれば想像(イマジネーション)であるようにも思えるが、これに影響を受けた哲学者三木清は「何かを作り出す現実の行為」を構想力だとしている。

僕は平尾自身は選手としてはイメージメントをできていたと思う。構想を自分自身で現実の行為に変えていったからだ。しかし、監督としてはできなかったように思える。イマジネーションはあったと思うが、それを実現できなければ、想像、空想になってしまう。これでは意味がない。


◆地に足をつけ、翔ぶ

現実の世界に戻ると、構想が難しい最大の理由はここにあることが分かる。構想であるためには、地に足を着け、やり方はわからないけど「できると感じる」ものである必要がある。昔スポーツ誌で、平尾氏が「現在の全日本チームには自分のイメージが実現できるスキルがない」と発言しているのを読んだのだが、逆に選手、あるいはラグビー界の重鎮には現実感(リアリティ)がないという風に感じていたのかもしれない。今後の復帰はあるにしても、平尾時代が短期に終わったことと無関係ではないように思う(誤解のないように断っておくが、僕は平尾氏のファンであり、今後、全日本に復帰することを願っている)。

一方で、誰の目にも見えているようでは構想しているとはいえない。単なる当たり前のことに過ぎない。これがリアリティの難しさである。


◆構想のためにはプロジェクトリアリティのマネジメントが重要

プロジェクトを構想する際に、このリアリティというのは極めて重要である。われわれは「プロジェクトリアリティ」と呼んでいる。プロジェクトマネジメントにはプロジェクトリアリティをマネジメントする興味深い概念がある。段階的詳細化である。段階的詳細化というのは、リアリティを高めていくプロセスである。

プロジェクトにステークホルダを巻き込んでいうということはどういうことかを改めて考えてみてほしい。最初からみんなが乗っかってくるようなプランではたいしたプロジェクトではない。少なくとも、プロジェティスタが乗り出していくプロジェクトではない。

そこで、必要になるのは、段階的詳細化にステークホルダの巻き込みをうまくやって、魅力的なプロジェクトにしていくことだ。トム・ピーターズの言葉ではセクシープロジェクト。最初は支持者は少ない方がよい。そのイマジネーションを段階的詳細化で構想に変えていく。これがプロジェクトマネジメントだということもできる。

あるいは、プロジェクトイメージメントと呼んでもよい。プロジェティスタの行うマネジメントは

プロジェクトイメージメント

というのはいかがだろうか?

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「プロジェクトマネジャー養成マガジン」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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