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プロジェクトの状況を把握するためには、何を測定すれば把握できるのか、それをメトリクスとして決める。メトリクスを過去、現在、将来に時系列で分類し、すべて重要なデータとして扱う

No38. プロジェクトのメトリクス《一般》(2015.11.07)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木道代


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【目的】プロジェクトの目標であるベースラインに向けて、コントロールする
【用途】プロジェクトを測定、評価するためのメトリクスを決める
【効用】プロジェクト・コントロールを促進し、プロジェクト状況を安定させる
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◆プロジェクトのメトリクスを決める

プロジェクトの状況を把握するためには、何を測定すれば把握できるのかを決め、メトリクスとして、計画作成時に定義しておきます。

また、そのデータは、誰かが収集し、誰に伝えるのかをコミュニケーション計画として作成します。

そのメトリクスは、次の3つ(過去、現在、将来)に時系列で分類され、すべて重要なデータとして取り扱います。

1.今後の予測:見積りと計画を分析し、これからの状況を予測します
2.診断データ:プロジェクト実行中の現在のデータを収集します
3.過去のデータ:完了したフェーズやプロジェクトから、レッスンズラーンドを残します

◆スケジュール、リソース(ヒト、モノ、カネ)、スコープのメトリクス
それぞれにおいて、スケジュール、リソース(ヒト、モノ、カネ)、スコープの観点から、当該プロジェクトとして適切なメトリクスを決めます。

◆ 1.今後の予測

このメトリクスは、変更管理において、大変重要であり、プロジェクトがこの調子で進むと、いつプロジェクトがどのように完了するのかを予測するデータです。

下記のスケジュールメトリクスから、完了日を予測します。
・この後実施するアクティビティの所要期間見積り
・カレンダー(土日祝を考慮)
・定量的リスク分析(モンテカルロシミュレーションなど)にて算出された期間

下記のリソースメトリクスから、今後必要な資源を予測します。
・この後実施するアクティビティの資源見積り
・この後実施するアクティビティのコスト見積り
・完了時予算
・この後実施するアクティビティにおいて必要なメンバーの最大人数
・定量的リスク分析(モンテカルロシミュレーションなど)にて算出されたコスト

下記のスコープメトリクスから、完了時のスコープを予測します。
・プロジェクトの複雑さ(インタフェース、技術など)において、現時点での完成度や解決度
・成果物の規模(コンポーネント数、主要成果物数、コードライン数、システムダイアグラムのブロック数)の現時点での完成度
・今後のスコープ変更のボリュームの予測

その他のメトリクスを考慮し、スケジュール、リソース、スコープの今後の予測に反映します。
・ROI(Return on Investment)分析
・特定されたリスク数

◆ 2.診断データ

このメトリクスは、ベースラインとの差異がどれだけあるのかを診断し、プロジェクトにおける問題をできるだけ早期に発見し解決するためのデータを提供します。全く、予実差異(計画と実績との差異)がゼロってことはありませんので、差異の許容範囲を決めておき、超えた場合に問題として解決策を検討するためのメトリクスとなります。

下記のスケジュールメトリクスから、プロジェクト状況を把握します。
・クリティカルパス上のアクティビティの予実差異
・計画されていなかった追加アクティビティ数
・完了アクティビティの予実差異

下記のリソースメトリクスから、プロジェクト状況を把握します。
・EVMメトリクス
・コストの予実差異
・人員の超過勤務時間

下記のスコープメトリクスから、プロジェクト状況を把握します。
・テスト結果、レビュー結果(インスペクション、ウォークスルーなど)
・認可したスコープ変更の大きさと回数

その他のメトリクスを考慮し、スケジュール、リソース、スコープの診断データに反映します。
・ベースライン(承認されたプロジェクト計画)設定後に発生したリスク
・課題マネジメントの状況
・コミュニケーションメトリクス(メールや電話の回数など)

◆ 3.過去のデータ

完了したフェーズやプロジェクトを振返り、レッスンズラーンド(教訓)として、組織に残すためのメトリクスであり、プロセス改善のためのデータとなります。

下記のスケジュールメトリクスを記録します。
・アクティビティの実際の所要期間とその見積りの精度
・計画されていなかった追加アクティビティ数
・アクティビティにおいて期待されていた標準の生産性

下記のリソースメトリクスを記録します。
・実際に使った予算
・コスト見積り精度の評価
・追加予算の全体の中での割合
・メンバーの異動
・旅費、設備費、外注費などの支出の予実差異

下記のスコープメトリクスを記録します。
・成果物の規模(コンポーネント数、主要成果物数、コードライン数、システムダイアグラムのブロック数)の予実差異
・承認された変更の回数
・欠陥や瑕疵の数量
・性能などの目標との差異

その他のメトリクスを記録として残します。
・リスクの発現回数
・課題の発生と解決

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著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。

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