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戦略的アラインメントを成功させるためには、目的・目標が設定されていること、階層化できるフレームワークがあること、ステークホルダの合意形成が行われていること実行計画が組織としての仮説になっており、実施体制作りが十分であること、に配慮する

第5回 戦略的アラインメントを成功させるには(2009.11.03)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆戦略的アラインメントを成功させる条件


前回、戦略的アラインメントのゴールとして3つのゴールとして

(1)組織の成長を最大化する
(2)無駄をなくす
(3)シニアマネジャーの組織統制の強化をする

があると述べた。また、そのためのアプローチについて説明した。今回からは、これらの戦略的アラインメントを成功させるためには、何を配慮すればよいかを説明する。

まず、ざっと箇条書きにすると

(1)バランスがとれ、また、よく考えられた目的・目標の設定されていること
(2)明確で、かつ、耐久性のある目的が設定されていること
(3)階層化をきちんとできるようなフレームワークがあること
(4)目標が計測可能であること
(5)ステークホルダの合意形成が行われていること
(6)実行計画が組織としての仮説になっており、実施体制作りが十分であること

の6つくらいに集約される。まず、それぞれを簡単に説明し、その後に、詳しく検討していきたい。

◆バランスと耐久性


まず、(1)である。目的・目標の設定について「バランス」と「よく考えられている」という2つの要件がある。また詳しく述べるが、マネジャーになっても目的や目標を与えられるものだと考えている人が少なくない。これはとんでもない勘違いである。目的や目標を決めるということが責任をとることであり、マネジャーの仕事である。

二番目のキーワードは「明確」であることと、「耐久性」があることである。前者は今回は説明の必要はないと思うが、後者については多少説明しておく。目的や目標は、戦略が変わったり、あるいは実施状況が予想外であった場合に、できるだけ変える必要がないものが望ましい。目標が変わることを容認することはパフォーマンスやモチベーションに悪影響があるためだ。変えなくてすむということが「耐久性」という言葉の意味である。

◆階層をまたがるフレームワークの必要性


三番目も重要だ。結局、なぜ、戦略的アラインメントができないかというと、トップから現場までの階層をうまくおろしていく方法がないことであることが多い。たとえば、第2回で説明した、GBSのような簡単な仕組みでもいいので、フレームワークがほしい。

四番目は、言い尽くされたことで、目標は計測可能であること。そして、目標は目的ときちんと整合していること。

五番目はある意味で、目的や目標、プロセスといったコンテンツよりもっと重要なことで、それがきちんとステークホルダの合意形成の行われたものであることが不可欠である。

◆計画を組織の「仮説」として共有する


最後は、目的・目標達成のための計画が正しいかどうかは別にして、組織全体でその方向でやる「仮説」になっていることだその計画でできるかどうかを組織全体がどう認識しているかはきわめて重要な問題である。。詳しいことは別の機会に説明するが、組織ができるかどうかわからないと思っているプロジェクトはだいたいうまくいかない。組織が楽観的にみているプロジェクトは、なんとかなるものだ。間違っても、評価だけをして、後はプロジェクトでどうぞのようなやり方はしてはならない。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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