前回はエンパワーメントの実行のため必要な
(1)目的・目標の合意
(2)自由度の供与
(3)補完的な支援
の3つのうち、(1)の目的・目標の合意について述べた。今回は、(2)の自由度の供与について述べる。
◆自由度の供与とはどういうことか
自由度の供与というのは日本の組織がもっとも苦手とするところではないかと思う。自由度を与えるというのはほったらかしにすることとは異なるし、また、「手の平で動かす」ということともちがう。
部下を尊敬した上で、腹を決めて、自分の成果を相手に託するということである。言い換えるとプロジェクトが成功することを信じ、成功しない場合には自らが責任を取ると言うことに他ならない。
ほったらかしにしておいて、「把握していなかった」、「相談を受けていない」、「そのような指示はしていない」といった露骨な責任転嫁、あるいは「指導が間違っていた」(指示ではない)という偽装的な責任転嫁が目立つ。
マネジメントというのは人を使って成果を挙げることであるというのがドラッカーの教えだが、人の使い方には
・指示
・指導
・育成
の3つがある。この3つの手段をケースバイケースで使い分けていくのがマネジメントであるが、エンパワーメントというのは一つ目の指示という手段を放棄しているに等しい。したがって、かなり難しいのだが、自由度を与えるというのは指示だけではなく、指導すらも控えるということだ。その意味でエンパワーメントをするマネジャーにしてみれば相当に覚悟を要するマネジメントであるので、なかなか、難しい。
◆自由度を与えるために守るべき3つのこと
自由度を与えるためには、3つのことを守る必要がある。一つ目はプロセス、あるいはやり方に口出しをしないことだ。意志決定に口出しはしないが、代わりにやり方に口出しをするのでは何をやっているのかわからない。
二つ目は、心配そうにしないことである。一般的に考えると、エンパワーメントする方は、される方よりキャリアが上である。キャリアが上のものが心配そうにしていると、やはり、不安になるのが人情である。これは一切だめ。
三つ目は協力的であることだ。実はこれが一番難しい。自分と同じやり方をしている分には協力的になれる。ところが、意見の相違がある場合には、ついつい、委譲していない権限を使って非協力的な態度を取るマネジャーがいる。もっともよく見受けるのは人事権をタテにとって権限委譲している部下を従わせるという手口。これは他の部下を育成するという大義名分で、進め方が好ましくないので参加させても勉強にならないといった理屈が行われる。
◆上司にとってエンパワーメントは影響力の行使によるマネジメント
あとでもう一度詳しく述べるが、上司にとってエンパワーメントというのは、部下が権限を持たずに上司を動かすに等しいやり方である。つまり、本質的には権限はあるのだが、権限を使わずに部下を動かす。そういったリーダーシップが問われる場面でもある。
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好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
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