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思考を飛躍させ、意外なアイデアを生みだす思考習慣であるラテラル・シンキングについて紹介、著者と対話ができるお楽しみコーナーがあります。第10回は、立場を変えることで別の思考を生み出す

第10回 立場を変えることで別の思考を生み出す(2009.09.02)

IVC 山下貴史


ラテラル・シンキングの第10回目です。最終回です。

今回は、視点や思考を含んだ自分の立場を変えることで、新たな発想を生み出す方法を見ていきましょう。

視点や思考を自分の立場からを変えることで、思考は大きく飛躍します。

会社などの組織でビジネスをやるときに、自分の立場を変えて思考できれば、さまざまなヒントを得ることができるのです。


たとえば、新商品の投入プロジェクトにおけるミーティングの場面を考えてみましょう。ここでは、話をわかりやすくするために、登場人物を会社の経営者、マネージャー、実務を担当するスタッフの三つに絞ります。

同じ会社の人間であっても、三者はそれぞれ別々の立場にあります。
もちろん企業理念や社是等の企業として全員で共有するものがあり、その観点からは立場は一緒であると言えるかもしれません。

しかし、現実には立場によって考え方や動き方が大きく変わってきます。
たとえば次のような具合です。

経営者:    赤字決算を避けるためにコストはできるだけ絞りたい
マネージャー: プロジェクトを失敗させないよう従来通りで進めたい
スタッフ:   自分のスキルが上がるような、やりがいのある仕事をした


ちょっと極端な例ですが、

経営者:    コストを削減するために、プロジェクトメンバーを減らせ
マネージャー: 手堅くやるために、従来のメンバーで従来通りやりたい
スタッフ:   新しい方法がおもしろそうだ。それを試したい


同じことであっても、立場が変われば、どれもが「正しい」とも「正しくない」とも言えるのです。あるものに対して、人が評価や判断を行う場合には、それぞれの立場や考え方によって「正しい」と思う思うモノが違ってくるのです。

ラテラル・シンキングでは、そのような部分にも注意を向けていきます。

思考を飛躍させるためには「自分とは違う立場」で考えることも有効なのです。
そのひとつとして、相手の立場で考えてみよう、発想しようとするのが「当事者発想」です。

たとえば、プロジェクトにおいて、相手の立場に立って考えてみるのです。

すると
「確かに、自分が、その当事者の立場だったら、同じように行動する」
「自分が相手の立場にいたら、同じように発言する」

というようなことが感覚的にわかる場面が出てくるはずです。
自分の立場にとどまっていたら見えていなかった思考が、また問題解決のヒントがみえてくるのです。

これを発展させ、相手の上司の立場、部下の立場など想像できるようになると、より深い思考につながります。

「上司から、こんな感じの指示を受けているので、このような反応をするのだろう」
「部下との関係が○○なので、今回の要望がでているのかもしれない」等々です。


これを少し発展させれば、いろいろな思考を生み出すことができます。
たとえば、自分が扱っている商品やサービスになって思考を飛躍させるのです。

壁紙を販売するある企業の社長は、自分が壁紙になることにしました。
そして、次のような自問を続けました。

「壁紙に話ができたら、私に何と言うだろうか?」
「壁紙の関心事とはいったい何だろうか?」
「壁紙は何を心配しているだろうか?」
「私が壁紙であったら、どんな気がするだろうか?」

彼はこの問を毎日続けることで、壁紙の気持ちになるように努めました。
その結果、壁紙は、火事のことを心配しているだろうという想像が生まれました。
燃えやすく、燃えると有害物質を発生させてしまうという心配です。

その欠点を解消させるべく、耐火性があり毒性のない壁紙を開発し、大きな成功につなげたのです。


気持ちを想像させるだけでなく、実際の当事者になってしまうよう努めることで、思考を飛躍させるのです。



******* ラテラル・シンキング力を鍛えるクイズ その10 ******

PM養成マガジンの好川哲人です。

全10回にわたる、山下さんの「思考を飛躍させるラテラル・シンキング」はいかがでしたでしょうか?僕自身読んでいて、今まで感覚でやっていたことが整理できたように思いますし、また、新しい気づきも多くありました。

また、みなさんから応募していただいたクイズへの回答も、意表をつくものも多く、楽しみに拝見させていただいておりました。

ぜひ、このような柔軟な発想を、「体系的に」、プロジェクトマネジメントに持ち込んでいただけることを期待しています。

ということで、最終回のクイズは、好川の方からプロジェクトマネジメントをテーマにして出題させていただきます。

仕事の話になると、突然、ロジカルになって、「情報がないのに考えられない」と思わないでください。これまで9回のクイズと同じように、自由に考えてみてください。できれば、今までの記事を読み直してみて、一つつづ、試して見られると、ラテラルシンキングを業務に使っていく手がかりがみつけるでしょう!

なお、今回のクイズは最終回記念ということで、

賞品は著名なラテラルシンキングのクイズ集
        「ウミガメのスープ

第1巻〜3巻をセットでプレゼントします!
(4巻までありますが、4巻は版元品切れになっているので、3巻までのプレゼントになりました)。

ふるって応募ください。なお、今回のラテラル賞もこれまで同様、出題者が「好きな」ものを選びます。

それでは、クイズです。

◆クイズ10 Aさんの方針◆

S社では、重要プロジェクトの失敗が目立ち、3年前からPMOを設立し、全社的にプロジェクトマネジメントの強化に取り組んできました。その中でもっとも力を入れたのは、PMOによるリスク計画のレビューでした。

4年目を迎えるにあたってPMOマネジャーが交代することになりました。新しいPMOマネジャーAさんはリスク計画のレビュー制度の廃止方針を打ち出しました。プロジェクトの現場では、計画書や進め方の形は整いだしたものの、内容的には十分とはいえず、予期しなかったリスクでプロジェクトが窮地に陥ることもあります。

なぜAさんはそのような方針を打ち出したのでしょうか?

クイズへの回答はこちら   
※終了しました。

よりご応募ください。締切は来週末、9月11日(金)24:00です。


選ばれた方の答えや、「惜しい!」という方の答え何点かは、当選者発表の際にご紹介します。本名はちょっという人は、ニックネームで応募してください。


回答を到着順にご紹介します。ラテラル賞の発表はこちら。

  1. PMOによるレビューが続き、プロジェクトマネジャーはPMOが満足するリスク計画しか作成しないようになってしまった。
    予期しなかったリスクでプロジェクトが窮地に陥ることがあるということは、レビューが有効どころか弊害になってしまっていると考えられる。
    その弊害をなくし、プロジェクトマネジャーが自分自身が満足する計画を作成するように、レビュー制度を廃止した。

  2. 以下、今回のコラム内容に沿って考えてみました。(面白みが無いかも。。。)
    【PMOマネジャーの立場から考える】
    これまでの3年間で『もっとも力を入れてきたリスク計画』だったが、実は『レビューの為のリスク計画』となってしまっていたのである。このため想定するリスクが画一化され、実際に発生するのは『予期しなかったリスク』となっていたのである。

    【メンバーの立場から考える】
    メンバー全員が『リスク計画に力を入れている』という安心感から、リスクの兆候に対して鈍感になってしまっていたという状況がある。

    【新しいPMOマネジャーAさんの方針】
    これまでの状況を打破するべく、リスク計画のレビュー制度を廃止することで、あえて『常にリスクに晒されている』という状況とし、自分を含めたメンバー全員が常にリスクに対するアンテナを敏感にできるようにしたのです。
    このようにして『マンネリ化したリスク計画』と『鈍感な状況』から、『リスクに迅速に対処できる体制』への自浄作用をはかったのです!

  3. 「プロジェクトの現場では、計画書や進め方の形は整いだした」にも関わらず、「予期しなかったリスクでプロジェクトが窮地に陥ることもある」ことは、「リスク計画のレビュー制度」が完全ではないと見ることができます。しかし、全てのリスクを事前に網羅できるものではありません。リスクが顕在化して実害が出ているという状態は、「ラテラル・シンキング力」も駆使した上で、プロマネ自らリスクに対応するという能力を身につけていないことの証左ともみることができます。長期的にみると、S社にとってこれは大きなリスクとなります。したがって、プロマネ育成に悪影響があるとAさんは考え、リスク計画のレビュー制度の廃止方針を打ち出したのではないでしょうか。

  4. ビジネスになると難しいですね・・・
    リスク計画のレビューで出たリスクに対する関心のみが高まってしまい、そのリスクへの対策は十分に取られるようになったものの、そこでレビューされたリスク以外への関心が薄まっていったのではないでしょうか?
    さらに、毎回、レビューに出てくるリスク計画は似たようなものが多く、結果として想定外のリスクが生じることになり、実施前より、かえって現場の混乱が増えてしまったとか。
    (きっと)現場にいたAさんは、そのことを実感しており、まずはリスク計画のレビューを辞めることで、各マネージャーやスタッフが自主的にリスクについて考えるような意識に持っていかせ、その後、そのノウハウを集積し、ちゃんと機能するリスク計画のレビューを再度開始するのではないかと思いました。

  5. (1) PMOがレビューすることで「当たり前のリスク」しか計画書に載らなくなっていて、逆効果だと考えた。
    (2) プロジェクト個々のリスクはさまざまなので、レビューするのではなく、PMOがPMと一緒に計画書を作るように変えたい。
    (3) 現在のS社のレベルでは、PMOはトラブル発生時のリカバリーに注力する方が効果的と判断した。

  6. プロジェクトマネジメントの強化はトップダウンの施策で、一般的なリスク管理を真似て始めたが、ボトムアップで検討し自社の状況にカスタマイズされていなかったと思われます。
    現場では、PMOから提示されるリスク計画書の雛形や作成手順書により、計画書や進め方の形は整いだしたものの、リスクの洗い出しのスコープは明確にされておらず、やらされ感から内容的には十分とはいえないものになっていたのでしょう。
    「予期しなかったリスクでプロジェクトが窮地に陥っていた」事からリスクの洗い出しに問題があるか「PMOによるリスク計画のレビュー」でふるい落とされていることが考えられます。

    そこでAさんは、まず、リスク計画のレビュー制度を廃止し、プロジェクトに関わるいろいろな立場からリスクの洗い出しを行いました。リスクの「発生率や重要度」と「予兆を捉えアラームを挙げる基準」を決めることで、PMOでも予兆を捉えられ現場が忙しいときにも見逃しが減らせるようにしました。
    次に、PMOと現場が一丸となりリスクをモニタリングし定期的にリスクを見直すようにしました。
    最後に、プロジェクト完了時に関係者の反省を基に改善案をまとめリスク管理の手順に盛り込むようにしました。

  7. S社というのが怪しさ満点ですが・・・(笑)
    ・リスクを恐れ、チャレンジングなプロジェクトを避けるようになってしまった。
     リスクに備えることが重要なのに、リスクが無いプロジェクトばかりするようになってしまった。さらには、リスクを隠すようになってしまった。

    これが一番多い答えかなぁ?と思います。ラテラルかどうかわかりませんが、無理やりひねり出すと
    ・リスクを考えなくても良いような小さなプロジェクトして起こらない、小さな会社になってしまった。
    とか

    ・会社にBIGプロジェクトが起こり、他のプロジェクトをレビューしている暇が無くなった。

    など、問題自体が台無しになるような答えもあるかな?と思います。

  8. リスク計画レビューが徹底され、PMのリスク管理意識が喚起されたものの、一方、PMがリスクを取ることを恐れるようになってしまい、リスクの大きい案件は受注せず、リスクの小さい案件ばかりを手掛けるようになってしまった。結果、会社の売上低下という事態を招いてしまったため。

  9. 【形骸化は何も生まない】
    リスク計画のレビューという仕事自体が「作業」になってしまい、反省するといった頭を働かせることをしなくなった。これならやるだけ無駄。ルールが定着すると陥りやすい。

    【計画は所詮理論。PJは個別で不確実。】
    リスク計画を立てて、終了後にレビューして計画精度を上げようとした。しかし、PJの個別性(独自性)が強く一般化して計画に反映させることが難しく、それでも改善を重ねたが、ブレ幅の大きな計画しか建てれなかった。レビューからのリスク計画方法の理論に時間を要するぐらいなら、今わかるリスクをそのままリスクとして捉えた方がより良い計画になる。

    【これ以上は「レビューのためのレビュー」】
    前案の延長ともいえる理由。レビューをすることで当初は計画制度が上がった。しかし、3年も過ぎた頃から、その改善効果が薄くなり、レビュー労力の方が大きくなってきた。これ以上やると、所謂「管理のための管理」の状況になるため廃止した。

    【創意工夫と脳体操の創出】
    形骸化はしていないが、手順が確立し始めた副作用として、「考えが現方法の延長線上」に固まるようになってきた。そこでラテラル的思考を刺激するため、敢えて重要なリスク計画のレビュー作業を否定した。結果、皆が代替案などでさらに頭を使い始めた。なお、ヒトは失ったときにその重要性を気付くもので、結果的にレビュー制度の復活となっても、それはそれで構わない。

    【先人の否定】
    坊主憎けりゃ袈裟まで憎い・・・前任者が気に入らないから、廃止した。好き嫌いは置いておいて、ヒトは先人を越えたい願望があり、時として否定(破壊)から創出しようと考える。

    ・・・経験を書いてみましたが、まだ社会人5年目です。本当に「あきない」です。真理を見れば、過労とかで体を持ってかれるんですかね。
    喜びの言葉はこちら

  10. [PMO側の事情]
    ・PMOのレビュアーの力量が不足していたため。
    ・PMOの機能を縮小し、他の作業にまわすため。
    ・3年で成果が出なかったため、リスク計画のレビューをなくした。【現実はこれが多いか・・・】

    [リスク計画レビューではなく別で]
    ・リスク計画のレビューではなく、他の方法(PMOがリスク計画を立案など)で代替する方法に変更した。
    ・リスク計画は、全社で作成したメソドロジーを基に自動的に作成する仕組みになった。
    ・リスク計画はプロジェクト計画に包含し、プロジェクト計画レビューで一括チェックすることにした。
    ・リスク計画よりも、見積りなどの別の重点項目に力を注ぐことになった。【ありうる】

    [リスクの対応]
    ・リスクは受容することに全社決定したため
    ・リスクは転嫁(保険で対応)することに全社決定したため

    [実態]
    ・実は3年間、リスク計画レビューといっても何もやっていなかった。
    ・実は3年間、異動したPMOマネージャのみがレビューをやっており、ノウハウがないため、廃止するしかなかった。【これも現実にはありうる】

    [成功orレビュー存続]
    ・リスク計画レビューは普及しており、プロジェクト内部で実施できるようになっていた。
    ・リスク計画レビューは、組織内部で行なうことに方向転換した。
    ・リスク計画レビューのノウハウを持ったひとをそれぞれの組織に設置し、組織内でレビューを実施するように変換した。【大企業ではこれが多いか】
    ・現PMOではなく、別の部門(PMOマネージャの異動先)がリスク計画レビューを実施することになった。
    ・別の会社でリスク計画のレビューを実施するようにした。(文字通り第三者のレビュー)

    などなど
    を回答とさせていただきます。

  11. S社の競合会社へ転職するつもりだったので、S社のレビュー
    そのためには、回りだしたS社のレビュー制度が邪魔(脅威)だったのです。

  12. (少々乱暴な回答)この会社ではPMOが肥大化しており、PMOによるレビューをやめればPMOの業務が減り組織をスリムにできるから。
    ずさんなリスク計画により、もしいくつかのプロジェクトがこけてもまだ割りにあうため。またプロジェクトがこけなかった場合には、PMOによるレビューがこの会社では不要だったと証明できる。

    (回答2)プロジェクト現場のリスク計画がPMOによるレビュー依存になっている。これを打破して現場の実力を高めるため、あえてPMOのレビューをやめる。またこの方が、リスクが現実になった場合、当初のリスク計画のどこが不十分だったか明確になる。さらにリスク対応の経験を積ませることができる。

    (回答3)この会社の場合、リスク計画にあたりPMOのレビューを現場に意識させないで自由に計画させたほうが、無駄な工数を減らし、プロジェクトの利益率が高まるため。
    すみません、3個も回答してよろしいのでしょうか。

  13. リスクの識別・影響評価・対応策がマンネリ化してきた。
    経験したことを形だけなぞるだけになってしまい、現場で頭に汗をかいて考える習慣がなくなってきた。このため新たなリスクに追随できなくなってしまい、少しバリエーションが変わると対応できなくなるケースが増えてきた。

    ここでリスクコントロールのレベルを引き上げるためには現場で徹底して考える習慣を復活させることが優先と判断。いったん根付いた既存の仕組みをリセットすることを決断した。
    PMOとしてはプロジェクトマネジメントが混乱するリスクはあるものの、大局的にはこの道をたどるほうが新のPM力強化につながる。

今回のクイズの出題者 好川哲人からのラテラル賞の発表です

遅くなりましたが、第10回のクイズのラテラル賞を発表します。

ビジネスネタだったせいか、応募も少なかったのですが、毎回、熱心に山下さんの連載記事を読んでくださったことを感じる回答が多くあり、好川としては、うれしかったです。

このクイズを考えたときに、「リスクマネジメントが必要だという前提」、「PMOマネジャーはプロジェクトマネジメントをよくしなくてはならないという立場」、「リスクマネジメントはリスク強化のためにあるという見方」というプロジェクトマネジメントの常識を如何に克服するかだという想定で問題をつくりました。

これに対して、

・立場を変える(ま、たけ、みっく、紅太郎、わっきぃ、uio)
・見方を変える(そすけ、Maya、四十の手習、わっきぃ)
・前提を変える(たけ、みっく、わっきぃ、そすけ)
※敬称略

のように思考の枠組みを超えようとする試みがありました。実は、問題をつくったときの発想を超えて何かすごい答えがでてこないかと楽しみにしていたのですが、その意味で、

S社の競合会社へ転職するつもりだったので、そのためには、回りだしたS社のレビュー制度が邪魔(脅威)だったのです。(みっくさん)

【先人の否定】
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い・・・前任者が気に入らないから、廃止した。好き嫌いは置いておいて、ヒトは先人を越えたい願望があり、時として否定(破壊)から創出しようと考える。(わっきぃさん)

はよかったと思います。わっきぃさんはこれ以外にも、

形骸化は何も生まない → 合理的問題解決
計画は所詮理論。PJは個別で不確実。 → 前提を疑う
これ以上は「レビューのためのレビュー」 → 立場を変える
創意工夫と脳体操の創出 → 見方を変える

の4つの視点から理由を考えてくださったので、最後のラテラル賞は9:わっきぃさんとさせて頂きます。わっきぃさんは第3回に続く、2回目の受賞になります。おめでとうございます。

これで、ラテラルクイズは最終回になります。

10回全部で、109人の方に、223個のすばらしいアイディアを頂きました。この場を借りて、ご参加頂いた全員の方にお礼を申し上げます。

ラテラル賞受賞の「わっきぃ」様からの喜びの言葉

好川さま、ラテラル賞に選んでいただきありがとうございます。
皆さま、二度目の受賞となり、大変恐縮しております。
今回の受賞があるのも、前回までの皆さま並びに山下さまのご意見やご説明のおかげであると思っております。
(毎回、全てのご意見を精読させていただきました)

さて、文面でも少し書きましたが、答えた内容は実は全て経験したことです。
ちなみに【先人の否定】は大学時代の演劇研究部の話です。芸術色の強いケースだと、こういった考えも出るようです。

その他の意見は、PMOを勧めてきたコンサルやPM系セミナーの意見と、自社エグゼクティブ層の意見との間に立った時に話題になったものです。

少し自社の事例を話します。会社の置かれている状況は次の通りです。

・製造業で、新商品の開発PJが多数(100以上)動いている。
・新商品が出てくる時期はおおよそ決まっている。
・他社もその時期に発売されるため、開発遅れ=売上激減である。
・よって、締め切りは厳守である。
・トラブルの予測はしても、PJ数が多いので予期しないトラブルは必ず発生する。
・故に、火消しのマネジメントで回している。
・火消しマネジメントのスキルは磨かれてかなり高レベルである。

注目したいのは、「火消しマネジメントで回っている」点です。
明らかに破滅的であるのは理解できるのに、慢性的なリソース不足と相まって、右で消火しても、左で火災、後ろで火種が発生・・・となって、「考える暇あれば火を消せ」という発想にどうしても陥ってしまうのです。

ここにコンサルが来てPMOだ、リスク予測だと言って売り込んでも、現状は火消しに追われながらも回っているのですから、本件について現場に響かないのは、皆さまも容易に想像できると思います。

結局、PMOも何も導入せず、日々の火消し工夫をしながら、現在も続いています。きっと、「火消し労力>PMの改良」となったとき、PMOや新たなマネジメントをやっていこう!という雰囲気になるのだと、私は考えています。
『文化の育成』と『適切な時期』が、結局は大切なのだと思います。

日々目まぐるしく変化する現代において、決して立ち止まることは許されない状況に、皆さまもあるのではないでしょうか?

立ち止まりにくいのは、資本主義の本質なのかもしれないと、私は最近考えるようになりました。

好業績は、更なる意気高揚を生むが、バブルへと繋がっていく。
バブルは必ず崩壊すると分かっていながら、投資を続ける・・・。
皆さまは、好業績下での投資レースを降りることができますでしょうか?
私やその仲間はこのことを、
「資本主義の目隠しチキンレース」と呼んでいます。

「走りながら考えることを求められる・・・
 例え向かう先が破滅的であっても。」
一連のシリーズで得られたラテラル・シンキングスキルを、今後はこの命題に活用していきたいと思います。

長文になり失礼いたしました。鳩山総理を見習った最近の流行りと考えていただければ幸甚です。

最後になりましたが、皆さまと、この場を提供していただいた好川さまはじめ関係者の方々の、益々のご活躍をお祈りいたしまして、御礼のコメントとさせていただきます。ありがとうございました。

著者紹介

山下貴史

マーケティング戦略コンサルタント。大学卒業後、大手シンクタンクへ入社。システム開発やコンサルティング業務を経て、戦略系コンサルティング会社に転職。リサーチ部門で、主に流通系をテーマに取り扱う。現在はコンサルティングファーム「IVC」でラテラル・シンキングを活用したコンサルティングやセミナーを展開。フィールドワークを分析が得意で、「人生はエンターテイメント」をモットーに、日々精進している。「世界一わかりやすいマーケティングの本」、「買う気にさせるメッセージマーケティング」、「あやしい商品が売れる、ごくまっとうな理由」など、著書多数。

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